数ある魔法の中から雷魔法を選んだのは間違いだったかもしれない。

最強願望者

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第一章『雷の可能性』

閑話『もふもふと思い付き』

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宿へ戻ると、つくもは狐の姿(デカい犬程度のサイズ)で丸くなっていた。 
尾も十三本だ。
どうやら、普段は妖術で尾を隠しているらしいが、隠した本数だけ力も落ちるのだそうだ。
普段は二重に擬態し、真の姿である300本は僕以外見たことがないらしい。
・・・300本って、30万年生きてるってことじゃん。
あれ、それって初代国王が産まれるより前・・・?
まぁいいや。

「・・・つくも」

『ん?どうした?』

「・・・もふもふ、させてくれないか」

僕は昔から動物に嫌われがちなのだ。
理由は分からないが、恐らく目つきだろうと当たりをつけている。
だからこそ、もふもふとやらに深い興味があった。

『・・・』
「・・・」

数瞬の沈黙。
先に口を開いたのは、つくもだった。

『貴様、馬鹿なのか?』

純粋な疑問であった。

「だって・・・!そんな美しい毛皮!ふさふさしてて気持ちよさそうじゃないか!」

『う、うむ。私としても自慢の毛皮ではあるが・・・まぁよいぞ。来るが良い』

獰猛な笑みでこちらを手招く狐。
僕は自らその罠に立ち向かって行った。

§

「ふわあああああああああ」

「・・・なんだコイツ」

場所は変わりベットの上。
つくもは人型になり、尾を全て出している。
僕はその尾に・・・弄ばれていた。
ふわふわ、ふさふさ、もにもに、さわさわ。
幸せだ・・・これが幸福と言うやつか・・・

「これがあの獰猛な男なのか・・・?こっち方面での攻め方もあるのか・・・?」

そんなことをブツブツ言うつくも。
なんでもいいけど・・・
最高だ・・・
死んでもいい・・・

「はぁわぁああああ・・・」

「きもっ・・・」

辛辣な一言だが、今の僕はある種無敵だ。
どんな罵倒にも勝る幸福を掴んだのだからな・・・
しかし、その幸福は長くは続かなかった。

「・・・そんな悲しそうな顔をするでない。また今度な」

「そん・・・な・・・」

「これ以上やるなら今後一切触れることは許さん」 

「いやーいいもふもふだった!」

つくもがまた溜息をつく。
まるでゴミを見るかのような目だ。

「今からでも殺すか・・・?」

「そんなことよりつくも。僕は学校に通おうと思うんだ」

さらに困惑したような顔を見せるつくも。
・・・まぁ、こういう反応になるよね。
学園に通うというのはつまり・・・学校に通うということだ。
うん。そのまんまだ。
この王都の学園は15から通える。
そして僕は15だ。
つまり、通える。
冒険者しながら学生だ。
依頼をこなしていれば学費も心配ない。
そして当然、つくもにも着いてきてもらう。
ただし、人間としてでは無く。

「使い魔か」

「その通り。僕の使い魔として、十三尾の狐として、付いてきて欲しい」

ぶっちゃけた話、使い魔というのは珍しいものでは無い。
ただ、十三尾となると、1万3000年は生きていることになる(少なくとも)。
まぁ、そこまでの知識がある人間が学園なんかにいるのか・・・という話だが。

「私はまぁ、貴様に合わせるだけだが・・・」

何を企んでいる?とでも考えている顔だ。
もちろん。
ただの青春だ。
・・・ビミョーな顔をされた。

「嘘だよ。学園に入れば『闘神祭』に参加できるし、学園地下のダンジョンにも潜れる。まだ誰も踏破していないダンジョンに、だ」

「あぁなるほど、修行がてら靴と鎖の代わりを見つけに行くのか」

「その通り。まぁ他にも、知識の吸収っていうのもあるけどね」

あの戦いで僕の防具や武器はほとんど壊れた。
袋の中に入れて置いたものも無くなってしまった。
首輪がなくなってしまって、今はつくもに魔力は管理してもらっている。
つくもの尾は魔力を貯めることができるらしい。
何気に壊れたのはきつい。
が、過去のことは過去のこと。
過ぎたことは過ぎたこと、だ。
新しい魔具が欲しい!
具体的には鎌とかソードウィップとか!

「欲しがる武器がマイナーすぎる・・・」

「だって、普通の武器は飽きたから」

剣なんて・・・魔力込めて少し気を使って振ればいいだけだ。
破壊力もそんなにない。
確かに力は逃がしやすいけどさあ。

「と言うわけで、早速登録に行こう!」

「・・・こいつ、もしかして馬鹿なのか?」

前途多難な2人の旅(学園生活?)はまだ始まったばかり。
主に、力に妄執な少年のせいで・・・
神の如き最強の狐は、頭を抱えることになる。







・・・だけどそれは、少しあとの話。

「行くぞつくも!」
『待ちんさい!ガキか貴様は!』

やっぱり・・・案外、すぐなのかもしれない。
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