数ある魔法の中から雷魔法を選んだのは間違いだったかもしれない。

最強願望者

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第三章『地下ダンジョンと禁忌の実験』

八話『静かなる戦い』

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「単刀直入に言いましょう。生徒会への参加は拒否致します」

唐突にもたらされるその言葉に、私は思わず固まってしまった。
・・・え?どうして・・・?

「ど、どうしてですか?」

私は少しだけ上ずった声を掛け、その顔を見る。
非常に整った顔だ。
黒い髪はサラサラと動き、その瞳は私ではなく、料理を見つめている。
・・・ま、まるで興味が無い・・・?

「え?理由が無くなったからです。元から入ることに前向きだったのは確かですが、別にそれを声高らかに宣言した訳でもない。なら別に宜しいのではないでしょうか」

確かにその通りだ。
フールちゃんからアダム君が生徒会参加を嫌がっていないとは聞いていたから、当然入るものだと思っていた。

「えっと・・・最初に入ろうと思ったのはなぜ・・・ですか?」

少し悩んだような顔をする。
嘘を考えている顔ではない。
言うべきか否かを考えている。
・・・わかりやすいのか分かりにくいのか。
私をもってしても、掴めない男だ。

「・・・フールと一緒に入ろうと思っていたのもありますが、僕の目的は果たされました。ので、入る理由が無くなってしまったんです」

「──」

やはり、フールちゃんの存在は大きい。
目的というものを言うつもりはないみたいだ。
・・・どうだろうか。
私は彼が生徒会に入るから、そのついでに手中に収めておこうとしていただけ。
かといって、フリーの彼を野放しにしていていいものなのか。
・・・否、だ。
武神祭への出場は、私は確定だとしても、彼が出場するにはある程度の志願者との戦闘がある。
私を抜いて4人が選ばれる。
・・・武神祭での優勝はほぼ不可能だが、さらに言えば総当たり戦なのだ。
彼と私が戦うことも考えられる。
その時に私が勝つように仕組まなければ・・・
さすがに、あの蛇を従えるこの男に、勝てる自信は無かった。

「どうしても、なの?副会長が空席の今、君が副会長として学園を導く事が出来るのよ?」

「興味ありません。武神祭へは実力で出場しますし、生徒会への参加に意味は存在しません」

・・・あまりそういう事に興味はない、か。
やっぱり、強者は強者にしか興味が無いという事なのかな。
ならやっぱり、私に惚れさせるしか・・・
フールちゃんに懐いている彼なら、私が嫌いなはずはない。
なぜなら、私は彼女よりも可愛いから。

「ねぇ、アダム君。私、君とこの学園生活を豊かにしたいと思ってるんですよ?一目見た時から、貴方となら、楽しく学校生活が過ごせるなって──」

自然に立ち上がり、料理が乗った机に指を這わせながら、彼に近づく。
彼は食事の手を止め、口元を拭いた。
その所作の一つ一つが、とても無駄がなく、洗練されていると思った。
確かに、最初は彼の力や、脅威をものにする為に近付いていた。
けど、今は。
──コレクションとして。
欲しい。
ただ、それだけだった。

「ねぇ、アダム君。この際、生徒会へ参加はしなくてもいいです。ただ・・・もし、許されるなら・・・私と、仲良くなりませんか・・・?」

アダム君の使っているグラスに手を伸ばし、それを口元へ運ぶ。
少し苦い、香りの強いワインだ。
お酒に自信のある冒険者でも、酔ってしまうような代物。
私はもう、慣れているが。
しかし、彼もまた、酔っているようには見えない。
ますます、欲しい。

「ね?アダム君・・・悪い話ではないと思うんです・・・学園での生活は保証しますから・・・」

後ろから、じっとしているアダム君の肩に触れる。
ピクリと反応するが、それだけだ。
勝ちを確信し、私は魅了のスキルを発動させ、手を前に回す。
体を密着させ、自慢の体をこれでもかと主張する。
・・・ふふ、私の勝ち、ですね。

「・・・お返事、聞かせて頂けますか?」

§

うーん。
なんだろう。
後ろから生徒会長に抱きつかれてるのはわかる。
いや、わかんないけど分かる。
なんだろう・・・フールに似てる似てる思ってたけど、本当に似てるなぁ。
もしかして真似てるのかな?
僕に気があるようには見えないし・・・
ぶっちゃけとても嫌だ。

「・・・お返事、聞かせて頂けますか?」

と、言われましても・・・
えーと、とりあえずあれだよね。
仲良くしたいってことだよね。

「・・・すみません。僕には、心に決めた子がいるんです。その子を裏切るようなことは、出来ません。ぶっちゃけ、失礼を承知で言うと、貴女にはこれっぽっちも興味はありません」

確かにフールに似ているが、フールではない。
フールは、独占欲が凄く強い。
きっと、つくもやレヴィですら、僕と共にいるのが嫌だろう。
けど、分かってくれてるはずだ。
僕が強くなるには、必要なんだと。
僕としては、確かに友達は欲しいけど。
僕の行動を縛るような人間は、欲しくない。
なら、フールだけでいい。
フールは僕を尊重して、着いてきてくれる。
その上で、近付いてくるのを追っ払うのだ。
でも、この人は。
きっと、そばに置いておきたいだけなんだろう。

「え・・・?そんな・・・効いてない・・・」

「まぁ、僕も誰にも言ってませんから」

聞いてない・・・?
まぁ、当然、僕だって誰彼構わず言いふらす訳じゃない。
聞いてなくても当たり前だろう。
何をそんなに驚いているのだろうか。

「嘘・・・どうして・・・?私にこれっぽっちも興味がない・・・?そんな・・・そんなこと、ある、の・・・?」

僕から離れ、その場に崩れ落ちる生徒会長。
なんだかよくわかんない人だなぁ・・・
僕は会長の腕を掴んで引き寄せ、椅子に座らせる。

「床に座るのはどうかと思いますよ、会長」

「──ぁ」

そうして、僕はお金(予想金額だけど)を机に置き、店を出た。
そこには黒い大きな蛇と人型のつくもが居た。
ちゃんと待っててくれたか。

「・・・・・・つくづく化け物だな、貴様は」

「突然なんだよ。ちゃんと言ってきたよ?興味無いって」

「違う。出てくる時間の話だ。家を出てからピッタリ1時間だろう」

「これくらい出来ないと、化け物と戦えないのさ」

とりあえず、るーちゃんの所へ行こう。
レヴィがスルスルと僕の体へ巻き付く。
少し暖かい。
心地がいい。

「じゃ、行こうか」

お腹もいっぱいだし、気分がいいな。
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