山猫に首輪は付けられない

空色蜻蛉

文字の大きさ
64 / 266
*三年前* その背中を追いかけて

51 待て(※)

しおりを挟む
 カノンを怒らせたくない。
 甲羅から首を出す亀のように、リュンクスはおずおずと布団から顔を出した。見上げると、カノンは呆れた顔をしている。
 
「リュンクス、子供じゃないんだから」
「……ノクト先輩は俺にとって必要な人で、どちらか選べと言われたら困る。でも、カノンに嫌われたくないんだ」
 
 もやもやしている心のうちを吐き出す。
 カノンは、予想に反してプッと吹き出した。
 
「なんだ、そんなことか」
「!」
「リュンクス、忘れているようだが、俺は何人もサーヴァントを抱いている」
 
 卑怯なのは俺の方だ、とカノンは自嘲した。
 布団ごとリュンクスを引っ張りあげて、口付けを落とす。熱い手が脇腹と背中を撫でて、臀部をつかんだ。
 
「ぅ、あ……」
 
 待ち望んだ手に、リュンクスは身悶えする。
 
「食べ頃だな」
 
 カノンは、口の端を吊り上げて笑みを浮かべた。

「止めないで……もっと」
 
 躰が熱い。気が狂いそうなほど、カノンに触れて欲しかった。
 唇を合わせると、飢えが少し収まる。
 魔力が欲しくて自分から舌を伸ばす。
 リュンクスの痴態を、カノンは目を細めて観察する。寄せては返す波のように長く快楽を貪っていたが、一度、断ち切るように唇を離した。
 
「足を広げろ」
 
 命じられるままに服を脱ぎ、股を開く。
 羞恥心と共に自虐的な快感が堪らない。
 自分はカノンの奴隷だという確認が、リュンクスを興奮させる。
 カノンの手が内股をなぞり、慎み深く閉じた後穴を行ったり来たりする。滑りを良くし、怪我を避けるための油薬からは、薄荷の香りがする。薬学が得意なリュンクス作成の品だ。自分を犯すための薬を作らされるのは少しおかしくて、自虐的な快感を煽った。
 柔らかいタッチが段々深くなっていく。
 
「もう良いから、突っ込んでくれよ」
「駄目だ」
 
 カノンは責める手を緩めずに言った。
 
「君はもう少し、待てを覚えた方がいい」




(※カノン視点)
 
 ゆっくり味合わないともったいない。
 菊門に指を入れて何度も奥を探る。リュンクスが「もう嫌だ」と泣きを入れても、わざとらしく焦らした。
 
「しつけだ」
「っ、なんで」
「最近、俺の言うことを聞かないから」
 
 それは口実に過ぎない。
 だが発情して追い詰められているリュンクスは、気付かずに涙をポロポロ流す。
 実のところ、サリナを逃した事はもう怒っていない。どころか、止めてくれて良かったとリュンクスに感謝している。あのまま激情に任せて先輩に乱暴すると、後が大変だった。
 
「ここも甘そうだ」
「やっ……んぅ」
 
 熟れた果実のような乳首を舐める。
 理性を失い快感の受け皿と化したリュンクスの瞳は、まるで蜂蜜のようにトロリととろけている。
 猫のようにしなやかな体を、カノンは丁寧に愛でる。
 
「カノンがいじめる……」
「俺が嫌いになったか」
 
 リュンクスは首を横に振る。
 
「じゃあ、苛められて嬉しいか……?」
 
 耳元でささやくと、リュンクスは身をよじって震えた。答えは聞かなくても分かる。カノンはその反応に満足した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】

晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。 発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。 そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。 第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

流れる星は海に還る

藤間留彦
BL
若頭兄×現組長の実子の弟の血の繋がらない兄弟BL。 組長の命で弟・流星をカタギとして育てた兄・一海。組長が倒れ、跡目争いが勃発。実子の存在が知れ、流星がその渦中に巻き込まれることになり──。 <登場人物> 辻倉一海(つじくらかずみ) 37歳。身長188cm。 若い頃は垂れ目で優しい印象を持たれがちだったため、長年サングラスを掛けている。 組内では硬派で厳しいが、弟の流星には甘々のブラコン。 中村流星(なかむらりゅうせい) 23歳。身長177cm。 ストリートロックファッション、両耳ピアス。育ててくれた兄には甘えん坊だが、兄以外の前では──。 表紙イラストは座頭狂様に描いて頂きました✨ ありがとうございます☺️

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

異世界唯一のオメガ、恋を選ぶまでの90日

秋月真鳥
BL
――異世界に「神子」として召喚されたのは、28歳の元高校球児、瀬尾夏輝。 男性でありながらオメガである彼は、オメガの存在すら知られていない異世界において、唯一無二の「神に選ばれし存在」として迎えられる。 番(つがい)を持たず、抑制剤もないまま、夏輝は神殿で生活を共にする五人のアルファ候補たちの中から、90日以内に「番」となる相手を選ばなければならない。 だがその日々は決して穏やかではなく、隣国の陰謀や偽の神子の襲撃、そして己の体に起きる変化――“ヒート”と呼ばれる本能の波に翻弄されていく。 無口で寡黙な軍人アルファ・ファウスト。 年下でまっすぐな王太子・ジェラルド。 優しく理知的な年上宰相・オルランド。 彼らが見せる愛情と執着に、心を揺らしながら、夏輝は己の運命と向き合っていく。 ――90日後、夏輝が選ぶのは、誰の「番」としての未来か。 神の奇跡と恋が交錯する異世界で、運命の愛が始まる――。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に1話ずつ更新

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

処理中です...