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第1巻 1期目 臨時国会
ニートが決起する日②古味の初講演
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若者就職相談会に講演者として参加することを決めた俺は、朝早く起きて会場へ向かった。文書通信交通滞在費というものが出ているので、駅についてから公民館までは遠慮なくタクシーを使用した。受付に丁度1時間前に着くと結局開始時間まで待ってくれというので俺は若者就職相談会の会場を見て歩くことにした。
相談会の会場のブースには市役所の呼びかけで集まった地元企業が就職相談窓口を設けており、多くの若者で賑わっている。参加企業には地元の名産品を製造している業者もあれば、IT企業や車の部品工場などいろいろあった。俺が就職活動に苦労していた時にこういった場が開かれていたのなら、自分の進路はまた違ったものになったかもしれない。
スーツ姿でうろうろしていると、
「就職希望の方ですか?」
と運送関係の会社の担当者から声をかけられたので違いますと答えた。企業の方からも参加者に積極的にアプローチしているようだ。
「古味何をしているこっちだこっち」
いろいろ感心しながら歩いていたが、気が付くと開始15分前になっていたので安富が探しにきた。
そして、連れられた先はメインホールのステージの横の控えスペースで、そこで俺は自分の順番を待つよう指示された。
講演会が始まると、まず壇上には市役所の担当者らしい人が立ち、今日のメニューを説明する。メニューによれば、1時間ほど、NPOの人が「若者の就業活動の現状と対策について」というタイトルで講演した後、俺が30分程講演することになっている。俺の講演のタイトルは「いざ飛び込もう社会の海へ」と付いていた。これは多分安富あたりが付けたものだと思う。
司会に促され、NPOの人が壇上に向かうとステージからパチパチパチと拍手が沸き起こった。参加している顔ぶれを見ると、あきらかに若者でない人たちも参加している。恐らく親が一緒に来ているのだろう。
「いいですか皆さん。これが現在の就業活動の状況です」
NPOの人がそう言うと、スライドで若者の無就業者の人数が折れ線グラフで表示される。
「こうしてグラフを見て頂けるとわかると思いますが、皆さんと同じ悩みを抱えている方は全国にたくさんいます。
決して珍しいことではないのです。
また、こちらは求人数のグラフになりますが、人手不足で悩んでいる企業はたくさんあるのです。
よく、私どものNPOに相談に来られた方からは今の年齢でも就職できますか?応募しても無駄ってことはあり
ませんか?という質問をされることがあるのですが、決してそのようなことはありません。
就職しようとする意志さえあれば働ける場所は必ず見つかるはずです」
NPOとして普段から若者の就職支援に当たっているだけあって、示される資料やアドバイスは具体的なものが多い。俺は自分の無謀と偶然の産物をここで語ることが果たして必要なのかと正直後悔してしまう。しかし、ここまで来て今さら帰ることはできない。
「ありがたいお話をいろいろありがとうございました」
司会の人がそういうと、NPOの人は会場に礼をして引き下がる。会場からは開始のとき以上の拍手が沸き上がっている。
「続いて衆議院議員の古味良一さんの講演です」
そう言われると講演などしたことがない俺の心臓の鼓動は急激に速度を速めていく。
「古味さん。古味さん」
俺が深呼吸をしていると早く出ろと司会の人が催促しだした。安富も後ろの方でクビを振って出るよう促す。俺は飛び込み台から飛び込むような面持ちで壇上に向かって歩き出した。
「皆さん。はじめまして衆議院議員の古味良一です」
登場に戸惑ってしまったからかNPOの人のときと違い、拍手はあまり起こっていない。
「すみません。こういったところで話をするのは初めてなので。。。前の方のように資料らしいものも何もありません」
「え~・・・ごほんごほん」
考えてきた内容が頭の中で真っ白になる。こんなことなら練習してくればよかった。
俺が動揺しているのを感じ取ったか会場の方もどよどよする。
「皆さんも政治家になってください!」
かなり上ずった声で突然発した言葉がそれであった。
「えっ・・・」
「なんだって」
会場に動揺が走る。
「こっ古味の奴、何言ってやがる」
ステージの横で聞いていた安富も慌てている。
俺は会場に目をやったが視界がぼやけて人の顔らしいものは見えない。額から汗がにじみ出る。それでも、混乱する頭を落ちつけ、俺はまず選挙の体験談から語ることにしたのだった。
相談会の会場のブースには市役所の呼びかけで集まった地元企業が就職相談窓口を設けており、多くの若者で賑わっている。参加企業には地元の名産品を製造している業者もあれば、IT企業や車の部品工場などいろいろあった。俺が就職活動に苦労していた時にこういった場が開かれていたのなら、自分の進路はまた違ったものになったかもしれない。
スーツ姿でうろうろしていると、
「就職希望の方ですか?」
と運送関係の会社の担当者から声をかけられたので違いますと答えた。企業の方からも参加者に積極的にアプローチしているようだ。
「古味何をしているこっちだこっち」
いろいろ感心しながら歩いていたが、気が付くと開始15分前になっていたので安富が探しにきた。
そして、連れられた先はメインホールのステージの横の控えスペースで、そこで俺は自分の順番を待つよう指示された。
講演会が始まると、まず壇上には市役所の担当者らしい人が立ち、今日のメニューを説明する。メニューによれば、1時間ほど、NPOの人が「若者の就業活動の現状と対策について」というタイトルで講演した後、俺が30分程講演することになっている。俺の講演のタイトルは「いざ飛び込もう社会の海へ」と付いていた。これは多分安富あたりが付けたものだと思う。
司会に促され、NPOの人が壇上に向かうとステージからパチパチパチと拍手が沸き起こった。参加している顔ぶれを見ると、あきらかに若者でない人たちも参加している。恐らく親が一緒に来ているのだろう。
「いいですか皆さん。これが現在の就業活動の状況です」
NPOの人がそう言うと、スライドで若者の無就業者の人数が折れ線グラフで表示される。
「こうしてグラフを見て頂けるとわかると思いますが、皆さんと同じ悩みを抱えている方は全国にたくさんいます。
決して珍しいことではないのです。
また、こちらは求人数のグラフになりますが、人手不足で悩んでいる企業はたくさんあるのです。
よく、私どものNPOに相談に来られた方からは今の年齢でも就職できますか?応募しても無駄ってことはあり
ませんか?という質問をされることがあるのですが、決してそのようなことはありません。
就職しようとする意志さえあれば働ける場所は必ず見つかるはずです」
NPOとして普段から若者の就職支援に当たっているだけあって、示される資料やアドバイスは具体的なものが多い。俺は自分の無謀と偶然の産物をここで語ることが果たして必要なのかと正直後悔してしまう。しかし、ここまで来て今さら帰ることはできない。
「ありがたいお話をいろいろありがとうございました」
司会の人がそういうと、NPOの人は会場に礼をして引き下がる。会場からは開始のとき以上の拍手が沸き上がっている。
「続いて衆議院議員の古味良一さんの講演です」
そう言われると講演などしたことがない俺の心臓の鼓動は急激に速度を速めていく。
「古味さん。古味さん」
俺が深呼吸をしていると早く出ろと司会の人が催促しだした。安富も後ろの方でクビを振って出るよう促す。俺は飛び込み台から飛び込むような面持ちで壇上に向かって歩き出した。
「皆さん。はじめまして衆議院議員の古味良一です」
登場に戸惑ってしまったからかNPOの人のときと違い、拍手はあまり起こっていない。
「すみません。こういったところで話をするのは初めてなので。。。前の方のように資料らしいものも何もありません」
「え~・・・ごほんごほん」
考えてきた内容が頭の中で真っ白になる。こんなことなら練習してくればよかった。
俺が動揺しているのを感じ取ったか会場の方もどよどよする。
「皆さんも政治家になってください!」
かなり上ずった声で突然発した言葉がそれであった。
「えっ・・・」
「なんだって」
会場に動揺が走る。
「こっ古味の奴、何言ってやがる」
ステージの横で聞いていた安富も慌てている。
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