会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

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第1巻 1期目 閉会~臨時国会前日

[回想]長くて短い休暇

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 さて俺は特別会が閉会して以来、1カ月間という学生時代以来の長期休暇を得ていたわけだが、まずはその長期休暇の自分の過ごし方について振り返ることにした。とにかく忙しくあっという間に過ぎた1カ月だったと言ってよいだろう。

 まず、初登院のときに会っただけの水本上親に無理やり連れられプレミアムフライデー音頭とやらを踊らされた。それは、カメラに抑えられカラオケの曲の合間にプレミアムフライデーのCMとして流れ、俺は妹の由香の前で大恥をかいてしまった。もちろんこんなこと、普段だったらあっそうですかとシカトすることだが、とにかく上親という男は押しが強い。自分はそう物分かりのいい方ではないと思っていたが、最終的には結局、上親の言う通り、プレミアムフライデー音頭を踊っていたのだから。
 俺が上親のことを考えていた時、つけっぱなしのテレビは「ふるさと紀行ー懐かしき五島」という番組に変わっていた。海に浮かぶ島の映像に続いて景気よく魚を水揚げしている様子が流れる。かなり漁業が盛んなようだ。続いて男達に食事を作っている女達の映像が流れ、その中の年配の人がインタビューを受けていた。
「おばあちゃん。まだまだ元気だね。えっ息子さんが町議なの?立派な息子さんなんだね」
レポーターが調子よくインタビューを続ける。
 五島+町議と言えば水本上親しか思いださないが、このおばあさんが上親の母親と考えるのは早計だろう。
「息子さんに言いたいことがある。じゃあぜひカメラを通して言ってあげてください」
「帰っといでー。もう出世なんてしなくていいから帰っといでー」
 おばあさんはカメラに向かって明るく言っているが、どことなく寂しそうだ。

 さて、上親にもたらされたハプニングを乗り切り故郷に帰った俺だが、そこで同級生だった安富に出会う。
 安富は元辣腕生徒会長のあだなに恥じず、たまたまあった俺の顔を見るなり同窓会を企画し元同級生達に呼び掛けた。その同窓会のときにいろいろ聞いて歩いてみると同級生達もそれぞれの職についているらしく、月日の流れを感じる。また、それだけ時間が経っていたにも関わらず、参加してくれた先生方は生徒達のことをしっかり覚えていて驚かされたのだった。
 その同窓会は学年の半分近くを集め、盛況のうちに幕を閉じることになった。そのとき安富は現在、市役所に勤めていると言っていたが、待機児童問題について何かヒントがもらえればと思ったが部署が違うらしく、何も教えてはくれなかった。しかし、何かいい話があったら連絡するとも言っていたので、あまり期待せず待っていることにしよう。

 そして、同窓会の二次会で居酒屋に居た時、この長期休暇のクライマックス、池山議員の不倫騒ぎに巻き込まれることになる。電話に出てみると池山議員の「助けてください」という声を聞く、何事かと、二次会を飛び出して議員宿舎に戻ってみると追い詰められた池山議員を目の当たりにする。どうやらキャバクラ嬢のアリンとの不倫写真を撮られそれが民自党の副幹事長狭間譲の手に渡っていたということだった。そこまでの行動を見るに自業自得の面が強いとは思うが、問題なのは誰が何のためにその写真を撮り狭間譲の手に渡したのかということだ。スキャンダルを掴んだ誰かがそれをネタに狭間譲に近づいたのか、あるいは狭間譲が誰かを雇い探らせたのか。
 コンビニで買った雑誌「文化収集」をパラパラとめくると、政治家や芸能人のスクープ記事が並ぶ。最近はテレビのワイドショーも文化収集のスクープに乗って特番を組むことが多く、これらのスクープは世の中を騒がせ時には大物を追い落とす、文収砲と呼ばれている。まあ、文収砲なんか見ていると政治家が探っていたというよりは、週刊誌のカメラマンに見つかったと考えるのが自然かな。。。

 何にしても池山議員をほっておけなかった俺は池山議員とアリンの間の伝書鳩を務め、結局、池山議員の失恋の片棒を担ぐことになる。キャバクラではアリンともう一人のケバいキャバクラ嬢に心無い言葉を投げつけられ、俺の心は池山議員を思い大きく傷ついた。しかし、国会議員を辞めてまでアリンと結婚すると言い出した池山議員の方が明らかにおかしいので、結局俺は折れ、池山議員にそれを伝える。
 池山議員はかなり取り乱していたが、俺は必死に説得し取りあえず落ち着かせることには成功した。そして日ごろの行動を不審に思い議員宿舎を尋ねてきた奥さんと息子のまるで生き別れたかのような再会を目の当たりにする。その後、普通に親子3人で議員宿舎に入っていた様子を見る限り、取りあえず最悪の事態は免れたようだ。
 考えが落ち着いたところで、テレビに目を向けると「代議士の元妻が振り下ろす狂気の刃。どろどろの不倫関係の終着駅」という恐ろしいタイトルのミステリードラマをやっていた。池山議員がこうならなくて本当によかった。

「ふっ-」
俺は大きなため息をつく。
 まあ、ただ寝てるだけの休暇にならなくてよかったか。多少遊びと思えない部分もないが、まんざら政治に無関係の休暇でもなかっただろう。俺は一人納得し、続いて個々の政治家達の考察に入ることにした。
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