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世界最強のゲーマー
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宿に戻り、ベットを一つ増やしてもらった。
俺は取り敢えず考える。
去り際に、場所と時期を教えて貰った。
隣国・・・『ユーリッド王国』のギルドで開催される集会。
この世界にいる複数の魔王とその他のモンスターを討伐する為の会議っぽいものらしい。
また、新しい白銀ランクを見る為の物だとも言われている。
これらは酒場で集めた『噂話』だ。
実際は単純にユーリッド王国の国王が集めて、何らかの説得をしているらしい。
何なのかは分からないが。
「・・・面倒だな」
「ご主人様、潰しますか?」
なんで?なにを?
と言う疑問を押し殺し、頭をくしゃくしゃに撫でる。
コイツは、いや、俺の従魔は常に俺を第一に考えている。
嬉しいし、そのお陰で何度助かったか分からないが、こういう時に困る。
気軽に『死ね』とかも言えない。
「いや、また今度な」
「かしこまりました」
絶対に否定しないのは俺の悪い癖だ。
★☆★★
一週間が経ち、王城から迎えの馬車が来た。
個人で行った方が早いって言ったんだが、王女様の護衛も兼ねてと言う事になった。
「よろしくお願いします。他の英雄様とは違うとお聞きしまして、一目見ようと・・・」
「はあ、こちらこそよろしくお願いします」
取り敢えず妹達も馬車に乗り込み、かなり目立つ形で出発する。
馬車の形は、あれだ。
誰もが想像する綺麗極まりない真っ白な馬車だ。
「ノゾミ様はつい最近白銀ランクになったのですよね?以前はそれに似たお仕事を?」
こう言う探りを入れてくる語り合いなんて、前世のイベントで慣れてんだよ。
ついでに、礼儀とか敬語も全部ゲームで学んだ。
「いえ、少し旅をしてまして」
「放浪の旅ですか?そこまでお強いのにも旅に理由が?」
どんだけだよ。
俺がなんか零すとでも思ってんのか?
「・・・あまり、ご主人様に探りを入れないで貰えますか?不愉快です」
「も、申し訳ありません・・・ついはしゃぎすぎてしまいました」
一瞬ヒヤッとしたが、大丈夫そうだな。
白々しい・・・俺の目って大量の魔眼が入ってるからさ、嘘ついてたりって一瞬でわかるんだよねぇ。
「・・・エルドラド、カルマ」
「「御意に」」
いや、なんだその返事。
ただ魔物の気配がしたから呼んだだけなんだけど・・・
まぁ、意図を汲んでくれたなら良しとするが。
「へ?」
王女は馬鹿みたいな声で驚いている。
ほらぁ、耐性がないとその跪きは驚くものなんだよ。
「・・・殲滅」
「3秒で」
「いや、2秒じゃな」
未だ分かってない王女を置いて飛び出す2人。
サテラは落ち着いて座っており、俺にお茶を煎れている。
カップが、一つしかないのが証拠だ。
「ただいま戻りました兄者」
「ふん、ゴミに謝った方がいい程の雑魚じゃったな」
そこまで言う?
俺は2人の頭を撫で、渡されたお茶を飲む。
これがマジで美味い。
五感投入型のゲームだったから良かったが、知らなかったら後悔するほど美味い。
「え、と・・・なにか、あったのでしょうか?」
「あぁ、気にしないでください。ドラゴンが2、3体爆ぜただけです」
後ろに転がっているのはドラゴンだった物。
多分、エルドラドの気配に吸い寄せられた感じだろう。
可哀想に。
「は、はぁ」
やっぱり、ただの王女には理解出来なかった様だな。
★★★☆
ユーリッド王国は大陸の中心に位置する貿易中間国だ。
様々な国からの物品をここから更に他国へ流す。
つまり、大陸一田舎の癖に、大陸一貿易が盛んな土地と言う事だ。
で、王国に着いた俺は何故か物凄く目立っている。
馬車を引く『双頭の白馬』の上に乗り、その隣にはサテラとエルドラド、次いでに俺と同じくらいの背になったカルマが居る。
「英雄様だー!」
「キャー!カッコイイ!」
「ありゃあ勝ち目ないな」
「くっ・・・俺だって!」
みたいな声が聞こえる。
俺の事を言ってるんだよな?
こう言うのは耐性がないからテンパる。
王城への一本道があり、人を掻き分けて通る俺。
「・・・・・・・・・ふっ・・・」
もうさ、笑うしかねぇよ。
──少し前──
「は?凱旋パレード?」
王女に突然言われた言葉。
新しく白銀ランクになった俺。
確かに『英雄』の称号はあるが・・・
そこまでやるか?
そもそも、俺はこの国で何もしてないのに?
「はい。馬に乗って愛想を振り撒くだけでいいので」
「はぁ・・・分かりました」
という訳で、こう言う状況だ。
なかなか無い機会だ。
経験だと思ってやってみたが・・・
これがなかなかしんどい・・・
「ははっ・・・パンダの気分だ・・・」
「大熊猫?」
いや、なんでそうなる。
そして何故それを知っている。
★☆★★
「よく来たのう!新たな英雄よ!」
「あー・・・はぁ・・・」
変な声が出てしまった。
目の前のおじいちゃんが国王らしいのだが、どうもそう思えない。
なんか、久しぶりに会った娘の顔を見て喜んでいるお父さんの顔だ。
「さて、これで全員か?では、始めるとしよう!」
早いって、展開が早いって。
俺達が王城へ着いた瞬間、俺はメイドと執事に連れられてこの会議室に連れ込まれた。
おっかしいなぁ・・・ギルドでやるんじゃなかったの?
「えーっと・・・じゃあ、新白銀ランクの君から、自己紹介してもらおうかな」
「・・・俺の名前はノゾミ。姓は訳あって話せないが、一応元旅人だ。コイツらは俺の従魔だから気にしなくていい」
「──ヒッ」
俺が挨拶して座ると、いかにもな魔術ハットを被った黒装束の女が小さく悲鳴を上げた。
「・・・どうした?」
司会者を気取っている白い鎧を着た男が声を掛ける。
女は首を振り、俯いて物言わなくなった。
「・・・まぁ、いい。宜しくねノゾミ君。さて、じゃあ最近行動の活発な魔王の対策から・・・」
そんな議論が延々と続いた。
魔王の対策は各国に2人以上の白銀ランクが居ると言う事に落ち着いた。
「じゃあ、次だね。邪竜エルドラドと悪魔姫サテラの討伐作戦なんだけど・・・」
ピクリ、と2人が反応する。
おい、邪竜?悪魔姫?後で聞くことが増えたな。
「・・・それは大丈夫だ」
俺以外の6人の白銀ランク、王様と着いてきた王女様がこちらを見る。
なに?そんなに意外?
「なにが・・・大丈夫なのかな?」
「え、だって、ここにいる奴らが当人だから?」
沈黙が支配する会議室。
なに?わかりやすく言ったつもりなんだけど。
「ごめん、もう少しわかりやすくお願いしてもいいかな?」
「えーっと、こっちのちっちゃいのが『邪竜エルドラド』で、こっちのメイドが『悪魔姫サテラ』だって言ってるんだけど」
さらに沈黙が深くなったのは言うまでもない。
俺は取り敢えず考える。
去り際に、場所と時期を教えて貰った。
隣国・・・『ユーリッド王国』のギルドで開催される集会。
この世界にいる複数の魔王とその他のモンスターを討伐する為の会議っぽいものらしい。
また、新しい白銀ランクを見る為の物だとも言われている。
これらは酒場で集めた『噂話』だ。
実際は単純にユーリッド王国の国王が集めて、何らかの説得をしているらしい。
何なのかは分からないが。
「・・・面倒だな」
「ご主人様、潰しますか?」
なんで?なにを?
と言う疑問を押し殺し、頭をくしゃくしゃに撫でる。
コイツは、いや、俺の従魔は常に俺を第一に考えている。
嬉しいし、そのお陰で何度助かったか分からないが、こういう時に困る。
気軽に『死ね』とかも言えない。
「いや、また今度な」
「かしこまりました」
絶対に否定しないのは俺の悪い癖だ。
★☆★★
一週間が経ち、王城から迎えの馬車が来た。
個人で行った方が早いって言ったんだが、王女様の護衛も兼ねてと言う事になった。
「よろしくお願いします。他の英雄様とは違うとお聞きしまして、一目見ようと・・・」
「はあ、こちらこそよろしくお願いします」
取り敢えず妹達も馬車に乗り込み、かなり目立つ形で出発する。
馬車の形は、あれだ。
誰もが想像する綺麗極まりない真っ白な馬車だ。
「ノゾミ様はつい最近白銀ランクになったのですよね?以前はそれに似たお仕事を?」
こう言う探りを入れてくる語り合いなんて、前世のイベントで慣れてんだよ。
ついでに、礼儀とか敬語も全部ゲームで学んだ。
「いえ、少し旅をしてまして」
「放浪の旅ですか?そこまでお強いのにも旅に理由が?」
どんだけだよ。
俺がなんか零すとでも思ってんのか?
「・・・あまり、ご主人様に探りを入れないで貰えますか?不愉快です」
「も、申し訳ありません・・・ついはしゃぎすぎてしまいました」
一瞬ヒヤッとしたが、大丈夫そうだな。
白々しい・・・俺の目って大量の魔眼が入ってるからさ、嘘ついてたりって一瞬でわかるんだよねぇ。
「・・・エルドラド、カルマ」
「「御意に」」
いや、なんだその返事。
ただ魔物の気配がしたから呼んだだけなんだけど・・・
まぁ、意図を汲んでくれたなら良しとするが。
「へ?」
王女は馬鹿みたいな声で驚いている。
ほらぁ、耐性がないとその跪きは驚くものなんだよ。
「・・・殲滅」
「3秒で」
「いや、2秒じゃな」
未だ分かってない王女を置いて飛び出す2人。
サテラは落ち着いて座っており、俺にお茶を煎れている。
カップが、一つしかないのが証拠だ。
「ただいま戻りました兄者」
「ふん、ゴミに謝った方がいい程の雑魚じゃったな」
そこまで言う?
俺は2人の頭を撫で、渡されたお茶を飲む。
これがマジで美味い。
五感投入型のゲームだったから良かったが、知らなかったら後悔するほど美味い。
「え、と・・・なにか、あったのでしょうか?」
「あぁ、気にしないでください。ドラゴンが2、3体爆ぜただけです」
後ろに転がっているのはドラゴンだった物。
多分、エルドラドの気配に吸い寄せられた感じだろう。
可哀想に。
「は、はぁ」
やっぱり、ただの王女には理解出来なかった様だな。
★★★☆
ユーリッド王国は大陸の中心に位置する貿易中間国だ。
様々な国からの物品をここから更に他国へ流す。
つまり、大陸一田舎の癖に、大陸一貿易が盛んな土地と言う事だ。
で、王国に着いた俺は何故か物凄く目立っている。
馬車を引く『双頭の白馬』の上に乗り、その隣にはサテラとエルドラド、次いでに俺と同じくらいの背になったカルマが居る。
「英雄様だー!」
「キャー!カッコイイ!」
「ありゃあ勝ち目ないな」
「くっ・・・俺だって!」
みたいな声が聞こえる。
俺の事を言ってるんだよな?
こう言うのは耐性がないからテンパる。
王城への一本道があり、人を掻き分けて通る俺。
「・・・・・・・・・ふっ・・・」
もうさ、笑うしかねぇよ。
──少し前──
「は?凱旋パレード?」
王女に突然言われた言葉。
新しく白銀ランクになった俺。
確かに『英雄』の称号はあるが・・・
そこまでやるか?
そもそも、俺はこの国で何もしてないのに?
「はい。馬に乗って愛想を振り撒くだけでいいので」
「はぁ・・・分かりました」
という訳で、こう言う状況だ。
なかなか無い機会だ。
経験だと思ってやってみたが・・・
これがなかなかしんどい・・・
「ははっ・・・パンダの気分だ・・・」
「大熊猫?」
いや、なんでそうなる。
そして何故それを知っている。
★☆★★
「よく来たのう!新たな英雄よ!」
「あー・・・はぁ・・・」
変な声が出てしまった。
目の前のおじいちゃんが国王らしいのだが、どうもそう思えない。
なんか、久しぶりに会った娘の顔を見て喜んでいるお父さんの顔だ。
「さて、これで全員か?では、始めるとしよう!」
早いって、展開が早いって。
俺達が王城へ着いた瞬間、俺はメイドと執事に連れられてこの会議室に連れ込まれた。
おっかしいなぁ・・・ギルドでやるんじゃなかったの?
「えーっと・・・じゃあ、新白銀ランクの君から、自己紹介してもらおうかな」
「・・・俺の名前はノゾミ。姓は訳あって話せないが、一応元旅人だ。コイツらは俺の従魔だから気にしなくていい」
「──ヒッ」
俺が挨拶して座ると、いかにもな魔術ハットを被った黒装束の女が小さく悲鳴を上げた。
「・・・どうした?」
司会者を気取っている白い鎧を着た男が声を掛ける。
女は首を振り、俯いて物言わなくなった。
「・・・まぁ、いい。宜しくねノゾミ君。さて、じゃあ最近行動の活発な魔王の対策から・・・」
そんな議論が延々と続いた。
魔王の対策は各国に2人以上の白銀ランクが居ると言う事に落ち着いた。
「じゃあ、次だね。邪竜エルドラドと悪魔姫サテラの討伐作戦なんだけど・・・」
ピクリ、と2人が反応する。
おい、邪竜?悪魔姫?後で聞くことが増えたな。
「・・・それは大丈夫だ」
俺以外の6人の白銀ランク、王様と着いてきた王女様がこちらを見る。
なに?そんなに意外?
「なにが・・・大丈夫なのかな?」
「え、だって、ここにいる奴らが当人だから?」
沈黙が支配する会議室。
なに?わかりやすく言ったつもりなんだけど。
「ごめん、もう少しわかりやすくお願いしてもいいかな?」
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