33 / 94
第1巻 1期目 閉会~臨時国会前日
内助の功罪
しおりを挟む
池山議員のせいで予定より早く議員宿舎に戻るはめになった俺は、臨時国会までの残り3日間を情報分析(ニュースを見ながらいろいろ考える)に充てることにした。これは特別会の前にも行ったことだが、今回は事情が違う。ここまでの短い期間にもいろいろな政治家に会っていろいろ話をしたし、それらの人々が一筋縄ではいかぬ人だということを実感している。また、目の前で池山議員が罠にはまり追い詰められたではないか。いつ俺もこのような罠にはまるかわからないので、自衛のために他の政治家達の動向を確かめておくのは大事だろうと考えた。しかし、このように張り巡らされた罠こそが政界という無明の闇そのものであり、いまいち実感がわいていなかった政治家という身分につながれた重い枷なのかもしれない。
それではと、俺は長期戦(長時間の引きこもり)に備えてコンビニに買い出しに行くことにした。議員宿舎のエントランスを出てコンビニの方に歩こうとすると、母親と男の子の二人連れが所在なさそうにうろうろしている。まさか、議員の不倫相手が子供を連れてきたのかと勘繰りたくはなったが、池山議員の登場でその心配は杞憂に終わることになった。
「美佐子・・・」
「あなた」
抱き合って喜んでいる姿は、まるで生き別れた夫婦のように思えた。
「池山さん。そのお方は奥さんですか」
3人に近寄って話しかける。池山議員も俺の存在に気が付いたようだ。
「そうです。妻の美佐子です。全くこっちには来るなっていったのに」
そういいながらもほっとしている様子だ、昨日あんなことがあった後だから無理もない。
「こちらの方は?」
奥さんが池山議員に聞くと、俺が同じ千葉出身の国会議員であること、無所属であること、当選証書を一緒に受け取った日から今まで親しくしていることなどを話してくれた。
「そうですか。主人が大変お世話になってるようですね。これからもよろしくお願い致します」
池山議員の奥さんは深々と礼をしてくれたのでこちらも礼をして返す。
「私は普段は地元で支持者の方々にご挨拶させて頂いたりして国会の方には来たことがないのですが、主人がこっちでちゃんとうまく生活できているか心配で今日は黙って訪ねてきた次第です」
むむむ。主人の生活態度が少し不安だったというのか、アリンのことまで勘づいたわけではないが、やはり政治家の妻独特の勘というものがあるのではなかろうか。
もちろんここでアリンとのことをぶちまけ池山議員を追い込むような真似はせず、それでは親子水入らずで楽しんでくださいと言って別れた。それに合わせて、小学生ぐらいの息子も俺に挨拶をしてきた。もし、昨日の池山議員の妄言が実行されていたなら、この奥さんと息子さんをどれだけ悲しませることになったのかと怒りさえ覚える。
この後、親子3人で議員宿舎に入って行った。当然池山議員の部屋に入るのだから、昨日指輪を引き取ったのは正解だったかもしれない。もし見つかれば、絶対になんの指輪か聞かれるだろうし、奥さんへのプレゼントと弁明したとしても300万円もする指輪を突然渡すのは不自然だろうから。
コンビニに向かって歩きながらもんもんと考える。昨日、池山議員の話を聞いていたとき、奥さんの話も出ていた。地元のおっさんばかり相手にしている自分の妻より、大物達を相手にしているアリンの方がいいという内容だったが、実際あった印象を考えてみると、よく言えばお似合いの夫婦、悪く言えばどこにでもいる普通の家族連れのような感じがする。
なるほど、赤坂の夜の町という特異な舞台で触発され、キャバクラ嬢との不倫という冒険をしてみたくなった池山議員の気持ちがわからなくもない。俺は地元の有権者の相手を地道に努めてきたのがあの奥さんの功で、夫を未知の地で冒険に駆り立ててしまった地味さが罪なのではないかと勝手に解釈したりしたのだった。
俺が将来議員の身で結婚するなら、堅実さだけでなく、多少冒険心をくすぐる危うさを合わせ持った女性が理想だなと考えたりもした。
それではと、俺は長期戦(長時間の引きこもり)に備えてコンビニに買い出しに行くことにした。議員宿舎のエントランスを出てコンビニの方に歩こうとすると、母親と男の子の二人連れが所在なさそうにうろうろしている。まさか、議員の不倫相手が子供を連れてきたのかと勘繰りたくはなったが、池山議員の登場でその心配は杞憂に終わることになった。
「美佐子・・・」
「あなた」
抱き合って喜んでいる姿は、まるで生き別れた夫婦のように思えた。
「池山さん。そのお方は奥さんですか」
3人に近寄って話しかける。池山議員も俺の存在に気が付いたようだ。
「そうです。妻の美佐子です。全くこっちには来るなっていったのに」
そういいながらもほっとしている様子だ、昨日あんなことがあった後だから無理もない。
「こちらの方は?」
奥さんが池山議員に聞くと、俺が同じ千葉出身の国会議員であること、無所属であること、当選証書を一緒に受け取った日から今まで親しくしていることなどを話してくれた。
「そうですか。主人が大変お世話になってるようですね。これからもよろしくお願い致します」
池山議員の奥さんは深々と礼をしてくれたのでこちらも礼をして返す。
「私は普段は地元で支持者の方々にご挨拶させて頂いたりして国会の方には来たことがないのですが、主人がこっちでちゃんとうまく生活できているか心配で今日は黙って訪ねてきた次第です」
むむむ。主人の生活態度が少し不安だったというのか、アリンのことまで勘づいたわけではないが、やはり政治家の妻独特の勘というものがあるのではなかろうか。
もちろんここでアリンとのことをぶちまけ池山議員を追い込むような真似はせず、それでは親子水入らずで楽しんでくださいと言って別れた。それに合わせて、小学生ぐらいの息子も俺に挨拶をしてきた。もし、昨日の池山議員の妄言が実行されていたなら、この奥さんと息子さんをどれだけ悲しませることになったのかと怒りさえ覚える。
この後、親子3人で議員宿舎に入って行った。当然池山議員の部屋に入るのだから、昨日指輪を引き取ったのは正解だったかもしれない。もし見つかれば、絶対になんの指輪か聞かれるだろうし、奥さんへのプレゼントと弁明したとしても300万円もする指輪を突然渡すのは不自然だろうから。
コンビニに向かって歩きながらもんもんと考える。昨日、池山議員の話を聞いていたとき、奥さんの話も出ていた。地元のおっさんばかり相手にしている自分の妻より、大物達を相手にしているアリンの方がいいという内容だったが、実際あった印象を考えてみると、よく言えばお似合いの夫婦、悪く言えばどこにでもいる普通の家族連れのような感じがする。
なるほど、赤坂の夜の町という特異な舞台で触発され、キャバクラ嬢との不倫という冒険をしてみたくなった池山議員の気持ちがわからなくもない。俺は地元の有権者の相手を地道に努めてきたのがあの奥さんの功で、夫を未知の地で冒険に駆り立ててしまった地味さが罪なのではないかと勝手に解釈したりしたのだった。
俺が将来議員の身で結婚するなら、堅実さだけでなく、多少冒険心をくすぐる危うさを合わせ持った女性が理想だなと考えたりもした。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密
まさき
青春
俺は今、東大院生の実験対象になっている。
ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。
「家庭教師です。住まわせてください」
突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。
桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。
偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。
咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。
距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。
「データじゃなくて、私がそう思っています」
嘘をついているような顔じゃなかった。
偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。
不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや
静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。
朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。
「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。
この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか?
甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる