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The Ultimate Ally(最強の助っ人)
第6話 文曲の依頼
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一緒に精霊界に行こうとレイヴンを誘ったが、断られてしまった。レイヴンは精霊界に行けない事情があるようだ。
星瞳の魔術師とは……
人間界に現れない幻の高位精霊と契約し、瞳に星座の刻印を宿した魔術師のことだ。とてつもない大魔術で魔物や災害を平定したり、圧倒的な知識や技術で革命を成し遂げたり、その時々で歴史に二つ名を刻む―――リトスもその一人で、二つ名を聖鳥という。親しい星瞳の魔術師からは、歌い鳥とも呼ばれている。
「こら、頭に乗るな」
どこからか落ちてきたヒヨコが頭に乗ったので、払い落す。
精霊界に訪れたリトスは、森の中を歩いていた。
周囲では、ぴよぴよ、チュッチュと鳥の鳴き声がうるさい。
聖鳥セマルグルと契約しているリトスは、精霊鳥になつかれ、つきまとまわれる宿命だ。鳥たちはリトスが大好きで、払い落しても払い落しても体の上に乗ってくる。
『ホウ~ホウ~……ようこそ、聖鳥の魔術師殿』
茶色いモコモコした梟が、リトスに向かい、うやうやしく告げる。
『文曲様がお待ちです』
森の奥、巨木の枝の上に、こじんまりとしたログハウスが建てられている。
リトスは枝の上へ橋渡しされた階段を登り、ログハウスの扉をノックした。
「お入り」
「失礼します」
こちらの来訪に気付いていたらしく、すぐに応答がある。
リトスは扉を開けた。
出迎えに現れたのは、深緑の長い髪を脇でたばねた、穏やかな雰囲気の年齢不詳の男性である。高位の魔術師らしい偉ぶった様子がまるでなく、素朴なシャツとズボンの上にゆったりと袖の長いローブを羽織って、休日のお兄さんといった出で立ちだ。
彼が、文曲の魔術師。星瞳の魔術師の中でも特別な、七星と呼ばれる一人である。
「アプリコットケーキを焼いたんだ。ミルクティーと一緒にどうだい?」
「わぁ! いただきます!」
「ふふふ、歌い鳥は本当に可愛いなぁ」
文曲はティーセットを出して、リトスを歓迎してくれた。
彼は基本的に見た目どおり優しい人である。
リトスはとりあえず有難く甘味を堪能し……一服したところで、本題を切り出した。
「文曲様、俺は今ハイランドを旅してるんです。ハイランドの魔術師協会って、文曲様が作ったんですか?」
「そうだよ。思えば、若気の至りだったな。イルミンスールの樹は、さぞかし大きく育ったことだろうね」
「はい。今では世界樹と呼ばれています」
森が好きな文曲だからこそ、ハイランドの中心に大きな樹を生やしたのだろうことは、想像に難くない。
小手調べに軽い雑談から入ったリトスだったが、文曲は何故か浮かない顔をする。
「あの樹は、遺跡を利用して育てたんだ。遺跡を取り込んで、その力を吸い上げる仕組みだ」
「道理であんなに大きくなったんですね。ハイランドの魔術師たちは、あなたの二つ名を賞賛していましたよ」
「賞賛されるべきではないんだ。あの大樹は、本当なら数百年も前に、既に枯れているはずだから」
「!」
世間話を装って文曲を褒めたリトスだが、思わぬ話の成り行きに姿勢を正した。
既に枯れているはず?
「人間界にいた頃の私は、傲慢にも自分は永世に残るものを生み出せると過信していた。後世の人間が管理できないものを、残すべきではなかったのに……あの大樹の寿命に気付いたのは、精霊界に来てからだ。そろそろ枯れるだろうと思い、弟子の銀花を見に行かせたが……彼女は帰ってこなかった」
文曲の魔術師は、憂いを帯びた眼差しで語る。
「人間界の噂を聞くに、イルミンスールの大樹は生きている。しかし、銀花はあれから戻って来ていない。その二つの事実が導き出す答えを、私は怖くて受け入れられず、ここにとどまっている」
「文曲様……」
「歌い鳥、お願いがある……ハイランドにいるなら、銀花がどうなったか、調べてくれないかい」
師と仰ぐ文曲の依頼だ。断る理由はない。
承諾の返事をしようと口を開きかけたリトスに、文曲は続けて言う。
「今、君はひとりじゃない。流星と一緒にいる。そうだろう?」
「!!」
レイヴンのためにハイランドの遺跡について調べていることを、その状況含め、文曲はお見通しだったらしい。
ばれっばれじゃないか。
リトスは何となく恥ずかしくなった。
「え~。流星? 考えすぎじゃないですか。なんで、奴と一緒に行動しなきゃいけないんですか」
「星瞳の魔術師は、プライドの高い実力者ばかりで、一人行動が多い。銀花ひとりを行かせたことを私は後悔しているんだよ。だが、君になら安心して任せられるな」
文曲はにこにこ笑顔で頼んできた。
「よろしく頼んだよ」
「う……」
流星とセット扱いするなと、とうの昔に捨てたはずのプライドがちゅんちゅんさえずっている。
リトスは返事に困ってしまって、無駄にティーカップを十回くらい回してしまった。
星瞳の魔術師とは……
人間界に現れない幻の高位精霊と契約し、瞳に星座の刻印を宿した魔術師のことだ。とてつもない大魔術で魔物や災害を平定したり、圧倒的な知識や技術で革命を成し遂げたり、その時々で歴史に二つ名を刻む―――リトスもその一人で、二つ名を聖鳥という。親しい星瞳の魔術師からは、歌い鳥とも呼ばれている。
「こら、頭に乗るな」
どこからか落ちてきたヒヨコが頭に乗ったので、払い落す。
精霊界に訪れたリトスは、森の中を歩いていた。
周囲では、ぴよぴよ、チュッチュと鳥の鳴き声がうるさい。
聖鳥セマルグルと契約しているリトスは、精霊鳥になつかれ、つきまとまわれる宿命だ。鳥たちはリトスが大好きで、払い落しても払い落しても体の上に乗ってくる。
『ホウ~ホウ~……ようこそ、聖鳥の魔術師殿』
茶色いモコモコした梟が、リトスに向かい、うやうやしく告げる。
『文曲様がお待ちです』
森の奥、巨木の枝の上に、こじんまりとしたログハウスが建てられている。
リトスは枝の上へ橋渡しされた階段を登り、ログハウスの扉をノックした。
「お入り」
「失礼します」
こちらの来訪に気付いていたらしく、すぐに応答がある。
リトスは扉を開けた。
出迎えに現れたのは、深緑の長い髪を脇でたばねた、穏やかな雰囲気の年齢不詳の男性である。高位の魔術師らしい偉ぶった様子がまるでなく、素朴なシャツとズボンの上にゆったりと袖の長いローブを羽織って、休日のお兄さんといった出で立ちだ。
彼が、文曲の魔術師。星瞳の魔術師の中でも特別な、七星と呼ばれる一人である。
「アプリコットケーキを焼いたんだ。ミルクティーと一緒にどうだい?」
「わぁ! いただきます!」
「ふふふ、歌い鳥は本当に可愛いなぁ」
文曲はティーセットを出して、リトスを歓迎してくれた。
彼は基本的に見た目どおり優しい人である。
リトスはとりあえず有難く甘味を堪能し……一服したところで、本題を切り出した。
「文曲様、俺は今ハイランドを旅してるんです。ハイランドの魔術師協会って、文曲様が作ったんですか?」
「そうだよ。思えば、若気の至りだったな。イルミンスールの樹は、さぞかし大きく育ったことだろうね」
「はい。今では世界樹と呼ばれています」
森が好きな文曲だからこそ、ハイランドの中心に大きな樹を生やしたのだろうことは、想像に難くない。
小手調べに軽い雑談から入ったリトスだったが、文曲は何故か浮かない顔をする。
「あの樹は、遺跡を利用して育てたんだ。遺跡を取り込んで、その力を吸い上げる仕組みだ」
「道理であんなに大きくなったんですね。ハイランドの魔術師たちは、あなたの二つ名を賞賛していましたよ」
「賞賛されるべきではないんだ。あの大樹は、本当なら数百年も前に、既に枯れているはずだから」
「!」
世間話を装って文曲を褒めたリトスだが、思わぬ話の成り行きに姿勢を正した。
既に枯れているはず?
「人間界にいた頃の私は、傲慢にも自分は永世に残るものを生み出せると過信していた。後世の人間が管理できないものを、残すべきではなかったのに……あの大樹の寿命に気付いたのは、精霊界に来てからだ。そろそろ枯れるだろうと思い、弟子の銀花を見に行かせたが……彼女は帰ってこなかった」
文曲の魔術師は、憂いを帯びた眼差しで語る。
「人間界の噂を聞くに、イルミンスールの大樹は生きている。しかし、銀花はあれから戻って来ていない。その二つの事実が導き出す答えを、私は怖くて受け入れられず、ここにとどまっている」
「文曲様……」
「歌い鳥、お願いがある……ハイランドにいるなら、銀花がどうなったか、調べてくれないかい」
師と仰ぐ文曲の依頼だ。断る理由はない。
承諾の返事をしようと口を開きかけたリトスに、文曲は続けて言う。
「今、君はひとりじゃない。流星と一緒にいる。そうだろう?」
「!!」
レイヴンのためにハイランドの遺跡について調べていることを、その状況含め、文曲はお見通しだったらしい。
ばれっばれじゃないか。
リトスは何となく恥ずかしくなった。
「え~。流星? 考えすぎじゃないですか。なんで、奴と一緒に行動しなきゃいけないんですか」
「星瞳の魔術師は、プライドの高い実力者ばかりで、一人行動が多い。銀花ひとりを行かせたことを私は後悔しているんだよ。だが、君になら安心して任せられるな」
文曲はにこにこ笑顔で頼んできた。
「よろしく頼んだよ」
「う……」
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