会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

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第2巻 そして解散へ

[永田町戦国絵巻]亀将軍阿相元春

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 さて、目白さんは家に帰ったが、俺はしばらく選挙事務所で暮らすことにした。
選挙事務所内には炊事洗濯どころかシャワーの設備も整っていて、近くにコンビニもあることから生活に不便はしないだろう。
 俺はコンビニで酒やらつまみやら弁当やらを買い込み事務所に戻ってきた。そして、40型はあるだろう大型テレビの電源を付ける。そこかしこのニュースは総選挙の話題で持ちきりだ。丁度お気に入りの討論番組「TVスクラム」が始まる時間だったのでもちろんそのチャンネルに変える。
「今日は1時間まるごと選挙をぶった切り。民自党の凋落とともに国会は今や戦国時代。というわけで戦国時代に例えたこちらのコーナーをご覧ください」
 女性キャスターがそういうと、「永田町戦国絵巻」とかいう政治を時代劇に風刺したコーナーが始まった。

 時は各大名がそれぞれ力を蓄え相争う戦国時代。今まで将軍家の下、大人しくしていた大名達も南蛮由来の大砲を揃えた明・高麗の連合軍に日本軍が敗北し、将軍の威光が衰えるとここぞとばかりに天下を狙い始めていた。
 
「ほら、いけ亀、いけ元春。負けるんじゃないぞ」
 都の路地でお菓子を売っている男が甲羅に「将軍」と書いた亀を同じ甲羅に「明・高麗」と書いた亀にけしかけている。大勢の子供たちがその様子を食い入るように見ている。「将軍」と書いた亀が倒れそうになったところで、
「はい。そこまで続きはお菓子を買ってからだよ」
 お菓子が欲しいのか亀相撲の続きを見たいのか「わーわー」と子供たちが我先にとお菓子を買って行く。

 そんな中、京都御所の征夷大将軍阿相元春。通称「亀将軍」は管領の木宮竜彦を呼び出す。
「竜彦。関東の情勢はどうなっておる」
「はっ。非常にまずい情勢です。関東を取りまとめていた関東管領水園寺幸房が、親子で常陸の国を分割統治したのを皮切りに、他の有力大名から反発を受けています。下手をすれば常陸の国を失うことになりかねません。」
 竜彦は御所の一室に広げられた日本地図の関東付近を扇子で指さす。
「ふむ。関東は御所から遠いゆえ、余の威光が届かぬところもあるようじゃ。今は水園寺の奮闘に期待する他ないだろう。越前の秋屋と近江の渦川はどうしておる?」
「両大名とも将軍様の大恩を受けている大名。簡単に逆らうようなことはないと思っていましたが、秋屋を格上の役職に着けたのを不満に感じた渦川が将軍家からの離反を企てております」
「大恩を忘れ背くか渦川よ。じゃが秋屋も所詮損得で動く知れ者じゃ。」
「その通りでございます。両者が戦ってお互いに弱ってくれれば将軍家にとって好都合でございます。」

「その他の地方は万事平穏であろうな?」
「いえ、肥前の国にて中央の政治に異を唱える農民が集まって、一揆を企てております」
「なに?農民ずれが一揆と・・・。そのようなもの鎮圧してしまえばよかろう」
「拙者もそのように楽観しておりましたが、一揆を率いている上親という田舎侍が相当数の農民を集め、肥前の国の手にあまるそうです。将軍様へ援軍を求めております」
「ままならぬことよ、狭間に手を打つよう伝えよ」
「ははっ」
「念のため確認しておくが、都の防備は大丈夫であろうな?」
 将軍の威光は衰えており、地方の方まで手が回らないというのが本心であったが、さすがに都を失うほどではないらしい。
 そこまで言うと元春は疲れたのであろう寝所に引っ込んでしまった。

 思えば、将軍となってより5年。当時うまくまとまっていた日の本も最近は乱続きである。
 どうにか乱を静め在りし日の栄光を取り戻したい。夢うつつの中で元春はそう考えていた。

 というところでCMに入った。
 俺は手が湿っているの感じた。冷えたビールの水滴かもしれないし、俺の汗かもしれない。もちろん戦国時代に選挙などないわけだが、大名ー政治家、足軽ー支持者と考えれば、現代に通じることもある。こんな風刺が成り立つのもうなずける。

 永田町戦国絵巻はCMの後、まだまだ続くらしい。俺はつまみを食いながらCMが終わるのを待った。
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