会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

文字の大きさ
42 / 94
第1巻 1期目 臨時国会

朝まで生討論「選挙制度改革」

しおりを挟む
 この日も国会はあったが質疑応答やらは午後早い時間に終わり解散となった。
 この後、政党に所属している議員は集まって話し合ったり勉強会をする場合もあるかもしれないが、無所属の俺は何もせず家に帰ってもよい。立ち止まって話をしている議員たちの間を通り、国会の外に出ようとするといろいろな噂話が耳に入ってきた。
「今日の朝まで生討論は見ものだな」
「水園寺先生が出るって」
「息子?親父の方?」
「もちろん、親父のほうさ。先日の”親子で国会議員の場合はよし”の迷言で今はテレビに引っ張りだこらしい」
 俺は選挙制度改革特別委員会には出席していないのだが、水園寺幸房の失言はテレビで知っている。丁度、ホームドアの件が小康状態となって暇をしていたところだ、今日はこの番組を朝まで見ることにしよう。

 コンビニで食物や酒を買って自分の部屋に戻ると、取りあえずシャワーを浴び、早めの夕食を取ると番組の時間まで寝ることにした。

「ピピピピピピピ」

 目覚ましの音で目を覚ますと丁度番組開始五分前だ。近くに盛っておいたつまみや酒に手を伸ばしながら番組の開始を待つ。

トゥートゥートゥトゥトゥー
というお決まりの音楽とともに番組が始まる。
「司会の田籠蒼次郎(たごめそうじろう)です。今日は今話題となっている選挙制度改革について徹底討論を行います」
 そういうと、女性のアシスタントがパネルを立てて選挙制度改革について説明する。
「今日は民自党からは水園寺幸房さんにもお越しいただいております」
「ところで、今いろいろなところで話題となっているこの発言のVTRをどうぞ」
 そういうと、もみ合いになっている議員の中で水園寺幸房が「親子で国会議員の場合はよし」の発言をするシーンが流れた。
「これ、どう?やっぱり間違ってたと思う?」
 田籠蒼次郎が聞くと
「わしは間違っているとは思わんよ」
 水園寺幸房があっさり答えた様子に、討論番組に参加している議員たちは苦笑いだ。
「荒川さん、浜田さんは今日は出ない?」
 田籠蒼次郎が今度は民衆党の出席者にわざとらしく聞く。
「浜田党首は出る気まんまんだったんですけど」
「出る気あるのになぜ出ない」
「いや、水園寺さんが出るなって言ったらしく、私が代わりに出ることになりました。」
「わしは別に出るなとは言っとらんよ」
 会場からどっと沸き起こる笑い声をかき消すように水園寺幸房が大きな声で言った。さすがに毎日テレビで叩かれ、ちょっと怒り気味のようだ。

 なかなか今日の朝まで生討論は番組の開始早々波乱含みの展開である。

 このやり取りから推測するに、恐らく始め民衆党からは浜田彰浩がでる予定だったのだろう。しかし、そこに水園寺幸房があいつが出るなら出ないぐらいのことを言ったので、テレビ局のほうでは取捨選択を迫られ、結局騒ぎの当事者の水園寺幸房の方を選んだという流れではなかろうか。

 俺は水園寺幸房に多少の同情をしながら酒を口にする。

「まず、最初に言わせてもらうと、親子で選挙区分割ってずるいでしょ」
 荒川は水園寺割りのことを攻めた。
「だから、何がずるいのよ。ちゃんとわしは選挙のルールに従って戦ってるよ」
 幸房が返す。

「それでは水園寺割りについてなんだそれ?という視聴者の皆さんのために軽く説明しますと」
 そういうと、先日国会で民衆党の浜田が行った内容の説明が流れる。
「そのときも言ったけど、それのどこが悪いのよ。どうしてもっていうならルールを変えるしかないんじゃない。それとも民衆党はまた言うだけ番長?」
 幸房が容赦なく言う。
「民衆党は言うだけ番長じゃない。ちゃんと考えてます」
 実行力がないという皮肉は今の民衆党には答えるらしく、荒川もだんだんカッカ来ている。

 これです。荒川は用意してきた民衆党の制度案のパネルを前に出す。
「荒川さん。パネルが逆さ」
 田籠に言われてすかさずパネルをひっくり返す。
 民衆党の制度案では、親の選挙区に子供は5年間は立候補してはいけないというものだった。
「これは中選挙区が小選挙区に分かれた場合も同じ?」
 田籠が聞く。
「中選挙区が分かれた場合もそうです。どうでしょうか?これなら水園寺割りのような問題は起きません」
「馬鹿げてる」
 幸房が 一笑に付すと
「馬鹿じゃないです。この制度を作れば世襲の問題は二度と起きません。また、議員のお子さんも誰の目も憚らず他の選挙区から出馬することができる」

「民衆党も必至だね。なりふり構わないね。こんな調子じゃ次の選挙は共産党とだって組むんじゃないの?」
 これは保守系の他の参加者の発言だ。
「共産党との選挙協力なんてありません。民衆党は主義主張の違う政党とは手を組みません」
 荒川は両手を大きく振りながら反論した。

 だんだん選挙制度とはずれたところに議論が進んでいるが、この問題は今後の選挙の流れに大きく影響するかもしれない。この水園寺幸房の息子は初登院の日に出くわした義光か。息子の方が落ちてくれればざまあないのだが。

 そう言って酒を飲みながら論戦の渦中に自分の存在もあることを考えると、高揚感を覚えずにいられなかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

処理中です...