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1巻
1-2
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02 脱走
友人たちが旅立って数日後。異世界に独りきりとなり、樹は暇になった。
召喚された場所である神殿に部屋を用意してもらって、神官たちと衣食住を共にする。
勇者ではない異世界人の樹に、神官たちは戸惑っているようだ。誰も話しかけてこない。樹が一時的にこの世界に来た客人だと、皆知っているらしい。どうせすぐ帰る異世界人と親しくなっても仕方ないと、彼等は思っているようだった。
神官たちは朝夕の礼拝やら修業やら、忙しそうにしていたが、樹にはやることがない。
暇に耐えかねた樹は、夕食の後に食堂でトーラを捕まえて話しかけた。
「トーラさん」
「はい何か」
「色々聞きたいことがあるのですが」
穏やかな表情で神官トーラが振り返る。彼は神官長という立場らしく多忙のようだったが、樹が話をしたいと言うと座りなおしてくれた。
「何が聞きたいのですか?」
「まずこの世界の魔法について。もしかして僕も魔法を使えるようになったりしませんか」
異世界に来て何が気になるって、やっぱり魔法だろう。
結菜と智輝が魔法らしきものを使って戦闘していた姿を見て、樹は魔法に興味を持っていた。
「ふむ……使える、かもしれませんね」
「何で断定しないんですか」
「その前に魔法の説明をさせてください」
トーラは魔法について語り始める。
この世界の魔法は、精霊と契約して行使する精霊魔法らしい。
精霊とは、地水火風、自然に宿る意識が具現化したもの。と言っても、曖昧な存在ではなく霊的な生き物であり、種族があって彼等なりの生の円環がある。下位精霊は獣の姿だが、中位以上は人の姿をしている。
肉体を持たない霊的生物の精霊は、肉体を持った人間と契約することで、現実に影響を及ぼせるようになる。
飛竜との戦闘中に結菜と智輝の前に現れた紅い髪の少女や、白髪の少年。彼等こそが勇者の契約精霊であり、精霊は戦いの武器を人間に与えてくれる。
このような精霊魔法による武器を、精霊武器と呼ぶそうだ。
「精霊と契約すれば僕でも魔法が使えると」
「そういう話になりますね。ちなみに精霊の特徴は背中の翅です。翅の枚数が多いほど、強い力を持つ精霊なのです。精霊は神の加護を持つ勇者か、霊力が強い人間に惹かれ、契約を結びます」
ということは、霊力があれば僕も精霊と契約できるのか。
興味深く話を聞いていた樹は、この世界に来てから気になっていたもうひとつのことを質問した。
「トーラさん、話は少し変わりますが、僕とあなたがこうやって会話できているのは何故でしょう。僕は日本語を話しているつもりですが、この世界の公用語は日本語なのですか」
そう聞くと、トーラは驚いたように樹を凝視した。
「そうだ。そういえば、おかしいですね……。私たちは言葉が違うのに、意思を通じ合わせている。神の加護を持つ勇者や、霊的生き物である精霊なら話が通じてもおかしくないのですが。勇者様と一緒に来られて普通に話が通じていたので、失念していました」
樹とトーラは何故言葉が通じるのだろうと首を捻ったが、考え込んでも答えは出ない。
早々に諦めて、次の話題に移った。
「……では、イツキ様の霊力を測ってみましょうか。霊力があれば精霊との契約方法についてお教えしましょう」
「お願いします」
結菜と智輝のように魔法を使えるようになるかもしれない。
樹はわくわくして、トーラの案内に従って移動した。
霊力を測ると言われ、案内された場所には体重計のような四角い台があった。
体重計。
よく見れば、文字盤に書かれた文字や数値は日本語でも英語でもない、見たことのないものだった。
乗るように促されて、樹は学校の健康診断を思い出しながら、装置に乗った。
ガコンッ……ピー!
樹が乗ると体重計もとい霊力計の針が一気に振り切れ、そのまま異音を発して動かなくなった。
故障だろうか。
「これは……!?」
「何か分かりましたか?」
「いえ何も分かりません。おかしいですね……」
トーラは霊力計を前にあれこれ操作していたが、霊力計の針はぴくりとも動かなくなってしまった。
様子を見ていた樹は申し訳なくなった。
「すいません、壊しちゃって」
「いえ構いません。そろそろ新しいのに買い替えるつもりでしたから」
故障してしまった霊力計をゴミ箱の横に持っていくと、トーラは苦笑した。
「また今度にしましょう」
結局、霊力があるのか無いのか分からない。
残念だと肩を落とす樹に、トーラは「魔法を使うにも修業が必要で、そう簡単にはいかないですよ」と言った。
「精霊の力を使うには、精霊演武を習得する必要があります。精霊演武にも、上級、中級、下級があり、下級でも習得するのは大変です。勇者様でも下級と中級の一部の技しか会得していません」
「そうなんですか? それなのにあんなに強いのか」
「勇者様ですからね。ユウナ様の契約精霊リーガルは中位ですが、ユウナ様はご自身が中級以上の精霊演武を使えるのでお強いのです」
滞在期間の一か月で、魔法を習得するのは無理なようだ。
魔法を使えるかもしれないと思っていた樹は、密かにがっかりした。
暇な時間に書物でも読もうかと思ったが、書物は異世界の文字で書かれていたので読めない。
神殿の中で一通り時間つぶしの方法を試してみた樹は、今度は街へ観光に出てみることにした。
街は平和で活気に溢れた様子だった。
先日飛竜が暴れまわった痕跡が僅かに残っていたが、樹が街に出たときには復興が始まっていた。人々は明るい表情で働いている。
神官の一人で、樹と年齢が近い若い男が街を案内してくれた。
ロンというその神官は面倒くさそうに言った。
「勝手に歩いて私から離れないでくださいよ」
「ああ、分かってる」
勇者の友人である樹は神殿で丁寧にもてなされてはいたが、実質お荷物であり、何の役にも立たない無駄飯食らいである。神官たちは歓迎している訳ではなく、さりとて厄介者というほどではない樹に対して、態度を決めかねているようだ。
樹はロンの機嫌を損ねないように、彼から離れずに歩いた。
しばらく歩くと市場が見えてきた。
白い帆布で作られた屋台が立ち並び、野菜や干し肉、生活の雑貨などがところ狭しと並べられていた。
興味深くそれらを眺めていた樹だが、ある一軒の前で立ち止まる。
それは色々な動物を檻に入れて並べている店だった。
「どうしたんですか」
ロンの問いかけに答えず、樹は檻のひとつを覗き込んだ。
檻の中にはフクロウによく似た鳥が閉じ込められている。
茶色い羽毛を膨らませて、その鳥は檻の隅にうずくまっていた。目を閉じて鳥はじっと動かない。どうやら具合が悪いようだ。
樹は何故かその鳥が気になって、檻の前から動けずにいた。
「……こいつが気に入ったのかい?」
店の前で立ち止まった樹に店主らしき小太りの男が声を掛ける。
「この子は売り物なんですか」
「おう。そいつは人の言葉をしゃべるフクロウさ。攻撃力を持たない珍しい魔物だよ。ペットにどうだ?」
「……死にかけてるように見えますけど」
檻の中でフクロウは浅い呼吸を繰り返すのみで動こうとしない。
「そうさなあ。夜行性だから夜になったら動くんじゃねえか」
「イツキ様、その鳥を飼いたいのですか?」
ロンに聞かれて、樹はためらいながらも頷いた。
「ああ。買ってもらってもいいかな」
「うーん、安いようだし構いませんが。でもイツキ様、帰る時はどうされるのです?」
フクロウを地球に連れ帰る訳にはいかない。
樹は苦笑いして「帰るときに逃がしてやるんだ」と言った。
それを聞いた店主が笑う。
「逃がすくらいなら店に返してくれよ」
「お金を払ったら僕のものです。どうしようが僕の勝手でしょう」
「そりゃそうだが」
ロンは硬貨を何枚か取り出して代金を支払う。
店主は茶色い紙で手荒に小さな檻を包むと樹に手渡した。
「まいどあり」
樹はフクロウの入った檻を抱え、観光を早めに切り上げて、神殿の自分の部屋に戻ることにした。
割り当てられた自分の部屋に戻ると、樹はフクロウの入った檻をテーブルの上に置いた。
フクロウは檻の中でぐったりした様子だった。
樹は店主にもらった鍵で檻を開けた。腕を檻の中に差し込んで、そっとフクロウの身体を運び出す。部屋にあった適当な籠に布を被せて、その上にフクロウを乗せた。店主にも言ったが飼う気はないので、逃げられても別に構わない。
こいつは何を食べるのだろう。
そう疑問に思うと、答えが自然と思い浮かぶ。
フクロウは肉食だ。
どこで聞いたんだっけ。樹は首を捻りながら食堂に行って、水と何かの肉を分けてもらった。
動かないフクロウの隣に座って、さてどうしようと考えていると、フクロウが目を開ける。
まんまるい金色の瞳が樹を見た。
『……イツキ?』
「何で僕の名前を知ってるんだ」
そういえば人の言葉をしゃべるフクロウだと、店主が言っていたか。
しかし何故、樹の名前を呼ぶのだろう。
偶然だろうか。
フクロウは丸い首をクルクル回し、しばらく樹と周囲の状況を観察しているようだった。
『ここはどこじゃ』
「夏風の都アストラル」
今いる街の名前は分かっても、この世界の中でどの辺りにある街なのか、国の名前も地域の特徴も樹は知らない。
『……こうしちゃおれん。わしは行かなくては』
フクロウは地名を聞くと、慌てて翼を広げて羽ばたこうとした。
猛禽類の翼は大きい。
両翼あわせ一メートル近くある立派な翼が樹の目の前で広がる。
しかしフクロウの翼は風切り羽が無惨に切り取られ、ボロボロになっていた。
バタバタするフクロウだが、風を起こすばかりで浮く様子もない。
『くっ……無念』
「まあとりあえず、この水を飲んで肉を食べたらどうだ。羽はその内生えてくるだろう」
そう勧めるとフクロウは観念したのか、大人しく籠に戻った。
差し出された水と肉を嘴でついばみはじめる。
『イツキは何故この世界に来たのだ?』
やっぱりこのフクロウは僕のことを知ってるのか。
疑問に思いつつも樹は答える。
「友達が勇者で、巻き込まれて召喚されたんだよ」
『では偶然……何ということだ。これも世界樹の導きなのか』
フクロウは勇者や召喚という、一般的とは思えない単語にも慣れた反応をし、樹の境遇についても理解しているようだった。深い金色の瞳には知性が感じられる。
いい加減気になって、樹は尋ねた。
「さっきから僕のことを知っているみたいな口ぶりだけど、僕は君と会ったことがあるのか」
『……』
フクロウは無言になって首を回す。
鳥の表情はよく分からないが、困っているようだ。
『イツキはまた元の世界に戻るのか?』
「ああ。三週間後くらいに、友達が帰ってきたらね」
『では、戻ればその内にわしのことは忘れてしまうだろう。異世界の出来事は夢。泡沫の幻。話しても意味があるまい』
訳が分からない。
だがフクロウは何だか悲しそうな空気を醸し出している。
樹は無理に聞き出すことは諦め、別のことを聞いた。
「あー、とりあえずフクロウさんの名前は何て言うんだ? あと、どこか行きたいところがあるのか?」
『わしの名はアウルじゃ。具合が悪いという友の精霊を訪ねる途中で、人間に捕まってしもうた』
「目的地は遠いのか?」
『いや、ここからならさほど遠くない。南東に少し行った場所じゃ。人間からはそう、杏の里と呼ばれておったぞ』
どこかで聞いた覚えがある。
智輝と結菜が行った場所がそういう名前だったような。
うつむいて眼鏡を押し上げ、樹は口角を吊り上げた。
眼鏡の端がキラーンと光る。
「ふふ……アウル、その友達に会いに行きたいよな?」
『む。イツキよ、何か企んでおらんか。雰囲気が怪しいぞ』
「気のせいだよ」
フクロウはしゅーっと羽をすぼめてスリムになって、籠の中で縮こまった。
大人しくなったフクロウを撫でながら樹は考えを巡らせていた。
神殿でじっとしているのも飽きてきたところだったのだ。
次の日の夜、樹はアウルを連れて、こっそり部屋を抜け出した。
一人と一羽は神殿の脇にある畜舎に忍び込む。
「ここでグリフォンを飼ってるって聞いたんだ。グリフォンってあれだろう、空を飛ぶ、人間より大きい鷲のモンスター」
『イツキよ。グリフォンは貴族や神官などの一部の人間が、万が一の時のための交通手段として飼育している希少な生き物だ。勝手に乗っていくと怒られるぞ』
「大丈夫だ。いざとなったら、勇者のあいつ等に全責任を押し付ける」
樹の肩にとまったフクロウは『オオゥ』と鳴いてぶるぶる震えた。
『何と破天荒な。いや以前からそうだったか』とぶつぶつ言っている。
常識的なフクロウの忠言は無視して、樹は畜舎の中を進んだ。
畜舎の通路は、所々に火を入れた鉄の箱が置いてあって様子がわかる程度の明るさはあった。
羊のような生き物や馬たちのいる場所から奥に入ったところに、一匹だけ離れてグリフォンが柵の中に立っている。
グリフォンは馬くらいの大きさの生き物で、猛禽類の頭と翼を持っている。薄暗闇に輝く金色の鋭い瞳が樹を見た。
威風堂々としたその姿に、樹は思わず気圧されて立ち止まる。樹の肩で様子を窺っていたアウルは、向こう見ずな樹の意外に臆病な一面を見て微笑ましく思った。
『イツキや、恐れるな。手を伸ばしてみよ。グリフォンはお主の言うことなら聞くだろう』
「噛まれないだろうな……」
アウルに促されて手を伸ばす。
グリフォンは樹の手を避けなかった。
そっと手を滑らせて首筋を撫でると目を細める。もっと撫でて、と言うようにグリフォンは首を下げて樹の手に頭をこすりつけた。
「可愛いな」
『……普通の人間ではこうはいかないがな』
「何か言ったか?」
『何もない。ほらイツキ、グリフォンに乗るんじゃろ』
フクロウは小声でぼそっと呟いたが、樹はグリフォンを撫でるのに夢中で聞いていなかった。意外に大人しいグリフォンの背によじ登って跨る。
「さて。異世界を冒険しに行こうじゃないか」
樹を乗せたグリフォンは畜舎を出ると、夜空に羽ばたいて上昇していった。
03 杏の里へ
樹が神殿を脱走した翌日。
神官トーラは、樹の残した書き置きの紙を発見して呆然としていた。
「私は日本語が読めません……」
紙には「友達を追いかけます。グリフォンは後で返します」と日本語で書いてあった。
異世界人のトーラに読める訳がない。
彼は謎の文字を見つめたが、読めなくても雰囲気で内容を悟った。
「大人しそうな少年だと思っていたのですが、見かけによらず、やんちゃな方のようですね」
この神殿で飼っているグリフォンは樹の乗っていった一匹のみ。
追いかけるのを早々に諦めて、トーラは渋面で呟いた。
「勇者様方に文を飛ばして、このことをお知らせしなければ……」
†
一方、智輝と結菜は暇に耐えかねた樹が脱走したことを知らずにいた。
彼等は目的地の、病が流行っているという農村に到着していた。
田畑や森に囲まれた土地で、背の低い民家がぽつぽつと立っている。
人通りは少なく、辺りは静まり返っていた。
「何か嫌な空気だな」
「村長さんの家に行ってみよう」
二人は神官トーラから、この付近のまとめ役の村長の家の場所を聞いていた。
辺りの家の中で最も大きい、村長の家を訪問する。
勇者であることを示す、国の紋章の付いた短剣を見せると、村長は協力的な態度で話に応じてくれた。
この里は杏という果実を特産品としていて、山の上に果樹の畑が広がっている。数か月以上前から、杏の樹木が枯れ始め、それと共に体調を崩す村人が出始めた。
さらには果樹しかない山の上に、魔物が現れるようになり、大層困っているという。
「いつもなら、今の時期は杏の木の花が咲くのです。薄いピンク色のとても可愛らしい花が満開になると、はるばる都からも花見客が訪れます。しかし、今年はそれどころではありません」
村長は、杏が全滅すればこの里の存続は危ういと、深刻そうに嘆息する。
「山の上に行ってみるか」
智輝は自分に言い聞かせるように呟いた。
サポートに徹している結菜も異論が無いようだ。彼女は黙って話の成り行きを見守っていた。勇者の二人が席を立つと、村長も合わせて立ち上がる。
「……お気を付けて」
村長は山の手前まで見送ってくれた。
山道を登りながら、結菜は自分の契約精霊を召喚する。
「来て、リーガル!」
四枚の透き通る翅を背負った、雪のように白い髪の少年が姿を現す。
結菜は風の精霊リーガルに、山の上の状況を教えてくれるように頼んだ。
『この山の上から、歪んだ精霊の気配がする』
半透明の姿で宙に浮きながらリーガルは言った。
「歪んだ精霊?」
『とても嫌な気配だ。どうやらこの地の精霊はおかしくなってしまったらしい』
憂いを帯びた眼差しで言うリーガルに、結菜と智輝は首を傾げた。
モンスターが暴れている訳ではないのだろうか。
不思議そうな勇者たちの様子を見たリーガルは、説明を始めた。
『結菜、モンスターや魔物と呼ばれているものには、二種類あるって知ってるかい?』
「いいえ」
『生まれた時から魔物に属しているものと、生まれた時は精霊だったけれど、何らかの理由によって歪んでしまい、魔物になってしまったものの、二種類があるんだよ』
「山の上にいるのは魔物になった精霊?」
『普通は歪むことなんてないんだ。けど最近、世界樹に異常が生じたせいで、おかしくなる精霊が増えている』
「世界樹……って、この世界のどこかにあるっていう噂の、聖なる木よね」
『そう。僕ら精霊は世界樹の力を受けて生まれるんだ』
結菜と智輝が今まで勇者として倒してきたのは、悪魔に近いモンスターたちだった。
しかし今回の敵は、歪んだ精霊だという。
警戒を緩めずに山を登る二人の目に、痛ましい姿になった木々が飛び込んでくる。
村長の話通り、果実がなる木はことごとく枯れて、葉を落としてしまっていた。
「油断すんなよ、結菜。モンスターがいる!」
智輝はそう言って、途中で足を止める。
彼は契約精霊を呼んで、炎の槍を手にした。
結菜も自分の武器である白い杖を取り出す。
すると草が擦れあう音がして、木陰からカマキリのようなモンスターが次々と姿を現した。
数が多い。一匹一匹は大したことが無さそうだが、行く手を阻むように群れるカマキリに、智輝が舌打ちする。
「ボスがいる場所にショートカットで飛びたいぜ!」
「無理言わないの、智輝。ここは異世界だけど、ゲームじゃないんだから」
二人は武器を構えて、襲って来るカマキリたちと戦い始めた。
友人たちが旅立って数日後。異世界に独りきりとなり、樹は暇になった。
召喚された場所である神殿に部屋を用意してもらって、神官たちと衣食住を共にする。
勇者ではない異世界人の樹に、神官たちは戸惑っているようだ。誰も話しかけてこない。樹が一時的にこの世界に来た客人だと、皆知っているらしい。どうせすぐ帰る異世界人と親しくなっても仕方ないと、彼等は思っているようだった。
神官たちは朝夕の礼拝やら修業やら、忙しそうにしていたが、樹にはやることがない。
暇に耐えかねた樹は、夕食の後に食堂でトーラを捕まえて話しかけた。
「トーラさん」
「はい何か」
「色々聞きたいことがあるのですが」
穏やかな表情で神官トーラが振り返る。彼は神官長という立場らしく多忙のようだったが、樹が話をしたいと言うと座りなおしてくれた。
「何が聞きたいのですか?」
「まずこの世界の魔法について。もしかして僕も魔法を使えるようになったりしませんか」
異世界に来て何が気になるって、やっぱり魔法だろう。
結菜と智輝が魔法らしきものを使って戦闘していた姿を見て、樹は魔法に興味を持っていた。
「ふむ……使える、かもしれませんね」
「何で断定しないんですか」
「その前に魔法の説明をさせてください」
トーラは魔法について語り始める。
この世界の魔法は、精霊と契約して行使する精霊魔法らしい。
精霊とは、地水火風、自然に宿る意識が具現化したもの。と言っても、曖昧な存在ではなく霊的な生き物であり、種族があって彼等なりの生の円環がある。下位精霊は獣の姿だが、中位以上は人の姿をしている。
肉体を持たない霊的生物の精霊は、肉体を持った人間と契約することで、現実に影響を及ぼせるようになる。
飛竜との戦闘中に結菜と智輝の前に現れた紅い髪の少女や、白髪の少年。彼等こそが勇者の契約精霊であり、精霊は戦いの武器を人間に与えてくれる。
このような精霊魔法による武器を、精霊武器と呼ぶそうだ。
「精霊と契約すれば僕でも魔法が使えると」
「そういう話になりますね。ちなみに精霊の特徴は背中の翅です。翅の枚数が多いほど、強い力を持つ精霊なのです。精霊は神の加護を持つ勇者か、霊力が強い人間に惹かれ、契約を結びます」
ということは、霊力があれば僕も精霊と契約できるのか。
興味深く話を聞いていた樹は、この世界に来てから気になっていたもうひとつのことを質問した。
「トーラさん、話は少し変わりますが、僕とあなたがこうやって会話できているのは何故でしょう。僕は日本語を話しているつもりですが、この世界の公用語は日本語なのですか」
そう聞くと、トーラは驚いたように樹を凝視した。
「そうだ。そういえば、おかしいですね……。私たちは言葉が違うのに、意思を通じ合わせている。神の加護を持つ勇者や、霊的生き物である精霊なら話が通じてもおかしくないのですが。勇者様と一緒に来られて普通に話が通じていたので、失念していました」
樹とトーラは何故言葉が通じるのだろうと首を捻ったが、考え込んでも答えは出ない。
早々に諦めて、次の話題に移った。
「……では、イツキ様の霊力を測ってみましょうか。霊力があれば精霊との契約方法についてお教えしましょう」
「お願いします」
結菜と智輝のように魔法を使えるようになるかもしれない。
樹はわくわくして、トーラの案内に従って移動した。
霊力を測ると言われ、案内された場所には体重計のような四角い台があった。
体重計。
よく見れば、文字盤に書かれた文字や数値は日本語でも英語でもない、見たことのないものだった。
乗るように促されて、樹は学校の健康診断を思い出しながら、装置に乗った。
ガコンッ……ピー!
樹が乗ると体重計もとい霊力計の針が一気に振り切れ、そのまま異音を発して動かなくなった。
故障だろうか。
「これは……!?」
「何か分かりましたか?」
「いえ何も分かりません。おかしいですね……」
トーラは霊力計を前にあれこれ操作していたが、霊力計の針はぴくりとも動かなくなってしまった。
様子を見ていた樹は申し訳なくなった。
「すいません、壊しちゃって」
「いえ構いません。そろそろ新しいのに買い替えるつもりでしたから」
故障してしまった霊力計をゴミ箱の横に持っていくと、トーラは苦笑した。
「また今度にしましょう」
結局、霊力があるのか無いのか分からない。
残念だと肩を落とす樹に、トーラは「魔法を使うにも修業が必要で、そう簡単にはいかないですよ」と言った。
「精霊の力を使うには、精霊演武を習得する必要があります。精霊演武にも、上級、中級、下級があり、下級でも習得するのは大変です。勇者様でも下級と中級の一部の技しか会得していません」
「そうなんですか? それなのにあんなに強いのか」
「勇者様ですからね。ユウナ様の契約精霊リーガルは中位ですが、ユウナ様はご自身が中級以上の精霊演武を使えるのでお強いのです」
滞在期間の一か月で、魔法を習得するのは無理なようだ。
魔法を使えるかもしれないと思っていた樹は、密かにがっかりした。
暇な時間に書物でも読もうかと思ったが、書物は異世界の文字で書かれていたので読めない。
神殿の中で一通り時間つぶしの方法を試してみた樹は、今度は街へ観光に出てみることにした。
街は平和で活気に溢れた様子だった。
先日飛竜が暴れまわった痕跡が僅かに残っていたが、樹が街に出たときには復興が始まっていた。人々は明るい表情で働いている。
神官の一人で、樹と年齢が近い若い男が街を案内してくれた。
ロンというその神官は面倒くさそうに言った。
「勝手に歩いて私から離れないでくださいよ」
「ああ、分かってる」
勇者の友人である樹は神殿で丁寧にもてなされてはいたが、実質お荷物であり、何の役にも立たない無駄飯食らいである。神官たちは歓迎している訳ではなく、さりとて厄介者というほどではない樹に対して、態度を決めかねているようだ。
樹はロンの機嫌を損ねないように、彼から離れずに歩いた。
しばらく歩くと市場が見えてきた。
白い帆布で作られた屋台が立ち並び、野菜や干し肉、生活の雑貨などがところ狭しと並べられていた。
興味深くそれらを眺めていた樹だが、ある一軒の前で立ち止まる。
それは色々な動物を檻に入れて並べている店だった。
「どうしたんですか」
ロンの問いかけに答えず、樹は檻のひとつを覗き込んだ。
檻の中にはフクロウによく似た鳥が閉じ込められている。
茶色い羽毛を膨らませて、その鳥は檻の隅にうずくまっていた。目を閉じて鳥はじっと動かない。どうやら具合が悪いようだ。
樹は何故かその鳥が気になって、檻の前から動けずにいた。
「……こいつが気に入ったのかい?」
店の前で立ち止まった樹に店主らしき小太りの男が声を掛ける。
「この子は売り物なんですか」
「おう。そいつは人の言葉をしゃべるフクロウさ。攻撃力を持たない珍しい魔物だよ。ペットにどうだ?」
「……死にかけてるように見えますけど」
檻の中でフクロウは浅い呼吸を繰り返すのみで動こうとしない。
「そうさなあ。夜行性だから夜になったら動くんじゃねえか」
「イツキ様、その鳥を飼いたいのですか?」
ロンに聞かれて、樹はためらいながらも頷いた。
「ああ。買ってもらってもいいかな」
「うーん、安いようだし構いませんが。でもイツキ様、帰る時はどうされるのです?」
フクロウを地球に連れ帰る訳にはいかない。
樹は苦笑いして「帰るときに逃がしてやるんだ」と言った。
それを聞いた店主が笑う。
「逃がすくらいなら店に返してくれよ」
「お金を払ったら僕のものです。どうしようが僕の勝手でしょう」
「そりゃそうだが」
ロンは硬貨を何枚か取り出して代金を支払う。
店主は茶色い紙で手荒に小さな檻を包むと樹に手渡した。
「まいどあり」
樹はフクロウの入った檻を抱え、観光を早めに切り上げて、神殿の自分の部屋に戻ることにした。
割り当てられた自分の部屋に戻ると、樹はフクロウの入った檻をテーブルの上に置いた。
フクロウは檻の中でぐったりした様子だった。
樹は店主にもらった鍵で檻を開けた。腕を檻の中に差し込んで、そっとフクロウの身体を運び出す。部屋にあった適当な籠に布を被せて、その上にフクロウを乗せた。店主にも言ったが飼う気はないので、逃げられても別に構わない。
こいつは何を食べるのだろう。
そう疑問に思うと、答えが自然と思い浮かぶ。
フクロウは肉食だ。
どこで聞いたんだっけ。樹は首を捻りながら食堂に行って、水と何かの肉を分けてもらった。
動かないフクロウの隣に座って、さてどうしようと考えていると、フクロウが目を開ける。
まんまるい金色の瞳が樹を見た。
『……イツキ?』
「何で僕の名前を知ってるんだ」
そういえば人の言葉をしゃべるフクロウだと、店主が言っていたか。
しかし何故、樹の名前を呼ぶのだろう。
偶然だろうか。
フクロウは丸い首をクルクル回し、しばらく樹と周囲の状況を観察しているようだった。
『ここはどこじゃ』
「夏風の都アストラル」
今いる街の名前は分かっても、この世界の中でどの辺りにある街なのか、国の名前も地域の特徴も樹は知らない。
『……こうしちゃおれん。わしは行かなくては』
フクロウは地名を聞くと、慌てて翼を広げて羽ばたこうとした。
猛禽類の翼は大きい。
両翼あわせ一メートル近くある立派な翼が樹の目の前で広がる。
しかしフクロウの翼は風切り羽が無惨に切り取られ、ボロボロになっていた。
バタバタするフクロウだが、風を起こすばかりで浮く様子もない。
『くっ……無念』
「まあとりあえず、この水を飲んで肉を食べたらどうだ。羽はその内生えてくるだろう」
そう勧めるとフクロウは観念したのか、大人しく籠に戻った。
差し出された水と肉を嘴でついばみはじめる。
『イツキは何故この世界に来たのだ?』
やっぱりこのフクロウは僕のことを知ってるのか。
疑問に思いつつも樹は答える。
「友達が勇者で、巻き込まれて召喚されたんだよ」
『では偶然……何ということだ。これも世界樹の導きなのか』
フクロウは勇者や召喚という、一般的とは思えない単語にも慣れた反応をし、樹の境遇についても理解しているようだった。深い金色の瞳には知性が感じられる。
いい加減気になって、樹は尋ねた。
「さっきから僕のことを知っているみたいな口ぶりだけど、僕は君と会ったことがあるのか」
『……』
フクロウは無言になって首を回す。
鳥の表情はよく分からないが、困っているようだ。
『イツキはまた元の世界に戻るのか?』
「ああ。三週間後くらいに、友達が帰ってきたらね」
『では、戻ればその内にわしのことは忘れてしまうだろう。異世界の出来事は夢。泡沫の幻。話しても意味があるまい』
訳が分からない。
だがフクロウは何だか悲しそうな空気を醸し出している。
樹は無理に聞き出すことは諦め、別のことを聞いた。
「あー、とりあえずフクロウさんの名前は何て言うんだ? あと、どこか行きたいところがあるのか?」
『わしの名はアウルじゃ。具合が悪いという友の精霊を訪ねる途中で、人間に捕まってしもうた』
「目的地は遠いのか?」
『いや、ここからならさほど遠くない。南東に少し行った場所じゃ。人間からはそう、杏の里と呼ばれておったぞ』
どこかで聞いた覚えがある。
智輝と結菜が行った場所がそういう名前だったような。
うつむいて眼鏡を押し上げ、樹は口角を吊り上げた。
眼鏡の端がキラーンと光る。
「ふふ……アウル、その友達に会いに行きたいよな?」
『む。イツキよ、何か企んでおらんか。雰囲気が怪しいぞ』
「気のせいだよ」
フクロウはしゅーっと羽をすぼめてスリムになって、籠の中で縮こまった。
大人しくなったフクロウを撫でながら樹は考えを巡らせていた。
神殿でじっとしているのも飽きてきたところだったのだ。
次の日の夜、樹はアウルを連れて、こっそり部屋を抜け出した。
一人と一羽は神殿の脇にある畜舎に忍び込む。
「ここでグリフォンを飼ってるって聞いたんだ。グリフォンってあれだろう、空を飛ぶ、人間より大きい鷲のモンスター」
『イツキよ。グリフォンは貴族や神官などの一部の人間が、万が一の時のための交通手段として飼育している希少な生き物だ。勝手に乗っていくと怒られるぞ』
「大丈夫だ。いざとなったら、勇者のあいつ等に全責任を押し付ける」
樹の肩にとまったフクロウは『オオゥ』と鳴いてぶるぶる震えた。
『何と破天荒な。いや以前からそうだったか』とぶつぶつ言っている。
常識的なフクロウの忠言は無視して、樹は畜舎の中を進んだ。
畜舎の通路は、所々に火を入れた鉄の箱が置いてあって様子がわかる程度の明るさはあった。
羊のような生き物や馬たちのいる場所から奥に入ったところに、一匹だけ離れてグリフォンが柵の中に立っている。
グリフォンは馬くらいの大きさの生き物で、猛禽類の頭と翼を持っている。薄暗闇に輝く金色の鋭い瞳が樹を見た。
威風堂々としたその姿に、樹は思わず気圧されて立ち止まる。樹の肩で様子を窺っていたアウルは、向こう見ずな樹の意外に臆病な一面を見て微笑ましく思った。
『イツキや、恐れるな。手を伸ばしてみよ。グリフォンはお主の言うことなら聞くだろう』
「噛まれないだろうな……」
アウルに促されて手を伸ばす。
グリフォンは樹の手を避けなかった。
そっと手を滑らせて首筋を撫でると目を細める。もっと撫でて、と言うようにグリフォンは首を下げて樹の手に頭をこすりつけた。
「可愛いな」
『……普通の人間ではこうはいかないがな』
「何か言ったか?」
『何もない。ほらイツキ、グリフォンに乗るんじゃろ』
フクロウは小声でぼそっと呟いたが、樹はグリフォンを撫でるのに夢中で聞いていなかった。意外に大人しいグリフォンの背によじ登って跨る。
「さて。異世界を冒険しに行こうじゃないか」
樹を乗せたグリフォンは畜舎を出ると、夜空に羽ばたいて上昇していった。
03 杏の里へ
樹が神殿を脱走した翌日。
神官トーラは、樹の残した書き置きの紙を発見して呆然としていた。
「私は日本語が読めません……」
紙には「友達を追いかけます。グリフォンは後で返します」と日本語で書いてあった。
異世界人のトーラに読める訳がない。
彼は謎の文字を見つめたが、読めなくても雰囲気で内容を悟った。
「大人しそうな少年だと思っていたのですが、見かけによらず、やんちゃな方のようですね」
この神殿で飼っているグリフォンは樹の乗っていった一匹のみ。
追いかけるのを早々に諦めて、トーラは渋面で呟いた。
「勇者様方に文を飛ばして、このことをお知らせしなければ……」
†
一方、智輝と結菜は暇に耐えかねた樹が脱走したことを知らずにいた。
彼等は目的地の、病が流行っているという農村に到着していた。
田畑や森に囲まれた土地で、背の低い民家がぽつぽつと立っている。
人通りは少なく、辺りは静まり返っていた。
「何か嫌な空気だな」
「村長さんの家に行ってみよう」
二人は神官トーラから、この付近のまとめ役の村長の家の場所を聞いていた。
辺りの家の中で最も大きい、村長の家を訪問する。
勇者であることを示す、国の紋章の付いた短剣を見せると、村長は協力的な態度で話に応じてくれた。
この里は杏という果実を特産品としていて、山の上に果樹の畑が広がっている。数か月以上前から、杏の樹木が枯れ始め、それと共に体調を崩す村人が出始めた。
さらには果樹しかない山の上に、魔物が現れるようになり、大層困っているという。
「いつもなら、今の時期は杏の木の花が咲くのです。薄いピンク色のとても可愛らしい花が満開になると、はるばる都からも花見客が訪れます。しかし、今年はそれどころではありません」
村長は、杏が全滅すればこの里の存続は危ういと、深刻そうに嘆息する。
「山の上に行ってみるか」
智輝は自分に言い聞かせるように呟いた。
サポートに徹している結菜も異論が無いようだ。彼女は黙って話の成り行きを見守っていた。勇者の二人が席を立つと、村長も合わせて立ち上がる。
「……お気を付けて」
村長は山の手前まで見送ってくれた。
山道を登りながら、結菜は自分の契約精霊を召喚する。
「来て、リーガル!」
四枚の透き通る翅を背負った、雪のように白い髪の少年が姿を現す。
結菜は風の精霊リーガルに、山の上の状況を教えてくれるように頼んだ。
『この山の上から、歪んだ精霊の気配がする』
半透明の姿で宙に浮きながらリーガルは言った。
「歪んだ精霊?」
『とても嫌な気配だ。どうやらこの地の精霊はおかしくなってしまったらしい』
憂いを帯びた眼差しで言うリーガルに、結菜と智輝は首を傾げた。
モンスターが暴れている訳ではないのだろうか。
不思議そうな勇者たちの様子を見たリーガルは、説明を始めた。
『結菜、モンスターや魔物と呼ばれているものには、二種類あるって知ってるかい?』
「いいえ」
『生まれた時から魔物に属しているものと、生まれた時は精霊だったけれど、何らかの理由によって歪んでしまい、魔物になってしまったものの、二種類があるんだよ』
「山の上にいるのは魔物になった精霊?」
『普通は歪むことなんてないんだ。けど最近、世界樹に異常が生じたせいで、おかしくなる精霊が増えている』
「世界樹……って、この世界のどこかにあるっていう噂の、聖なる木よね」
『そう。僕ら精霊は世界樹の力を受けて生まれるんだ』
結菜と智輝が今まで勇者として倒してきたのは、悪魔に近いモンスターたちだった。
しかし今回の敵は、歪んだ精霊だという。
警戒を緩めずに山を登る二人の目に、痛ましい姿になった木々が飛び込んでくる。
村長の話通り、果実がなる木はことごとく枯れて、葉を落としてしまっていた。
「油断すんなよ、結菜。モンスターがいる!」
智輝はそう言って、途中で足を止める。
彼は契約精霊を呼んで、炎の槍を手にした。
結菜も自分の武器である白い杖を取り出す。
すると草が擦れあう音がして、木陰からカマキリのようなモンスターが次々と姿を現した。
数が多い。一匹一匹は大したことが無さそうだが、行く手を阻むように群れるカマキリに、智輝が舌打ちする。
「ボスがいる場所にショートカットで飛びたいぜ!」
「無理言わないの、智輝。ここは異世界だけど、ゲームじゃないんだから」
二人は武器を構えて、襲って来るカマキリたちと戦い始めた。
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