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第1巻 1期目 閉会~臨時国会前日
今のうちに故郷に錦
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この閉会期間中にどこに行こうかいろいろ考えてみたが、とりあえず、今まで近くて遠かった実家に帰ってみることにした。
俺はニート期間に親父からいろいろ説教を言われ続けたせいか、再就職できてからも実家には寄り付かなくなっていたのだ。果たして敷居を跨がしてくれるだろうか。
トルルルルルル
突然帰って変質者扱いされても困るので帰る前に電話しておくことにした。
「はい。古味です」
幸か不幸か電話に出たのは妹の由香だった。
「えっお兄ちゃん帰って来るの?閉会?そうなんだ。お父さんに代ろうか?」
「いやっ帰るとだけ言っといてくれればいいや」
俺はそういったが電話越しで由香は何やら話している。
「お兄ちゃん。駅に着いたら電話してって。車で迎えに行くから」
ガチャン
駅から実家まで大した距離じゃないのになあ。まあいいか。
ガタンゴトンと千葉方面への電車に乗って揺られている。思えば国会議員になってから通勤電車というものからは解放されていたので、こんなに長い時間電車にゆられるのも久しぶりだ。そうこうしているうちに、千葉郊外を過ぎると、高い建物は少なくなりだんだん田舎になってきているのがわかる。だが、住宅はまだまだ建っているしこの辺りから都内に通勤している人もたくさんいるだろう。その住宅すら少なくなってきたところに、実家の最寄り駅はあった。
駅に降りると日曜日ともいうことで人はまばらで自動改札を抜けるとロータリーが見える。駅から海までは3kmぐらいだが、まだ塩の香りはしない。
ここでスマホを取り出し家に連絡した。今度は俺が電話をするのを待っていたのか親父が出た。
「良一今どこにいる」
「駅のロータリーのとこ」
「準備して行くからそこで待っとれ」
待つぐらいなら歩いた方が早いんじゃないかと思ったが、こちらの意見は聞かず電話を切られたので俺はここで待たざるを得なかった。
田舎とはいえ駅周辺は商店街になっているのでそれなりにいろいろある。コンビニと銀行は当然ある。まあ千葉中心部のように数百メートル内に乱立しているほどではないが、数店舗あるので日用品をそろえるには十分だろう。ただ、この駅に帰らなくなって何年も経つのにあまり変わっていないのは田舎だからだろうか。いつのまにか駅が駅ビルに進化する都会の速さに慣らされたからだろうか。
しばらく歩いていると選挙事務所らしきものがあった。誰の事務所かなと暫く見ていると。
「あれ古味先生」
中から出てきた老人が自分を呼び止めた。
「私ですよ。先生が議員宿舎に入居するときに部屋にいた目白です」
あー思い出した。自分が議員宿舎に入った時リビングにいた元議員秘書の目白さんだ。向こうは自分のことを覚えていたらしい。確かにあのとき自分の実家の近くだと言っていた。
「議員秘書を辞めてからも何か世の中の役に立つことを探そうと、町長さんの選挙事務所でお手伝いをさせて頂いています」
ここはこの町の町長の選挙事務所だったようだ。それにしても議員秘書を辞めたあとも政治から離れないとはよっぽどこの仕事が好きなんだろう。
「そうでしたか。私は今日は久しぶりに実家に帰ろうと思ってこっちに来ました」
「そういえばこの町出身でしたね。親孝行してください」
その後、2,3言葉を交わして目白さんと別れた。
駅のロータリーに戻ると親父の車が来ていた。
「良一」
親父の車も数年前と変わっていない後部が座席を倒すと荷物を積めるようになっている仕事用の車だ。
「親父。悪いね迎えに来てもらって」
「何言ってる。帰って来るならちゃんと電話してからこい」
だから、電話したら由香が出ただけだって。確かに親父には電話していないが。そうこう助手席に乗りながら噛み合わない会話をしていると座席が倒されている後部から由香がひょっこり顔を出した。
「うわっ驚かすないつからそこにいたんだ」
「いつってここにいたのをお兄ちゃんが気づかなかっただけだよ」
今日は助手席に俺が乗るので由香は後部の荷台のところに乗っていたようだ。それにしても気配を感じなかったのは寝ていたのだろうか。
「お姉ちゃんも実家に寄るって。みんなで一緒にご飯食べようって」
恵も戻って来るのか。それこそ一家揃ってなんてニートだったときに散々喧嘩して以来だろう。故郷に錦という程でもないが、これはこれで国会議員になった甲斐があったのかもしれない。
車は発信しロータリーを回って信号のある交差点に入っていく。その間何人かの歩行者とすれ違ったが、その中に偶然中学の同級生の安富がいた。(俺は気づかなかったが)
「あれ、あの車に乗ってるの古味じゃないか。あいつ国会議員なんかになりやがって・・・よし。」
何かを思いついたように安富はスマホを取り出して誰かに連絡を取った。
それから親父は黙っていたが、由香となんてことない話をしているとすぐに実家に着いた。田舎だけあって広い庭と大き目の家屋を持つ俺の実家だ。
「さあ、降りろ。良一は自分の荷物は自分の部屋に運んどけ」
ああ、そういえば自分の部屋があったんだ。今はどうなっているのだろう。
この家の中で俺だけが浦島太郎になった気分になって家屋に入っていった。
俺はニート期間に親父からいろいろ説教を言われ続けたせいか、再就職できてからも実家には寄り付かなくなっていたのだ。果たして敷居を跨がしてくれるだろうか。
トルルルルルル
突然帰って変質者扱いされても困るので帰る前に電話しておくことにした。
「はい。古味です」
幸か不幸か電話に出たのは妹の由香だった。
「えっお兄ちゃん帰って来るの?閉会?そうなんだ。お父さんに代ろうか?」
「いやっ帰るとだけ言っといてくれればいいや」
俺はそういったが電話越しで由香は何やら話している。
「お兄ちゃん。駅に着いたら電話してって。車で迎えに行くから」
ガチャン
駅から実家まで大した距離じゃないのになあ。まあいいか。
ガタンゴトンと千葉方面への電車に乗って揺られている。思えば国会議員になってから通勤電車というものからは解放されていたので、こんなに長い時間電車にゆられるのも久しぶりだ。そうこうしているうちに、千葉郊外を過ぎると、高い建物は少なくなりだんだん田舎になってきているのがわかる。だが、住宅はまだまだ建っているしこの辺りから都内に通勤している人もたくさんいるだろう。その住宅すら少なくなってきたところに、実家の最寄り駅はあった。
駅に降りると日曜日ともいうことで人はまばらで自動改札を抜けるとロータリーが見える。駅から海までは3kmぐらいだが、まだ塩の香りはしない。
ここでスマホを取り出し家に連絡した。今度は俺が電話をするのを待っていたのか親父が出た。
「良一今どこにいる」
「駅のロータリーのとこ」
「準備して行くからそこで待っとれ」
待つぐらいなら歩いた方が早いんじゃないかと思ったが、こちらの意見は聞かず電話を切られたので俺はここで待たざるを得なかった。
田舎とはいえ駅周辺は商店街になっているのでそれなりにいろいろある。コンビニと銀行は当然ある。まあ千葉中心部のように数百メートル内に乱立しているほどではないが、数店舗あるので日用品をそろえるには十分だろう。ただ、この駅に帰らなくなって何年も経つのにあまり変わっていないのは田舎だからだろうか。いつのまにか駅が駅ビルに進化する都会の速さに慣らされたからだろうか。
しばらく歩いていると選挙事務所らしきものがあった。誰の事務所かなと暫く見ていると。
「あれ古味先生」
中から出てきた老人が自分を呼び止めた。
「私ですよ。先生が議員宿舎に入居するときに部屋にいた目白です」
あー思い出した。自分が議員宿舎に入った時リビングにいた元議員秘書の目白さんだ。向こうは自分のことを覚えていたらしい。確かにあのとき自分の実家の近くだと言っていた。
「議員秘書を辞めてからも何か世の中の役に立つことを探そうと、町長さんの選挙事務所でお手伝いをさせて頂いています」
ここはこの町の町長の選挙事務所だったようだ。それにしても議員秘書を辞めたあとも政治から離れないとはよっぽどこの仕事が好きなんだろう。
「そうでしたか。私は今日は久しぶりに実家に帰ろうと思ってこっちに来ました」
「そういえばこの町出身でしたね。親孝行してください」
その後、2,3言葉を交わして目白さんと別れた。
駅のロータリーに戻ると親父の車が来ていた。
「良一」
親父の車も数年前と変わっていない後部が座席を倒すと荷物を積めるようになっている仕事用の車だ。
「親父。悪いね迎えに来てもらって」
「何言ってる。帰って来るならちゃんと電話してからこい」
だから、電話したら由香が出ただけだって。確かに親父には電話していないが。そうこう助手席に乗りながら噛み合わない会話をしていると座席が倒されている後部から由香がひょっこり顔を出した。
「うわっ驚かすないつからそこにいたんだ」
「いつってここにいたのをお兄ちゃんが気づかなかっただけだよ」
今日は助手席に俺が乗るので由香は後部の荷台のところに乗っていたようだ。それにしても気配を感じなかったのは寝ていたのだろうか。
「お姉ちゃんも実家に寄るって。みんなで一緒にご飯食べようって」
恵も戻って来るのか。それこそ一家揃ってなんてニートだったときに散々喧嘩して以来だろう。故郷に錦という程でもないが、これはこれで国会議員になった甲斐があったのかもしれない。
車は発信しロータリーを回って信号のある交差点に入っていく。その間何人かの歩行者とすれ違ったが、その中に偶然中学の同級生の安富がいた。(俺は気づかなかったが)
「あれ、あの車に乗ってるの古味じゃないか。あいつ国会議員なんかになりやがって・・・よし。」
何かを思いついたように安富はスマホを取り出して誰かに連絡を取った。
それから親父は黙っていたが、由香となんてことない話をしているとすぐに実家に着いた。田舎だけあって広い庭と大き目の家屋を持つ俺の実家だ。
「さあ、降りろ。良一は自分の荷物は自分の部屋に運んどけ」
ああ、そういえば自分の部屋があったんだ。今はどうなっているのだろう。
この家の中で俺だけが浦島太郎になった気分になって家屋に入っていった。
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