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世界最強のゲーマー
レベル10 『閑話休題』
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これから語られのは、一つの『理想』に全てを捧げた、とある男の話である。
☆☆☆☆☆☆
その男は、平凡な家庭、平凡な両親の元へ産まれた。
実に平凡で、静かな。
ある程度幸せな家庭に、男は産まれた。
幼少より、『操る』事が得意で、周囲からは『器用だ』とか、『勘がいい』と言う悪くない評価を貰っていた。
実際に男は器用で、天才肌であったが、それこそ常人と比べて。
『本物』と呼ばれる者達には、遠く及ばないのが現実だった。
ある時男は、極めると言う事を知った。
器用貧乏だと言われ続けて居たが、極めれば『本物』になれると。
そう、考えてしまった。
いや、教わってしまったのかもしれない。
『万能』が幾ら努力した所で、特化した『本物』には届かない。
例え一つ極めようとして、しかし壁は登りきれない。
だから、男は齢七歳にして、塞ぎ込むようになってしまった。
『少し』器用だからなんだ。
『多少』出来るからって、期待するな。
いつしか、それが口癖になっていった。
男は諦めた。
極める事も、求める事も・・・そして、己の事も。
己が生きる価値、意味、動機、その全てが分からなくなった。
追い求め、探し、絶望する。
そんな、悪循環を体験したから、男は諦めた。
両親は平凡故に心中を知らず、願った物をとにかく与え続けた。
そして、『理想』に出会った。
近年開発された『VRMMORPG』、スマホゲームのような機能やシステムだが、グラフィックや導入された五感、そして多岐にわたる選択による強化や進化、ガチャによるモンスターの獲得、低確率ドロップ故のやり込み深さ。
既存のゲームとは格が違うゲームであった。
齢八歳でそれに出会い、半信半疑で始めた男は、その『理想』を前に圧倒され、気圧され、魅了された。
初めて得たその『理想』は、男を引き込むのに十分であり、男は抵抗もせずに飛びついた。
年月は過ぎ、両親に庇護される生活、しかし、無駄に成績が良く、通信高校も無事卒業、株で大きく当て、両親共々不満はない生活であった。
しかし、男はやり込み過ぎて現実での身体感覚を忘却し、しまいには衰弱死寸前で搬送されることもしばしば・・・
そこまでして、何を得られるのか。
そんな事、誰にも分からなかった。
だが、男にとってこれは、それは、『理想』だったから。
『理想』を追い求め、1度は諦めたが、こうして出会えた。
だから、それを『得』ようとして、何が悪い。
そしてある時、男は全てを手に入れた。
『理想』の中だけとは言え、それは確かな『富』と、『名声』と、『実績』であった。
世界ランカー1位。
それは、世界で一番困難で、果てしなくて、限りないゲームを制したという事。
誰も知らない、誰も分からない、だから、男は世間では『神』と呼ばれた。
残念ながら、その後『神』の名は現れなかったが、『神』以上の功績、実績を上げたものは永遠に訪れない。
故に伝説。
故に神話。
男は永遠に名を刻み、『進未来』と言う新たな世界の中で、『最強』の地位と名誉を手に入れたのだ。
本人がそれを知る事は、それこそ永遠にないのだが。
これは、理想を追い求めた男の話ではない。
伝説で、神話で、神説で・・・
それこそ、ありえない話だ。
語られたのは、夢だが。
現れたのは、理想であり。
だから、決して届かない。
儚くも、哀しい物語。
二度と語られない、憐れな物語。
☆☆☆☆☆☆
「・・・・・・ふぁ・・・」
・・・久しぶりに、夢を見たような気がする。
朦朧とした意識の中、俺は考える。
考えなくていい事を、それこそ『研究』と言われてもおかしくないレベルで。
「・・・」
あぁ、なんでだろうか。
なんで、こんなにも胸が痛いのだろうか。
痛覚耐性があるのに・・・精神攻撃無効もあるのに・・・
「・・・ふ・・・」
・・・・・・いや、これは夢なんだ。
夢を見た夢、そう、記憶に残らない残留。
だから、この痛みは受け入れるべきなんだろう。
「・・・・・・兄者・・・・・・むにゃ・・・」
・・・あぁ、俺は俺だ。
俺はコイツらの兄で、親で、家族で・・・
だから、俺は俺で居られる。
「・・・・・・別に、なんにも間違っちゃいないさ」
言い聞かせるように、カルマの頭を撫でながら微笑む。
むにゃむにゃと、ニコニコと笑顔になるカルマを見て、俺は窓際へ寄る。
ここは、魔王城の一室。
エルドラドとサテラは隣の部屋で寝ている。
・・・綺麗な、とても綺麗な空だ。
それこそ、宝石のような・・・
そんな、なんとも言えない不安と恐怖がある・・・
「・・・はは、なんか、らしくねぇなぁ・・・」
この夢は、きっと俺じゃない俺なんだ。
だから、この流れない涙だって、俺のものじゃない。
──out作者──
初めましての方は初めまして。
それ以外方はどうも。
勢いで書いたこの小説ですが・・・予想以上に伸びがいいですね・・・
すぐに消すつもりだったのですが、考え直さないとかもです・・・なんて考えておりますが、多分消さないです。
ネタが無いですが・・・何となく書き続けていきます。
他の作品はそれこそネタが枯渇しているので先送りで・・・
一応ちまちま書いてはいるのですが・・・
読者様には申し訳ないです・・・私のわがまま、どうか許して下さい。
その代わりと言ってはなんですが、本当に思い付きで書いたものをたまーに投稿致します、もう何十作品も溜まっているので・・・
なにか気に入るような設定や話があったら教えて下さい。
それらも頑張って書いてみます。
ではでは・・・
最強願望者でした。
☆☆☆☆☆☆
その男は、平凡な家庭、平凡な両親の元へ産まれた。
実に平凡で、静かな。
ある程度幸せな家庭に、男は産まれた。
幼少より、『操る』事が得意で、周囲からは『器用だ』とか、『勘がいい』と言う悪くない評価を貰っていた。
実際に男は器用で、天才肌であったが、それこそ常人と比べて。
『本物』と呼ばれる者達には、遠く及ばないのが現実だった。
ある時男は、極めると言う事を知った。
器用貧乏だと言われ続けて居たが、極めれば『本物』になれると。
そう、考えてしまった。
いや、教わってしまったのかもしれない。
『万能』が幾ら努力した所で、特化した『本物』には届かない。
例え一つ極めようとして、しかし壁は登りきれない。
だから、男は齢七歳にして、塞ぎ込むようになってしまった。
『少し』器用だからなんだ。
『多少』出来るからって、期待するな。
いつしか、それが口癖になっていった。
男は諦めた。
極める事も、求める事も・・・そして、己の事も。
己が生きる価値、意味、動機、その全てが分からなくなった。
追い求め、探し、絶望する。
そんな、悪循環を体験したから、男は諦めた。
両親は平凡故に心中を知らず、願った物をとにかく与え続けた。
そして、『理想』に出会った。
近年開発された『VRMMORPG』、スマホゲームのような機能やシステムだが、グラフィックや導入された五感、そして多岐にわたる選択による強化や進化、ガチャによるモンスターの獲得、低確率ドロップ故のやり込み深さ。
既存のゲームとは格が違うゲームであった。
齢八歳でそれに出会い、半信半疑で始めた男は、その『理想』を前に圧倒され、気圧され、魅了された。
初めて得たその『理想』は、男を引き込むのに十分であり、男は抵抗もせずに飛びついた。
年月は過ぎ、両親に庇護される生活、しかし、無駄に成績が良く、通信高校も無事卒業、株で大きく当て、両親共々不満はない生活であった。
しかし、男はやり込み過ぎて現実での身体感覚を忘却し、しまいには衰弱死寸前で搬送されることもしばしば・・・
そこまでして、何を得られるのか。
そんな事、誰にも分からなかった。
だが、男にとってこれは、それは、『理想』だったから。
『理想』を追い求め、1度は諦めたが、こうして出会えた。
だから、それを『得』ようとして、何が悪い。
そしてある時、男は全てを手に入れた。
『理想』の中だけとは言え、それは確かな『富』と、『名声』と、『実績』であった。
世界ランカー1位。
それは、世界で一番困難で、果てしなくて、限りないゲームを制したという事。
誰も知らない、誰も分からない、だから、男は世間では『神』と呼ばれた。
残念ながら、その後『神』の名は現れなかったが、『神』以上の功績、実績を上げたものは永遠に訪れない。
故に伝説。
故に神話。
男は永遠に名を刻み、『進未来』と言う新たな世界の中で、『最強』の地位と名誉を手に入れたのだ。
本人がそれを知る事は、それこそ永遠にないのだが。
これは、理想を追い求めた男の話ではない。
伝説で、神話で、神説で・・・
それこそ、ありえない話だ。
語られたのは、夢だが。
現れたのは、理想であり。
だから、決して届かない。
儚くも、哀しい物語。
二度と語られない、憐れな物語。
☆☆☆☆☆☆
「・・・・・・ふぁ・・・」
・・・久しぶりに、夢を見たような気がする。
朦朧とした意識の中、俺は考える。
考えなくていい事を、それこそ『研究』と言われてもおかしくないレベルで。
「・・・」
あぁ、なんでだろうか。
なんで、こんなにも胸が痛いのだろうか。
痛覚耐性があるのに・・・精神攻撃無効もあるのに・・・
「・・・ふ・・・」
・・・・・・いや、これは夢なんだ。
夢を見た夢、そう、記憶に残らない残留。
だから、この痛みは受け入れるべきなんだろう。
「・・・・・・兄者・・・・・・むにゃ・・・」
・・・あぁ、俺は俺だ。
俺はコイツらの兄で、親で、家族で・・・
だから、俺は俺で居られる。
「・・・・・・別に、なんにも間違っちゃいないさ」
言い聞かせるように、カルマの頭を撫でながら微笑む。
むにゃむにゃと、ニコニコと笑顔になるカルマを見て、俺は窓際へ寄る。
ここは、魔王城の一室。
エルドラドとサテラは隣の部屋で寝ている。
・・・綺麗な、とても綺麗な空だ。
それこそ、宝石のような・・・
そんな、なんとも言えない不安と恐怖がある・・・
「・・・はは、なんか、らしくねぇなぁ・・・」
この夢は、きっと俺じゃない俺なんだ。
だから、この流れない涙だって、俺のものじゃない。
──out作者──
初めましての方は初めまして。
それ以外方はどうも。
勢いで書いたこの小説ですが・・・予想以上に伸びがいいですね・・・
すぐに消すつもりだったのですが、考え直さないとかもです・・・なんて考えておりますが、多分消さないです。
ネタが無いですが・・・何となく書き続けていきます。
他の作品はそれこそネタが枯渇しているので先送りで・・・
一応ちまちま書いてはいるのですが・・・
読者様には申し訳ないです・・・私のわがまま、どうか許して下さい。
その代わりと言ってはなんですが、本当に思い付きで書いたものをたまーに投稿致します、もう何十作品も溜まっているので・・・
なにか気に入るような設定や話があったら教えて下さい。
それらも頑張って書いてみます。
ではでは・・・
最強願望者でした。
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