異世界で世界樹の精霊と呼ばれてます

空色蜻蛉

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1巻

1-1

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 プロローグ 夢幻むげん彼方かなた



 少年の見る夢は時々、異世界に繋がる。その夢の舞台にはいつも、天を貫く巨大な樹木がそびえ立っていた。
 とても大きな樹だ。
 幹は終わりが見えないほど太く、こけむしていて、緑の壁のようにも見える。
 こずえだけでも通常の樹木のサイズで、枝に住居を建てることが可能だろう。
 人の顔よりも大きい、無数の青々とした葉が枝からしょうじている。枝葉には、様々な種類の植物が絡みついていて、樹木の枝葉と混じり合って花を咲かせ、たわわに実をつけていた。
 この樹木は、それ自体が生命のゆりかごなのだ。
 獣や鳥は群れを作り木のうろに住まい、樹上で生活を完結させている。
 そこは動物たちの楽園で、少年は自分以外の人間の姿を見たことがなかった。
 枝葉を飛び移る幼い少年の背には、光のはねが生えている。夢の中でだけは、少年は光の翅で自由に空を飛ぶことができる。
 獣や鳥とたわむれる少年は、ごく自然に風景に溶け込んでいた。
 少年は慣れた様子で枝を飛び歩き、獣や鳥は少年を怖がる様子もない。
 草むらに見える赤くれたいちごんだ少年は、近くの枝にとまる鳥に手を振る。

「アウルも食べようよー。美味おいしいよ」
『むう……イツキよ。わしは肉食なのだ。果実はしょくさん』
「えー残念」

 アウルと呼ばれた鳥は、コノハズクというフクロウの一種に似ていた。
 丸い頭部にはとがった耳がついていて、まんまるい金色の瞳と鋭いくちばしがある。茶色い羽毛うもうを膨らませて、彼はフーとうなった。

『イツキや……今日はいつまでいられそうなのだ?』
「うーん。もうそろそろ眠くなってきちゃった。最近ここに長くいられなくて、つまらないや」
『……』

 アウルは無言でくるりと首を回す。


 彼は知っている。
 少年にとってここは夢の世界。
 夢のかよを通って少年は異世界の、この世界樹せかいじゅの枝と行き来している。
 この世界での少年は、世界樹に宿る精霊。
 世界樹は無垢むくなる異世界の幼子おさなごの魂を呼び寄せ、その魂と同調することで枝葉を茂らせている。世界樹に選ばれる魂の持ち主は少なく、精霊が宿った世界樹は繁栄する。
 しかし、それは一時の繁栄に過ぎない。
 幼子はやがて大人となり、純粋さを失い、世界を越える力を無くしてしまう。
 少年も成長したせいか、近頃、世界樹にいられる時間が少なくなってきていた。
 できるだけ長く、この時間が続いて欲しい。
 アウルは願う。
 できることなら世界樹には長く繁栄して欲しい。世界樹は彼等の住処すみかだ。世界樹が力を失えば、彼等は住処を失う。そして精霊が去った世界樹は、精霊を宿した本来の世界樹の半分以下に力が衰える。
 少年が世界樹のもとに留まれば、世界樹は長く繁栄するだろう。
 だが、異世界の幼子の魂をこの世界に拘束するのは道理に反する。


『……もうすぐ、世界樹にフロラの花が咲く』
「フロラの花?」
『それはそれは美しい桃色の花だよ。イツキや、花が咲いたら一緒に花見をしよう』
「花見? するするー!」

 アウルの誘いに、少年は無邪気に飛び跳ねて喜びを表した。
 花が咲くまで。
 世界樹の天辺てっぺんを飾る、かすみのような薄いピンク色の花が満開になるまで。
 その約束が果たされずに終わることを、この時の少年は知らない。


 ひらり。


 ひらひら。


 夢幻の花びらが舞う。


         †


 カーテンをかして射し込む陽光に、各務かがみいつきは気だるげに身じろぎしてまぶたを開けた。
 階下から両親が話している声や足音が聞こえる。
 リリリリ――。
 樹はぼんやりとした頭のまま起き上がって、枕元のアラームのスイッチを押した。
 欠伸あくびをしながら無意識に目元をぬぐう。
 指先が、かすかにれていた。

「何か夢を見ていた気がする。……何の夢だっけ」

 夢は幻。
 二つの世界が交わる時、その夢が記憶に残ることはない。
 通常は……。



 第一章 約束の花
  01 巻き込まれ召喚



 各務樹は高校生である。
 本人は自分のことを平凡だと自負している。しかし偏差値が平均より上の進学校に通っていて、むさ苦しくない容姿をした中肉中背ちゅうにくちゅうぜいの青年は、女子から見ればお買い得物件だ。一度も染めていない黒髪をほどほどに切り揃え、細いふち眼鏡めがねを掛けている。
 他者から見た第一印象は「真面目そうな眼鏡クン」だろうか。
 しかし、樹自身は自分のことを真面目だと思っていない。

「……眼鏡を取ると僕はイケメンに変身する」
「朝から何言ってんだよ、樹」

 友人の梶浦智輝かじうらともきは呆れ顔だ。
 智輝は童顔で樹より背が低い。以前は根暗ねくらな性格だったが、色々あって高校に上がってからは明るくなったと、仲良くなった最初の頃に智輝はふざけた調子で自己紹介した。ついでに過去、同級生にいじめられていたことがある、とも。
 中学は別なので、智輝の言うことが本当かどうか分からない樹は、適当に「そうだったのか」と流していた。突っ込んで聞くのもはばかられる。
 以前がどうであれ、樹にとっては今現在の智輝が全てだ。

「ちょっとした冗談じゃないか」
「樹が言うとふざけてるのか真面目に言ってるのか、分からない」

 朝の教室でかばんを降ろして、そんな会話をしていると、間に女子生徒が割り込んだ。

「おっはよー、樹君! 智輝も!」
「俺はついでかい」

 溌剌はつらつ挨拶あいさつしたのは、同級生の北川結菜きたがわゆうなだ。
 口元にほくろがあって、妙に色っぽい雰囲気のある少女だ。彼女はミドルロングの髪の一部をみにして頭の後ろで結ぶ、った髪型をしていた。

「今日は放課後、十日とおかまちにオープンしたっていうパティスリーに行こうよ!」
「あー俺は甘いものは苦手で……てかお前、それは女子の友達と行けばいいじゃねえか」

 甘味かんみを食べに行こうと誘う結菜に、智輝が嫌な顔をする。
 しかし彼女は智輝の逃げの姿勢をものともせず、強引にまくし立てた。

「樹君は甘いもの好きだよね!?」
勿論もちろん大好きだ」
「じゃあ智輝も一緒に来るよね。樹君とお友達だもんね!」
「どういう三段論法だよ!」

 樹は甘いものが好きなので特に拒否することなく話にのっかる。
 こうして三人は放課後、学校の近くにオープンしたというパティスリーを見に行くことになった。
 授業が終わった後、結菜は樹たちを先導してパティスリーへの道を歩き始めた。
 智輝以外の二人は甘いものが食べられるとウキウキした気分である。反対に智輝は甘いものが苦手な上、女性客が多いだろうパティスリーに行くのは気が進まずテンションが低かった。
 通学路をれて住宅街の細い道を歩く三人。


 シャリーン……。


 突然、ウィンドチャイムを揺らしたかのような涼しげな音が鳴り響いた。
 何の音だろう。
 不思議そうな顔をする樹。
 しかし他の二人の反応は違った。

「まさかび出し!?」
「やったー! これでスイーツ食わずに済むぜ!」

 結菜と智輝は口々に、樹には理解できないことを言った。
 地面に青い光の輪が走り、視界が光に包まれる。樹はまぶしさに思わず目をつむった。キーンと耳鳴りのような音と共に空気が変わって、目を開けるとそこは、今までいたのとは別の場所だった。

「こ、ここはどこなんだ」

 狼狽うろたえる樹を見て、結菜と智輝はしまったという顔をした。

「やば。一般人を連れて来ちゃった」
「高校に入ってから召喚しょうかんを受けなかったから、油断してたわ」

 光が収まってきたので樹は辺りを見回す。
 足元には高級そうな大理石だいりせきの床。
 パルテノン神殿もかくやと思わせる装飾がついた、立派な柱が周囲に立ち並んでいる。自分たちは何かの施設の中にいるらしい。部屋の天井は高く、ステンドグラスがはめ込まれている。周囲にはいくつかの人影があった。
 いきなりの出来事に呆然ぼうぜんとする樹を、結菜がのぞき込む。
 彼女は真剣な顔で言った。

「樹君、よく聞いて。ここは異世界のロステン王国。私と智輝はこの国の勇者として召喚されたの」
「何だって?」
「ほら最近、ラノベとかでよくあるじゃない。異世界召喚とか」

 説明を受けた樹は、数度まばたきすると、眼鏡を外した。
 ふところから専用の布を出して眼鏡を丁寧にき始める。

「樹君?」
「……精神を落ち着ける時間が僕には必要だ。少し放っておいてくれ」

 ぽく、ぽく、ぽく……ちーん。
 異世界召喚という珍事態に遭遇した樹は己の精神を落ち着けるべく、眼鏡を拭きながら瞑想めいそうを始めてしまった。そんな樹を結菜は心配そうに見守る。
 一方の智輝は準備体操の要領で腕を回していた。

「樹は放っておけよ。ここからは俺たちの仕事だ。帰れるようになるまで、樹にはこの神殿で留守番をしてもらったらいい」
「そうね」

 結菜と智輝は、一般人の樹を連れて来てしまったことに動揺はしていたが、それよりも勇者として喚ばれたのだから仕事をしないと、と気持ちを切り替えていた。
 何しろ、異世界から勇者を召喚しなければいけないほどの緊急事態なのだ。

「勇者様……」

 召喚の儀式をり行ったらしい神官がうやうやしく呼びかけてくる。
 まるで事態についていけない樹は、ピカピカに磨き終えた眼鏡を元通り顔に戻すと、友人二人が神官と話す様子を傍観することにした。



 その神官は灰色の長衣ながぎぬを着た初老の男性だった。白髪混じりの黒髪の神官は、目尻の下がった柔和にゅうわな表情で樹たちを出迎える。
 彼は結菜と智輝に向かって言った。

「勇者様。この度は、喚び出しに応じてくださりありがとうございます」
「応じてないけどな」
「いつも無理やりだよね」

 確かに友人たちは「召喚するよ?」「わかった」的な会話をしている様子はなかった。
 いつも無理やりなのか。
 巻き込まれて召喚された樹は、会話を聞きながら顔をしかめた。

「さて、勇者様を召喚しました理由は他でもありません。ここ、夏風なつかぜみやこアストラルに飛竜ひりゅうが現れたのです」
「何だって!?」
「今この都を暴れまわっております……」

 神官の言葉と同時に、施設が強風に煽られたようにガタガタと揺れた。
 かすかに騒ぎ声や足音が聞こえる。
 外で何か事件が起きている気配がした。

「それを早く言えって!」

 智輝は叫ぶと、神官の脇をすり抜けて建物の出入り口に向かって走り出した。
 その後を追って結菜も走り出す。

「えーと」
「私たちも参りましょう。勇者のご友人」

 ぽかんとする樹に、神官が声を掛けた。
 彼は樹を手招きして廊下を歩き始める。

「私はトーラと申します」
「各務樹です。ご丁寧にどうも」

 早足で廊下を歩きながら、樹と神官は挨拶を交わした。
 樹は眼鏡をいじりながら神官に問いかける。

「部外者の僕は地球に帰してもらった方がありがたいのですが」
「そうですねえ。できればそうしたいのですが、あの勇者召喚の魔法陣に力を込めて再度使えるようにするのに、一か月は掛かるのです」
「中途半端に長いな」
「まあ異世界に旅行に来たと思って、のんびりしていってください」

 どうやらすぐには帰れないらしい。
 一か月。そんなに長い間、この世界にいなきゃいけないのか。
 廊下を抜けて建物の外に出る。
 眩しい陽光に、樹は目を細めた。
 目の前に広がるのはヨーロッパ風の煉瓦れんがの建物が連なる、異国の街並みだ。
 その街並みを巨大な生き物が踏み壊し、人々は悲鳴を上げて逃げまどっている。
 先ほど神官は飛竜と呼んでいたか。
 巨大な生き物は黒々としたうろこを持った爬虫類はちゅうるいで、背中から蝙蝠こうもり型の大きな翼が生えている。牙の並んだ口を開けると、よだれが地上にしたたった。飛竜は身体の各所から不気味ぶきみな液体を垂れ流していて、液体が掛かった壁はプシューと煙を上げて穴が空く。強力な塩酸を垂らしたらああなるのだろうか。


 グオオオオ……!!


 飛竜は首を振ってえた。
 空気がびりびりと震える。
 樹たちと結構、距離が近い。近付けば踏みつぶされそうだ。

「旅行に来たと思って、のんびり!?」
「言葉のあやですよ」

 どう見ても観光どころではない状況に、樹は思わず神官に突っ込んだ。
 トーラと名乗った神官は穏やかな態度を崩さず、しれっと樹の突っ込みを流す。

「大丈夫ですよ。ご友人は勇者様ですから」

 逃げる人々に逆行するように、恐れる様子も見せずに飛竜に向かっていく二人の姿を認めて、樹は息を呑む。
 結菜と智輝は飛竜の直前で足を止めて巨体を見上げていた。

「契約者の声にこたえよ! 紅蓮戦乙女スカーレットヴァルキュリア、ルージュ!」

 智輝が叫ぶと、彼の前に深紅しんくの炎が燃えあがり、その中から少女が姿を現した。
 真珠しんじゅのような白い肌にあかい髪と瞳をした美しい少女だ。露出度の高い夕焼け色のドレスを身に着けている。少女の背中には紅い光を放つ光の翅が左右に三枚ずつ、合計で六枚、火の粉をき散らして輝いていた。

『待ちくたびれたわ』

 少女は妖艶ようえんに笑むと、透明になって炎の中に溶けて消える。
 その炎の中から、暗い紅色のを持ったはがねの槍が姿を現した。緩やかにカーブした三角の刃が全長の三分の一をめる槍で、刃は柄の先で鋭い光を放っている。

「おっしゃあ!」

 炎をまとった槍をつかみ、智輝は跳躍する。
 通常の人間では有り得ないほど高く跳躍して、彼はそのまま燃えさかる槍を飛竜に振り下ろす。
 その一撃で飛竜の鱗は大きく切り裂かれ、身体から大量の体液が噴き出した。
 敵の姿を認めた飛竜は、首を回して智輝に噛みつこうとする。

「そうはさせないんだから。来て! 白光流風霊ブライトシルフィード、リーガル!」

 結菜の声と共に白い光が上空で生まれる。
 光の渦の中に白銀しろがねの髪をした少年が浮き上がった。
 少年は純白の燕尾服えんびふくをまとって宙に浮いている。無邪気な水色の瞳に、悪戯いたずらっぽい笑顔。背には輝く四枚の翅を持っていた。

『久しぶりだね、結菜』

 微笑んだ少年が空気に溶けると、上空から結菜の手元に杖が降って来る。
 翼をかたどった飾りが頭に付いた白い杖だ。
 結菜が杖を手に取って振ると、智輝と飛竜の間に風が吹き込んだ。
 智輝は風に流されて、近くの地面に着地した。襲い来る飛竜の牙から、強引に回避させられた格好だ。

「ちょっ、結菜、今切ろうとしてたのにっ」
「そう言って突っ込んでいって、いつも大怪我おおけがしてるでしょ!」

 彼等は会話しながら、飛竜の周囲を走って移動していた。
 戦いに慣れた動きだ。
 結菜が杖を振ると、白い帯のような光が螺旋らせんを描いてまとわりつき、飛竜の動きがにぶった。

「とどめだっ」

 飛竜の懐近くまで走り込んだ智輝が、深紅の炎をまとった槍を振りかぶって、飛竜の顎の下を攻撃する。
 飛竜の首が裂けた。ほとばしる体液を横に跳んで避けて、智輝は再度、飛竜を攻撃する。
 大きく跳躍して飛竜の背に降り立つと、槍を突き立てた。 
 槍から伝った炎が飛竜を包み込む。
 首を切られた時から意味のない動きを繰り返していた飛竜だが、やがて炎の中で断末魔だんまつまの唸り声を上げて、動かなくなった。



 見ている間に戦闘は終わった。
 友人たちの人間離れした動きと、戦いに慣れた様子に、樹はただただ呆然とした。
 まるで特撮とくさつか何かを見ているようだった。
 特撮は人間が演じている以上、ワイヤーでってアクションをしているのだろうなと視聴者に思わせる不自然な動きがある。しかし目の前の戦闘にそういった動きはなかった。
 空気に混じるほこりと血の匂いと、頬を撫でる冷たい風。
 ここは紛れもなく現実の世界だ。

「勇者様は強いでしょう?」

 神官トーラの言葉に、樹は「ああ」と頷くしかなかった。

「ああー、終わった終わった。水飲みてえ」
「食事と水を用意しましょう。一旦こちらへ」

 戻って来た二人と共に、樹は神官の案内に従って神殿に引き返した。
 周囲では制服を着た男たちが駆け回って、負傷者を助け起こしたり、飛竜の死骸しがいをどうするか話し合ったりしている。勇者の仕事は魔物を倒せばおしまいのようだ。街の人々は遠巻きに結菜と智輝を見つめていた。
 感謝や尊敬の眼差まなざしが友人たちに向けられている。
 隣にいる樹は、所在ない気持ちに襲われた。
 ここでは彼等が主役で、自分は脇役だ。
 樹が蚊帳かやの外に置かれた気持ちを味わっていることを、勇者の二人は気付いていない。三人はそのまま神殿の部屋のひとつ、テラスに面した部屋に通された。
 神官トーラがお茶を運んでくる。
 何もしていない樹の前にもティーカップが置かれた。

「勇者様。実は、今現在、世界各地で魔物の活動が活発化していて……」
「そういうRPGみたいな前振りはいいよ。要件を簡潔にどうぞ」

 勢いよく茶を飲み干した智輝は、トーラの言葉を遮った。
 説明を遮られたトーラは気分を悪くする様子を見せず「失礼しました」と言って先を続ける。

「夏風の都アストラルの南東にある、あんずの里で謎の病が流行はやっており、魔物の仕業しわざだという噂が流れております。勇者様にはそこへ行っていただきたく」
「了解」
「樹君はアストラルで待っていてくれない?」
「うぐっ」

 突然話しかけられた樹は、茶が気管に入りそうになってむせた。
「大丈夫?」と結菜は心配そうな顔をしている。

「……僕は足手まといだから、ここで待っていろという話だろう。分かったよ」
「ごめんね樹君。巻き込んじゃって」
「まったくだ。帰ったらパティスリーのスイーツ代は君たちに払ってもらうからな」

 先ほどの戦闘を見て分かった。
 勇者らしい友人たちの動きについていくのは、樹には不可能だ。
 別行動をあっさり受け入れる。
 翌日、友人たちは簡単に準備を整えると素早く旅立ってしまった。
 寂しいようなうらやましいような、複雑な気持ちで、樹は彼等の背中を見送った。


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