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第1巻 1期目 臨時国会
ニートが決起する日③ニートよ政治家になれ
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「皆さんも政治家になってください!」
の一言に会場は騒然としている。俺はその雰囲気に自分が失言してしまったことに気づいたが、すぐに考えを改める。
自分は怠惰でいい加減な人間だった。職に就かず実際にニートだったときもあった。だとしたら、会場にいる大勢のニート達と何が違うのだろう。彼らだって立候補して当選すればその日から政治家なのだ。
「私が政治家になったのはほんの数か月前です。それまで定職にこそ就いていましたが、たいした仕事じゃない。食器を売って歩くだけのどこにでもいる普通のサラリーマンでした」
会場は驚いたままだが皆俺の方を注視している。
「会場の皆さんは誰もが社会に参加する意思を持ってこの講演を聞いているのだと思います。
しかし、今までは運が悪かったかもしれません。自分がしたい仕事が見つからなかったのかもしれません。だから、ニートだったのです。それでも、こういった機会に自分にふさわしい道を得ようと必死になって企業のブースを巡ったり、先ほどのNPOの人の話を聞いたり、さらに時間をかけて私の話を聞いてくれているのではありませんか。だったら、これから先の選択肢の一つに”政治家”という道があってもいいではありませんか」
そこまで言いきって一呼吸置く。我ながら無責任なことを言っているなと思う。皆、無職の現状ではまずいから今回の就職相談会に来ているのであって、立候補したところで選挙に落ちたら、その人はニートのままなのだ。
沈黙がしばらく続いたところで、会場の一人の若者が手を上げる。
「なんでしょうか?」
これは全くのアドリブだったが、続けて話す内容も考えていないので、その若者を指名する。すると、司会はびっくりしていたが、マイクを持って若者のところに移動した。
若者はマイクを渡され立ち上がった。
「すみません。突然手を挙げてしまって。しかし、古味先生の政治家になってくださいの一言に感動しました。僕は何年もニートで引きこもっていました。それなのに突然政治家になれるものなのでしょうか」
「なれます」
質問を投げかけられ余計に開き直る。
「選挙に立候補するのに引きこもっていたかは関係ありません。全てあなたの意志一つです」
「いいかげんなことを言うな」
「だまされるな当選するわけねえだろ」
黙って聞いていた人たちから反論の声があがる。
「国会議員に当選したからっていい気になるな」
「確かにいい気になっているかもしれません。でも、国会議員じゃなくてもいいじゃないですか。市議会もあれば県議会もある。もっとど田舎(例えば水本上親の五島列島近辺のような)の町・村議会でもいいんです。あなたたちが政治家になりたいと決意すれば必ず道は開けるはずです」
「もう、なんなんですかこの人は。みんなおかしくなっちゃうじゃない」
これはニートの母親の弁である。
「そうだ。そうだ」
「まじかよ」
そう言って、腹を立てたニートが何人かステージに近寄ると、続けて何人も近づいてきた。危機感を抱いた司会者が席に戻るよう注意するが、負けずに俺も壇上から飛び降りた。
「うわああああああ」
その様子に会場には大きな声が上がる。
「あんた。たまたま選挙に当選した古味さんだろ」
「俺、ネットで見てたもん。掲示板が炎上して知名度上がったんだって」
「そうです。だからどうしたと言うんです」
「あんたなんか絶対2回受からない。あんたも次の選挙でニートだから。俺らと同じニートだから」
感情的になったニートが俺に罵詈雑言を浴びせる。
「そうです。私も次の選挙でニートです。だからこそ言いたい」
何が言いたいんだという感じで、詰め寄ってきているニートの注目が俺に注がれる。
「ニートよ政治家になれ」
「ええっ!?」
「ニートよ政治家になれって・・・」
会場がざわざわする。
「僕たちも政治家になればいんですね。わかりました」
俺の言動に反発した輪の中からひときわ大きな声が上がった。そうすると、何人か賛同したのか、わかりましたと言って会場から出ていく。
「おいおい。みんなまじかよ」
「いいぜ。行こうぜ」
大勢の人が何かを悟ったのか「俺も政治家になると」言って会場を後にして行く。
「あちゃー古味何言ってんだよ。それじゃあ就職相談会の意味がないじゃん」
安富はあきれ顔だ。
俺もそのまましばらく睨み合っていたが、ニートの輪が解けていくのを見届けると壇上に登り、一礼をしてメインホールを後にした。
の一言に会場は騒然としている。俺はその雰囲気に自分が失言してしまったことに気づいたが、すぐに考えを改める。
自分は怠惰でいい加減な人間だった。職に就かず実際にニートだったときもあった。だとしたら、会場にいる大勢のニート達と何が違うのだろう。彼らだって立候補して当選すればその日から政治家なのだ。
「私が政治家になったのはほんの数か月前です。それまで定職にこそ就いていましたが、たいした仕事じゃない。食器を売って歩くだけのどこにでもいる普通のサラリーマンでした」
会場は驚いたままだが皆俺の方を注視している。
「会場の皆さんは誰もが社会に参加する意思を持ってこの講演を聞いているのだと思います。
しかし、今までは運が悪かったかもしれません。自分がしたい仕事が見つからなかったのかもしれません。だから、ニートだったのです。それでも、こういった機会に自分にふさわしい道を得ようと必死になって企業のブースを巡ったり、先ほどのNPOの人の話を聞いたり、さらに時間をかけて私の話を聞いてくれているのではありませんか。だったら、これから先の選択肢の一つに”政治家”という道があってもいいではありませんか」
そこまで言いきって一呼吸置く。我ながら無責任なことを言っているなと思う。皆、無職の現状ではまずいから今回の就職相談会に来ているのであって、立候補したところで選挙に落ちたら、その人はニートのままなのだ。
沈黙がしばらく続いたところで、会場の一人の若者が手を上げる。
「なんでしょうか?」
これは全くのアドリブだったが、続けて話す内容も考えていないので、その若者を指名する。すると、司会はびっくりしていたが、マイクを持って若者のところに移動した。
若者はマイクを渡され立ち上がった。
「すみません。突然手を挙げてしまって。しかし、古味先生の政治家になってくださいの一言に感動しました。僕は何年もニートで引きこもっていました。それなのに突然政治家になれるものなのでしょうか」
「なれます」
質問を投げかけられ余計に開き直る。
「選挙に立候補するのに引きこもっていたかは関係ありません。全てあなたの意志一つです」
「いいかげんなことを言うな」
「だまされるな当選するわけねえだろ」
黙って聞いていた人たちから反論の声があがる。
「国会議員に当選したからっていい気になるな」
「確かにいい気になっているかもしれません。でも、国会議員じゃなくてもいいじゃないですか。市議会もあれば県議会もある。もっとど田舎(例えば水本上親の五島列島近辺のような)の町・村議会でもいいんです。あなたたちが政治家になりたいと決意すれば必ず道は開けるはずです」
「もう、なんなんですかこの人は。みんなおかしくなっちゃうじゃない」
これはニートの母親の弁である。
「そうだ。そうだ」
「まじかよ」
そう言って、腹を立てたニートが何人かステージに近寄ると、続けて何人も近づいてきた。危機感を抱いた司会者が席に戻るよう注意するが、負けずに俺も壇上から飛び降りた。
「うわああああああ」
その様子に会場には大きな声が上がる。
「あんた。たまたま選挙に当選した古味さんだろ」
「俺、ネットで見てたもん。掲示板が炎上して知名度上がったんだって」
「そうです。だからどうしたと言うんです」
「あんたなんか絶対2回受からない。あんたも次の選挙でニートだから。俺らと同じニートだから」
感情的になったニートが俺に罵詈雑言を浴びせる。
「そうです。私も次の選挙でニートです。だからこそ言いたい」
何が言いたいんだという感じで、詰め寄ってきているニートの注目が俺に注がれる。
「ニートよ政治家になれ」
「ええっ!?」
「ニートよ政治家になれって・・・」
会場がざわざわする。
「僕たちも政治家になればいんですね。わかりました」
俺の言動に反発した輪の中からひときわ大きな声が上がった。そうすると、何人か賛同したのか、わかりましたと言って会場から出ていく。
「おいおい。みんなまじかよ」
「いいぜ。行こうぜ」
大勢の人が何かを悟ったのか「俺も政治家になると」言って会場を後にして行く。
「あちゃー古味何言ってんだよ。それじゃあ就職相談会の意味がないじゃん」
安富はあきれ顔だ。
俺もそのまましばらく睨み合っていたが、ニートの輪が解けていくのを見届けると壇上に登り、一礼をしてメインホールを後にした。
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