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第2巻 そして解散へ
[永田町戦国絵馬]風雲児古味良一③
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崖下を抜けると簡易な宿場町があった。ここで待てと女忍者に言われた良一は何をすることもなくずっと待っていた。手紙の差出人から渦川とかいう人物に雇われている忍者なのはわかったが本人の名前はわからずじまいだ。
「なんかいい話はないかな」
一人で呟く。地元では親父に城持ちになりたいなどとわけがわからないことを言って殺されそうになったが良一の本心でもある。もし、この女忍者の雇い主が大物だったとしたら、手柄の一つも立てることができれば城を持てるかもしれない。そういう甘い期待を持っていると後ろから刃物を突き刺すような感触が襲ってきた。
「静かに。すぐにここを出立しますよ」
「すぐに?まだ夜中なんだけど」
「いいから追手が来るかもしれません」
そう言われるがまま慌てて宿を出た。自分たちが宿を出るのと前後して刺客と思われる男たちが宿に押し入っていくのが見えた。もし、すぐに宿を出なかったら城持ちになるどころか殺されていたな。
「なんなんだあいつら。というかあんたこそなんなんだ」
「素性はいずれ明かします。というよりこういうこともあるとわかっていてついてきたのではありませんか?」
俺は何も言い返せず女忍者についていく。
「もう近江の国には入ったのか?」
「もうすぐです」
今まで下総の国すらまともに出たことのない俺にとっては近江がこんなに遠いところだとは想像もできなかった。まあ、越前の国とやらに遠回りしたせいもあるだろうが。
そんなやり取りからどれだけの時間が過ぎたであろうか。男といえども女忍者の足についていくのは大変だったが、どうにか近江の国まで来たらしい。家を飛び出してきた身の上なのでどこに連れていかれようとかまわないと考えていたが、まさかこんなところまで連れてこられるとは。
「今日はここにお泊りなさい」
今までは野宿か粗末な宿であったが、今日は結構な宿に泊まれるようだ。
「明日、城に登城します。本来ならばあなたなどが会うことも許されないお方、無礼があってはなりませんよ」
そうかやっと渦川とかいう雇い主に会わせてくれるのか。それはともかく名前を聞いていなかったな。
「私の名前ですか。順子です。あと、登城のときはこれをお着なさい」
家を出てから着の身着のままの服はよれよれでぼろぼろだったので、着物を与えてくれた。
その渦川という人物は近江の国にかなりの勢力を誇る一族の長らしく、城下町は賑わい城はかなり立派なものだ。その城の中も人で溢れていて活気があった。
城の広間に通されると、そこの上座には城主らしい男が座っていた。
「余が渦川である」
「へえ」
思わず田舎者らしい返事をしてしまったが、向こうは無視する。
「道中では順子が世話になったそうだな。何か望みの褒美はあるか?」
家を飛び出してきてしまった身。少々ばかりの金を貰ってもどうにもならないので、俺は旗揚げをするための手柄を立てさせてほしいと言った。
「はっはっは」
城の広間に大きな笑い声が響き渡る。
「金ではなく手柄を立てさせてくれとは見どころのある若者だ。だが手柄を立てようとすれば命がけとなるがよいか?」
俺はどんなことでも引き受けると伝えると、
「わかった。出身は下総の国だったか。実はな余は今、既に世間に知られていることだから言うが、将軍阿相元春と争っているのだ。その将軍の有力配下である水園寺の足元をすくってもらいたい。詳細は順子を使って伝える」
それだけ言うと渦川はその場を退席した。
「やった」
やっぱり言うだけ言ってみるものだ。これで親父の鼻を明かせる。
「じゃあ。せいぜい頑張りなさい。きちんと手柄を残せれば、それなりの褒美を得ることができるでしょう」
女忍者はそう言って次の沙汰があるまで宿で待つよう指図した。
俺は褒美うんぬんよりも手柄を立てる戦をできるのがうれしかった。
「なんかいい話はないかな」
一人で呟く。地元では親父に城持ちになりたいなどとわけがわからないことを言って殺されそうになったが良一の本心でもある。もし、この女忍者の雇い主が大物だったとしたら、手柄の一つも立てることができれば城を持てるかもしれない。そういう甘い期待を持っていると後ろから刃物を突き刺すような感触が襲ってきた。
「静かに。すぐにここを出立しますよ」
「すぐに?まだ夜中なんだけど」
「いいから追手が来るかもしれません」
そう言われるがまま慌てて宿を出た。自分たちが宿を出るのと前後して刺客と思われる男たちが宿に押し入っていくのが見えた。もし、すぐに宿を出なかったら城持ちになるどころか殺されていたな。
「なんなんだあいつら。というかあんたこそなんなんだ」
「素性はいずれ明かします。というよりこういうこともあるとわかっていてついてきたのではありませんか?」
俺は何も言い返せず女忍者についていく。
「もう近江の国には入ったのか?」
「もうすぐです」
今まで下総の国すらまともに出たことのない俺にとっては近江がこんなに遠いところだとは想像もできなかった。まあ、越前の国とやらに遠回りしたせいもあるだろうが。
そんなやり取りからどれだけの時間が過ぎたであろうか。男といえども女忍者の足についていくのは大変だったが、どうにか近江の国まで来たらしい。家を飛び出してきた身の上なのでどこに連れていかれようとかまわないと考えていたが、まさかこんなところまで連れてこられるとは。
「今日はここにお泊りなさい」
今までは野宿か粗末な宿であったが、今日は結構な宿に泊まれるようだ。
「明日、城に登城します。本来ならばあなたなどが会うことも許されないお方、無礼があってはなりませんよ」
そうかやっと渦川とかいう雇い主に会わせてくれるのか。それはともかく名前を聞いていなかったな。
「私の名前ですか。順子です。あと、登城のときはこれをお着なさい」
家を出てから着の身着のままの服はよれよれでぼろぼろだったので、着物を与えてくれた。
その渦川という人物は近江の国にかなりの勢力を誇る一族の長らしく、城下町は賑わい城はかなり立派なものだ。その城の中も人で溢れていて活気があった。
城の広間に通されると、そこの上座には城主らしい男が座っていた。
「余が渦川である」
「へえ」
思わず田舎者らしい返事をしてしまったが、向こうは無視する。
「道中では順子が世話になったそうだな。何か望みの褒美はあるか?」
家を飛び出してきてしまった身。少々ばかりの金を貰ってもどうにもならないので、俺は旗揚げをするための手柄を立てさせてほしいと言った。
「はっはっは」
城の広間に大きな笑い声が響き渡る。
「金ではなく手柄を立てさせてくれとは見どころのある若者だ。だが手柄を立てようとすれば命がけとなるがよいか?」
俺はどんなことでも引き受けると伝えると、
「わかった。出身は下総の国だったか。実はな余は今、既に世間に知られていることだから言うが、将軍阿相元春と争っているのだ。その将軍の有力配下である水園寺の足元をすくってもらいたい。詳細は順子を使って伝える」
それだけ言うと渦川はその場を退席した。
「やった」
やっぱり言うだけ言ってみるものだ。これで親父の鼻を明かせる。
「じゃあ。せいぜい頑張りなさい。きちんと手柄を残せれば、それなりの褒美を得ることができるでしょう」
女忍者はそう言って次の沙汰があるまで宿で待つよう指図した。
俺は褒美うんぬんよりも手柄を立てる戦をできるのがうれしかった。
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