会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件

もっちもっち

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第2巻 新革党の選挙戦

渦川俊郎の戦場②

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 父親に追い返された日から渦川はより積極的に選挙運動に没頭した。父親が再び倒れることがないか不安だったし、自分の身内を狙うという卑怯な選挙妨害を行った何者かが憎くもある。(おおよそ自分と確執のあるあの大臣だと想像つくが)だがそれらを脳裏から振り払いたい。そんな気持であった。そんなだから選挙の応援の要請があれば必ず行き、呼ばれなくても同じ滋賀県を選挙区に持つ会田敬一や大阪府の田辺正勝の応援は積極的に行った。あまりにも頻繁に応援に来るので、会田からは
「渦川さん。もう私の応援はいいですから他行ってください」
と言われるほどだった。
「すまないな。特に現職の5人は落ちるわけにはいかないからな。でも、会田君はそろそろいいか。誰かもう一押しで当選しそうな候補者はいるかな?そういうものがいたら積極的に支援したい」
「それなら、和歌山県の高野清一君はいかがでしょうか?」
「ああ。高野君か」

 高野清一は経済産業省の地方支局に勤めていた元役人で今年29歳になる。元役人という経歴は層の薄い新革党において、とても欲しい人材であったが、なにせ先の見えない選挙である。民自党であれば、党のバックアップも厚いし、若い彼にはだめでも地方や次の国政選挙の機会も得られるかもしれない。そこをよくよく考え、彼が新革党候補者の面接に来たときは今は敵対している政党でも民自党の方から立候補することを渦川は勧めた。
「いえ、渦川先生。私は民自党から立候補したくはありません」
「なぜかね。正直いって新革党は反民自党から生まれた政党と言っても過言ではない。君にそういった過去があるとも思えないが」
「なぜなら古味良一先生を尊敬しているからです」
「古味君を?」
 渦川は驚いた顔を見せた。古味良一は政治家としての経験はまだ浅いが、メディアへ露出する機会があったこともあって、若者の中にはそういうものもいるだろうと思っていた。しかし、高野は役人、しかも天下の経済産業省だ。古味のようなイレギュラーで無茶やる政治家を尊敬したりするものだろうか?
「私は古味さんのやろうとしたこそ、若者の雇用を支え、若者の未来を変えることができると考えたのです。私もどうせ経済政策をやるならば、そのために行いたい」

 さて、実際和歌山県の選挙区で高野清一はどうのような状況だろうか。もともと、真面目な性格だからか、駅前の選挙演説、選挙カーでの選挙区巡りなどを精力的にこなしていた。経済政策に関する演説も丁寧で確実に支持者は増えている感じがした。しかし、それだけで今回の選挙に勝てるかというと渦川に言わせてみれば何かが足りなかった。
「高野君。君は見た目も古味君に似ていて年も近い。しかし、君には彼と違って、眼光というかぎらぎらしたものが足りない気がする。面接で言っていた、”若者のための経済政策をやる”ということをもっと本気で有権者に訴えたらどうだろうか」
 その渦川のアドバイスにはっとした。そうか自分が古味良一に引かれたのは本気で政治に向かっていく姿勢だったのか。次の日から彼の選挙に対する姿勢はより必死なものに変わっていた。
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