モンスターに転生したけど種族が決まって無い(仮題)

最強願望者

文字の大きさ
5 / 33
1章『自分の姿決め編』

『騎士団』

しおりを挟む
ズガガガガガ、ドパン!!!

「ふぅ、やっと出れた」

うーん、外はやっぱりいいな!

「つうかここ何処だ?」

ん?テント?

「ここは騎士団の本拠点の中庭だよ、侵入者くん」

後ろから声が聞こえ、振り向くと、胸板甲冑少女が居た。

「今非常に不快極まりない解釈をされたような気がするが・・・まぁいい、君、どうやってここへ来たんだい?」

んー?今不味い状況?

「通りすがりの迷子ってのは・・・」

「無理があり過ぎるね、まず、さっきも言った通りここは騎士団の本拠点だ、そしてもう一つ、君は結界が貼ってある地下から出て来た」

おーおー、包囲網は完璧だな。

「正直に言うと、俺はスライムだ」

ドヤ顔でキメてやったぜ!

「それは・・・本当かい?」

「あぁ、スライム様だ」

周りから笑い声が聞こえる。失礼な!天下一品のトコロテンよりぷるぷるなスライム様だぞ!

「静かに、そうか、君は魔物なのか」

「ふふふ、まぁ今は吸血鬼だがな」

吸血鬼・・・そういった瞬間に空気が変わった。
周りの騎士は全員強ばった顔をして、目の前の少女は無表情になった。

「今は?」

「あぁ、他にもドラゴンにもゴーレムにもゴブリンにもスライムにも狼にも蛇にもなれるぞ」

そう言うと、冗談だと受け取ったのか、剣呑な空気が消え、緩やかな空気になった。

「そうか・・・君、騎士団に入らないか?」

おいおい、よく変わる空気だな・・・騎士団か・・・

「悪いな、騎士団なんて聖職、モンスターにはできそうもねぇや」

「ふふ、じゃあ模擬戦をして行かないかい?」

「模擬戦?」

聞いたことはあるが、俺がやる必要は無いのでは・・・?と思ったが、少女が言った一言で考えを全部捨て去った。

「そう、模擬戦さ、これでも私は大隊長をやっていてね、もし勝ったら100万ギルと私を渡そう」

「胸板は要らないが・・・100万ギル・・・そうだな・・・金もないし、やってやろう」

ニコニコと、戦闘訓練に向けて思いを馳せる俺に対し、全く笑っていない目で笑いかけてくるむない・・・少女・・・

「よし、今日は泊まっていくといい、明日模擬戦をしよう」

「うぃーす、どこに泊まんの?」

ふむと首を傾げ、少女は後ろを指し、着いてくるよう示した。



────────────────────────────

「ここでいいだろう」

一つの大きな部屋の前に到着、両開きの扉を開け、中に入ると、一つの大きなベットに、様々な装飾がしてあった。

「客室にしてはやけに装飾が多いんだな・・・」

「?何を言っている、ここは私の部屋だぞ?」

よし出よう今出ようすぐに出よう。

「待ってくれ!客室は既に埋まっているのだ!どこも空いてないのだぞ!」

「いいよ、俺は食堂で寝る、明日からの食糧がなくても俺のせいじゃないからな、客室を用意出来ないお前らの責任だからな」

と、あぁとなにかに気づいたように手を叩く少女。

「そうか君は私の名前を知らないのか」

「ああ、知らないな」

別に知らなくてもいいけど・・・

「よく聞いとけよ、私の名は『ハインツィ・バル・ルーディス』ルーディと呼んでくれ」

「宜しくなルーディ」

長い名前だな、呼んで欲しいのならそう呼ぶけど・・・

「君の名前はなんて言うんだ?」

来たか・・・さて、どう言ったらいいか・・・

「魔物に名前なんて無いだろう?」

「そうだが・・・」

うーんと、あっそうだ、

「まぁスライムと読んでくれ」

うん、間違ってない。

「分かった・・・それと、食糧は取っといてくれよ、あれで1ヶ月分なんだ」

「分かってるよ」

まぁ嘘だがな・・・




その日の夜、皆が寝静まった頃、謎のゼリー物体が食糧を全て食い去るという事件が起こった。
しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

悪役令嬢の父は売られた喧嘩は徹底的に買うことにした

まるまる⭐️
ファンタジー
【第5回ファンタジーカップにおきまして痛快大逆転賞を頂戴いたしました。応援頂き、本当にありがとうございました】「アルテミス! 其方の様な性根の腐った女はこの私に相応しくない!! よって其方との婚約は、今、この場を持って破棄する!!」 王立学園の卒業生達を祝うための祝賀パーティー。娘の晴れ姿を1目見ようと久しぶりに王都に赴いたワシは、公衆の面前で王太子に婚約破棄される愛する娘の姿を見て愕然とした。 大事な娘を守ろうと飛び出したワシは、王太子と対峙するうちに、この婚約破棄の裏に隠れた黒幕の存在に気が付く。 おのれ。ワシの可愛いアルテミスちゃんの今までの血の滲む様な努力を台無しにしおって……。 ワシの怒りに火がついた。 ところが反撃しようとその黒幕を探るうち、その奥には陰謀と更なる黒幕の存在が……。 乗り掛かった船。ここでやめては男が廃る。売られた喧嘩は徹底的に買おうではないか!! ※※ ファンタジーカップ、折角のお祭りです。遅ればせながら参加してみます。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...