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第2巻 新革党の選挙戦
渦川俊郎の戦場①
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「だけどやっぱ。渦川はつぶさないと気が済まないよ」
現時点ではまだ国土交通大臣の秋屋は相変わらず渦川のことばかり言っている。
「もう渦川は当選、決まってるみたいじゃない」
民自党に反旗を翻しただけあってやはり渦川は強い。ここまでの独自の世論調査で渦川の当選は圧倒的である。
「例のネタどうなったの」
選挙期間前に秘書が持ってきた、渦川の父親が経営するホテルと琵琶湖の漁業関係者のいざこざの話のことである。
「先生、そりゃこんなネタと私が言ったやつでしょ。だって、いくらいざこざがあったって、今までだって話し合いが全くなかったわけじゃない。そんなのを選挙期間に入ったから明日騒いでくれったって」
「そこをどうにかするのがお前の仕事だろ」
それだけ言うと、秋屋はガチャと電話を切った。
「ふう。先生も渦川のこととなるとそれ以外なにも見えなくなるなあ」
仕方がないというふうに何人かのつてに連絡を入れるのだった。
しばらくして渦川の選挙事務所。ここで渦川は精力的に選挙活動をしている。足元の選挙はほとんど当確であるが、新革党全体の評判を落とさないためにも支持者の集まりには積極的に顔を出した。そして、現職4名の他に新革党から立候補した候補者の応援も欠かさないでいる。そんな中、緊急の連絡が入る。
「なに、親父が倒れた?」
そばで聞いていた秘書の緒川順子が「はっ」と渦川の方を向く。
「それで病状はどうなんだ」
「一時昏睡状態だったが現在は回復している。だが安静が必要。うむ」
親父は身体が丈夫な方だが年も年だ。風邪すら引いたこともないような人間だったが過労だろうか。
「実は先生」
秘書が渦川の方を向いた。
「先生の御父上のホテルのことなんですが、最近トラブルに見舞われていたという話を聞いています。その対応からお身体に無理があったのかもしれません」
「なに?それはいつのことだ」
「2、3日前のことです。丁度選挙期間が始まったころに騒ぎが始まったと。もしかしたら対立候補の嫌がらせかもしれないと支持者の方が、先生が応援演説からお戻りになったらお話する予定でした」
「すまない。すぐに帰る」
渦川は慌てて事務所を出て行った。後には心配そうにうつむく順子の姿があった。
さて、ここは渦川の父親のホテル。一度は倒れた父親だが、しばらくすると意識は戻ったようで重い身体を引きづって漁業関係者への対応に当たった。
渦川はホテルに着くなり受付で「親父」と叫んだが、もちろんそこに「親父」はいるわけなく大広間の方で漁業関係者と話し合いをしていると説明を受けた。かなりの速足で大広間の方に向かうと渦川の父親がこちらに向かって同じように歩いてくる。
「何しに戻ってきた」
「何しにって、倒れたんじゃないのか」
「倒れるようなものか。ここはわしの戦場だ。お前は自分の戦場に帰れ」
「親父、ここも俺の戦場なんだよ。実はこの騒ぎ選挙の妨害を狙っているのかもしれないんだ」
「それでも帰れ、ここはわしの城だ」
なんとかこの騒ぎを鎮めるために力を貸そうとする渦川だが、父親も譲らない。こうなってはテコでも動かせない父親であることは渦川は知っていた。なのでそれ以上は言わずに黙って帰らざるを得なかった。
父親は渦川が帰る気配を見せると再び大広間の方に向かっていった。遠くからは漁業関係者の集まりに姿を現し必死に対話する父親の姿が見えた。
現時点ではまだ国土交通大臣の秋屋は相変わらず渦川のことばかり言っている。
「もう渦川は当選、決まってるみたいじゃない」
民自党に反旗を翻しただけあってやはり渦川は強い。ここまでの独自の世論調査で渦川の当選は圧倒的である。
「例のネタどうなったの」
選挙期間前に秘書が持ってきた、渦川の父親が経営するホテルと琵琶湖の漁業関係者のいざこざの話のことである。
「先生、そりゃこんなネタと私が言ったやつでしょ。だって、いくらいざこざがあったって、今までだって話し合いが全くなかったわけじゃない。そんなのを選挙期間に入ったから明日騒いでくれったって」
「そこをどうにかするのがお前の仕事だろ」
それだけ言うと、秋屋はガチャと電話を切った。
「ふう。先生も渦川のこととなるとそれ以外なにも見えなくなるなあ」
仕方がないというふうに何人かのつてに連絡を入れるのだった。
しばらくして渦川の選挙事務所。ここで渦川は精力的に選挙活動をしている。足元の選挙はほとんど当確であるが、新革党全体の評判を落とさないためにも支持者の集まりには積極的に顔を出した。そして、現職4名の他に新革党から立候補した候補者の応援も欠かさないでいる。そんな中、緊急の連絡が入る。
「なに、親父が倒れた?」
そばで聞いていた秘書の緒川順子が「はっ」と渦川の方を向く。
「それで病状はどうなんだ」
「一時昏睡状態だったが現在は回復している。だが安静が必要。うむ」
親父は身体が丈夫な方だが年も年だ。風邪すら引いたこともないような人間だったが過労だろうか。
「実は先生」
秘書が渦川の方を向いた。
「先生の御父上のホテルのことなんですが、最近トラブルに見舞われていたという話を聞いています。その対応からお身体に無理があったのかもしれません」
「なに?それはいつのことだ」
「2、3日前のことです。丁度選挙期間が始まったころに騒ぎが始まったと。もしかしたら対立候補の嫌がらせかもしれないと支持者の方が、先生が応援演説からお戻りになったらお話する予定でした」
「すまない。すぐに帰る」
渦川は慌てて事務所を出て行った。後には心配そうにうつむく順子の姿があった。
さて、ここは渦川の父親のホテル。一度は倒れた父親だが、しばらくすると意識は戻ったようで重い身体を引きづって漁業関係者への対応に当たった。
渦川はホテルに着くなり受付で「親父」と叫んだが、もちろんそこに「親父」はいるわけなく大広間の方で漁業関係者と話し合いをしていると説明を受けた。かなりの速足で大広間の方に向かうと渦川の父親がこちらに向かって同じように歩いてくる。
「何しに戻ってきた」
「何しにって、倒れたんじゃないのか」
「倒れるようなものか。ここはわしの戦場だ。お前は自分の戦場に帰れ」
「親父、ここも俺の戦場なんだよ。実はこの騒ぎ選挙の妨害を狙っているのかもしれないんだ」
「それでも帰れ、ここはわしの城だ」
なんとかこの騒ぎを鎮めるために力を貸そうとする渦川だが、父親も譲らない。こうなってはテコでも動かせない父親であることは渦川は知っていた。なのでそれ以上は言わずに黙って帰らざるを得なかった。
父親は渦川が帰る気配を見せると再び大広間の方に向かっていった。遠くからは漁業関係者の集まりに姿を現し必死に対話する父親の姿が見えた。
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