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第1巻 1期目 臨時国会
朝まで生討論「選挙制度改革」
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この日も国会はあったが質疑応答やらは午後早い時間に終わり解散となった。
この後、政党に所属している議員は集まって話し合ったり勉強会をする場合もあるかもしれないが、無所属の俺は何もせず家に帰ってもよい。立ち止まって話をしている議員たちの間を通り、国会の外に出ようとするといろいろな噂話が耳に入ってきた。
「今日の朝まで生討論は見ものだな」
「水園寺先生が出るって」
「息子?親父の方?」
「もちろん、親父のほうさ。先日の”親子で国会議員の場合はよし”の迷言で今はテレビに引っ張りだこらしい」
俺は選挙制度改革特別委員会には出席していないのだが、水園寺幸房の失言はテレビで知っている。丁度、ホームドアの件が小康状態となって暇をしていたところだ、今日はこの番組を朝まで見ることにしよう。
コンビニで食物や酒を買って自分の部屋に戻ると、取りあえずシャワーを浴び、早めの夕食を取ると番組の時間まで寝ることにした。
「ピピピピピピピ」
目覚ましの音で目を覚ますと丁度番組開始五分前だ。近くに盛っておいたつまみや酒に手を伸ばしながら番組の開始を待つ。
トゥートゥートゥトゥトゥー
というお決まりの音楽とともに番組が始まる。
「司会の田籠蒼次郎(たごめそうじろう)です。今日は今話題となっている選挙制度改革について徹底討論を行います」
そういうと、女性のアシスタントがパネルを立てて選挙制度改革について説明する。
「今日は民自党からは水園寺幸房さんにもお越しいただいております」
「ところで、今いろいろなところで話題となっているこの発言のVTRをどうぞ」
そういうと、もみ合いになっている議員の中で水園寺幸房が「親子で国会議員の場合はよし」の発言をするシーンが流れた。
「これ、どう?やっぱり間違ってたと思う?」
田籠蒼次郎が聞くと
「わしは間違っているとは思わんよ」
水園寺幸房があっさり答えた様子に、討論番組に参加している議員たちは苦笑いだ。
「荒川さん、浜田さんは今日は出ない?」
田籠蒼次郎が今度は民衆党の出席者にわざとらしく聞く。
「浜田党首は出る気まんまんだったんですけど」
「出る気あるのになぜ出ない」
「いや、水園寺さんが出るなって言ったらしく、私が代わりに出ることになりました。」
「わしは別に出るなとは言っとらんよ」
会場からどっと沸き起こる笑い声をかき消すように水園寺幸房が大きな声で言った。さすがに毎日テレビで叩かれ、ちょっと怒り気味のようだ。
なかなか今日の朝まで生討論は番組の開始早々波乱含みの展開である。
このやり取りから推測するに、恐らく始め民衆党からは浜田彰浩がでる予定だったのだろう。しかし、そこに水園寺幸房があいつが出るなら出ないぐらいのことを言ったので、テレビ局のほうでは取捨選択を迫られ、結局騒ぎの当事者の水園寺幸房の方を選んだという流れではなかろうか。
俺は水園寺幸房に多少の同情をしながら酒を口にする。
「まず、最初に言わせてもらうと、親子で選挙区分割ってずるいでしょ」
荒川は水園寺割りのことを攻めた。
「だから、何がずるいのよ。ちゃんとわしは選挙のルールに従って戦ってるよ」
幸房が返す。
「それでは水園寺割りについてなんだそれ?という視聴者の皆さんのために軽く説明しますと」
そういうと、先日国会で民衆党の浜田が行った内容の説明が流れる。
「そのときも言ったけど、それのどこが悪いのよ。どうしてもっていうならルールを変えるしかないんじゃない。それとも民衆党はまた言うだけ番長?」
幸房が容赦なく言う。
「民衆党は言うだけ番長じゃない。ちゃんと考えてます」
実行力がないという皮肉は今の民衆党には答えるらしく、荒川もだんだんカッカ来ている。
これです。荒川は用意してきた民衆党の制度案のパネルを前に出す。
「荒川さん。パネルが逆さ」
田籠に言われてすかさずパネルをひっくり返す。
民衆党の制度案では、親の選挙区に子供は5年間は立候補してはいけないというものだった。
「これは中選挙区が小選挙区に分かれた場合も同じ?」
田籠が聞く。
「中選挙区が分かれた場合もそうです。どうでしょうか?これなら水園寺割りのような問題は起きません」
「馬鹿げてる」
幸房が 一笑に付すと
「馬鹿じゃないです。この制度を作れば世襲の問題は二度と起きません。また、議員のお子さんも誰の目も憚らず他の選挙区から出馬することができる」
「民衆党も必至だね。なりふり構わないね。こんな調子じゃ次の選挙は共産党とだって組むんじゃないの?」
これは保守系の他の参加者の発言だ。
「共産党との選挙協力なんてありません。民衆党は主義主張の違う政党とは手を組みません」
荒川は両手を大きく振りながら反論した。
だんだん選挙制度とはずれたところに議論が進んでいるが、この問題は今後の選挙の流れに大きく影響するかもしれない。この水園寺幸房の息子は初登院の日に出くわした義光か。息子の方が落ちてくれればざまあないのだが。
そう言って酒を飲みながら論戦の渦中に自分の存在もあることを考えると、高揚感を覚えずにいられなかった。
この後、政党に所属している議員は集まって話し合ったり勉強会をする場合もあるかもしれないが、無所属の俺は何もせず家に帰ってもよい。立ち止まって話をしている議員たちの間を通り、国会の外に出ようとするといろいろな噂話が耳に入ってきた。
「今日の朝まで生討論は見ものだな」
「水園寺先生が出るって」
「息子?親父の方?」
「もちろん、親父のほうさ。先日の”親子で国会議員の場合はよし”の迷言で今はテレビに引っ張りだこらしい」
俺は選挙制度改革特別委員会には出席していないのだが、水園寺幸房の失言はテレビで知っている。丁度、ホームドアの件が小康状態となって暇をしていたところだ、今日はこの番組を朝まで見ることにしよう。
コンビニで食物や酒を買って自分の部屋に戻ると、取りあえずシャワーを浴び、早めの夕食を取ると番組の時間まで寝ることにした。
「ピピピピピピピ」
目覚ましの音で目を覚ますと丁度番組開始五分前だ。近くに盛っておいたつまみや酒に手を伸ばしながら番組の開始を待つ。
トゥートゥートゥトゥトゥー
というお決まりの音楽とともに番組が始まる。
「司会の田籠蒼次郎(たごめそうじろう)です。今日は今話題となっている選挙制度改革について徹底討論を行います」
そういうと、女性のアシスタントがパネルを立てて選挙制度改革について説明する。
「今日は民自党からは水園寺幸房さんにもお越しいただいております」
「ところで、今いろいろなところで話題となっているこの発言のVTRをどうぞ」
そういうと、もみ合いになっている議員の中で水園寺幸房が「親子で国会議員の場合はよし」の発言をするシーンが流れた。
「これ、どう?やっぱり間違ってたと思う?」
田籠蒼次郎が聞くと
「わしは間違っているとは思わんよ」
水園寺幸房があっさり答えた様子に、討論番組に参加している議員たちは苦笑いだ。
「荒川さん、浜田さんは今日は出ない?」
田籠蒼次郎が今度は民衆党の出席者にわざとらしく聞く。
「浜田党首は出る気まんまんだったんですけど」
「出る気あるのになぜ出ない」
「いや、水園寺さんが出るなって言ったらしく、私が代わりに出ることになりました。」
「わしは別に出るなとは言っとらんよ」
会場からどっと沸き起こる笑い声をかき消すように水園寺幸房が大きな声で言った。さすがに毎日テレビで叩かれ、ちょっと怒り気味のようだ。
なかなか今日の朝まで生討論は番組の開始早々波乱含みの展開である。
このやり取りから推測するに、恐らく始め民衆党からは浜田彰浩がでる予定だったのだろう。しかし、そこに水園寺幸房があいつが出るなら出ないぐらいのことを言ったので、テレビ局のほうでは取捨選択を迫られ、結局騒ぎの当事者の水園寺幸房の方を選んだという流れではなかろうか。
俺は水園寺幸房に多少の同情をしながら酒を口にする。
「まず、最初に言わせてもらうと、親子で選挙区分割ってずるいでしょ」
荒川は水園寺割りのことを攻めた。
「だから、何がずるいのよ。ちゃんとわしは選挙のルールに従って戦ってるよ」
幸房が返す。
「それでは水園寺割りについてなんだそれ?という視聴者の皆さんのために軽く説明しますと」
そういうと、先日国会で民衆党の浜田が行った内容の説明が流れる。
「そのときも言ったけど、それのどこが悪いのよ。どうしてもっていうならルールを変えるしかないんじゃない。それとも民衆党はまた言うだけ番長?」
幸房が容赦なく言う。
「民衆党は言うだけ番長じゃない。ちゃんと考えてます」
実行力がないという皮肉は今の民衆党には答えるらしく、荒川もだんだんカッカ来ている。
これです。荒川は用意してきた民衆党の制度案のパネルを前に出す。
「荒川さん。パネルが逆さ」
田籠に言われてすかさずパネルをひっくり返す。
民衆党の制度案では、親の選挙区に子供は5年間は立候補してはいけないというものだった。
「これは中選挙区が小選挙区に分かれた場合も同じ?」
田籠が聞く。
「中選挙区が分かれた場合もそうです。どうでしょうか?これなら水園寺割りのような問題は起きません」
「馬鹿げてる」
幸房が 一笑に付すと
「馬鹿じゃないです。この制度を作れば世襲の問題は二度と起きません。また、議員のお子さんも誰の目も憚らず他の選挙区から出馬することができる」
「民衆党も必至だね。なりふり構わないね。こんな調子じゃ次の選挙は共産党とだって組むんじゃないの?」
これは保守系の他の参加者の発言だ。
「共産党との選挙協力なんてありません。民衆党は主義主張の違う政党とは手を組みません」
荒川は両手を大きく振りながら反論した。
だんだん選挙制度とはずれたところに議論が進んでいるが、この問題は今後の選挙の流れに大きく影響するかもしれない。この水園寺幸房の息子は初登院の日に出くわした義光か。息子の方が落ちてくれればざまあないのだが。
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