ゲーム転生〜ゲームで最強になったら特典で異世界に行けた〜

最強願望者

文字の大きさ
7 / 16
世界最強のゲーマー

レベル7

しおりを挟む
宿に戻り、ベットを一つ増やしてもらった。
俺は取り敢えず考える。
去り際に、場所と時期を教えて貰った。
隣国・・・『ユーリッド王国』のギルドで開催される集会。
この世界にいる複数の魔王とその他のモンスターを討伐する為の会議っぽいものらしい。

また、新しい白銀ランクを見る為の物だとも言われている。
これらは酒場で集めた『噂話』だ。
実際は単純にユーリッド王国の国王が集めて、何らかの説得をしているらしい。
何なのかは分からないが。

「・・・面倒だな」

「ご主人様、潰しますか?」

なんで?なにを?
と言う疑問を押し殺し、頭をくしゃくしゃに撫でる。
コイツは、いや、俺の従魔は常に俺を第一に考えている。
嬉しいし、そのお陰で何度助かったか分からないが、こういう時に困る。
気軽に『死ね』とかも言えない。

「いや、また今度な」

「かしこまりました」

絶対に否定しないのは俺の悪い癖だ。

★☆★★

一週間が経ち、王城から迎えの馬車が来た。
個人で行った方が早いって言ったんだが、王女様の護衛も兼ねてと言う事になった。

「よろしくお願いします。他の英雄様とは違うとお聞きしまして、一目見ようと・・・」

「はあ、こちらこそよろしくお願いします」

取り敢えず妹達も馬車に乗り込み、かなり目立つ形で出発する。
馬車の形は、あれだ。
誰もが想像する綺麗極まりない真っ白な馬車だ。

「ノゾミ様はつい最近白銀ランクになったのですよね?以前はそれに似たお仕事を?」

こう言う探りを入れてくる語り合いなんて、前世のイベントで慣れてんだよ。
ついでに、礼儀とか敬語も全部ゲームで学んだ。

「いえ、少し旅をしてまして」

「放浪の旅ですか?そこまでお強いのにも旅に理由が?」

どんだけだよ。
俺がなんか零すとでも思ってんのか?

「・・・あまり、ご主人様に探りを入れないで貰えますか?不愉快です」

「も、申し訳ありません・・・ついはしゃぎすぎてしまいました」

一瞬ヒヤッとしたが、大丈夫そうだな。
白々しい・・・俺の目って大量の魔眼が入ってるからさ、嘘ついてたりって一瞬でわかるんだよねぇ。

「・・・エルドラド、カルマ」

「「御意に」」

いや、なんだその返事。
ただ魔物の気配がしたから呼んだだけなんだけど・・・
まぁ、意図を汲んでくれたなら良しとするが。

「へ?」

王女は馬鹿みたいな声で驚いている。
ほらぁ、耐性がないとその跪きは驚くものなんだよ。

「・・・殲滅」

「3秒で」

「いや、2秒じゃな」

未だ分かってない王女を置いて飛び出す2人。
サテラは落ち着いて座っており、俺にお茶を煎れている。
カップが、一つしかないのが証拠だ。

「ただいま戻りました兄者」

「ふん、ゴミに謝った方がいい程の雑魚じゃったな」

そこまで言う?
俺は2人の頭を撫で、渡されたお茶を飲む。
これがマジで美味い。
五感投入型のゲームだったから良かったが、知らなかったら後悔するほど美味い。

「え、と・・・なにか、あったのでしょうか?」

「あぁ、気にしないでください。ドラゴンが2、3体爆ぜただけです」

後ろに転がっているのはドラゴンだった物。
多分、エルドラドの気配に吸い寄せられた感じだろう。
可哀想に。

「は、はぁ」

やっぱり、ただの王女には理解出来なかった様だな。

★★★☆

ユーリッド王国は大陸の中心に位置する貿易中間国だ。
様々な国からの物品をここから更に他国へ流す。
つまり、大陸一田舎の癖に、大陸一貿易が盛んな土地と言う事だ。

で、王国に着いた俺は何故か物凄く目立っている。
馬車を引く『双頭の白馬』の上に乗り、その隣にはサテラとエルドラド、次いでに俺と同じくらいの背になったカルマが居る。

「英雄様だー!」
「キャー!カッコイイ!」
「ありゃあ勝ち目ないな」
「くっ・・・俺だって!」

みたいな声が聞こえる。
俺の事を言ってるんだよな?
こう言うのは耐性がないからテンパる。
王城への一本道があり、人を掻き分けて通る俺。

「・・・・・・・・・ふっ・・・」

もうさ、笑うしかねぇよ。


──少し前──

「は?凱旋パレード?」

王女に突然言われた言葉。
新しく白銀ランクになった俺。
確かに『英雄』の称号はあるが・・・
そこまでやるか?
そもそも、俺はこの国で何もしてないのに?

「はい。馬に乗って愛想を振り撒くだけでいいので」

「はぁ・・・分かりました」

という訳で、こう言う状況だ。
なかなか無い機会だ。
経験だと思ってやってみたが・・・
これがなかなかしんどい・・・

「ははっ・・・パンダの気分だ・・・」

「大熊猫?」

いや、なんでそうなる。
そして何故それを知っている。

★☆★★

「よく来たのう!新たな英雄よ!」

「あー・・・はぁ・・・」

変な声が出てしまった。
目の前のおじいちゃんが国王らしいのだが、どうもそう思えない。
なんか、久しぶりに会った娘の顔を見て喜んでいるお父さんの顔だ。

「さて、これで全員か?では、始めるとしよう!」

早いって、展開が早いって。
俺達が王城へ着いた瞬間、俺はメイドと執事に連れられてこの会議室に連れ込まれた。
おっかしいなぁ・・・ギルドでやるんじゃなかったの?

「えーっと・・・じゃあ、新白銀ランクの君から、自己紹介してもらおうかな」

「・・・俺の名前はノゾミ。姓は訳あって話せないが、一応元旅人だ。コイツらは俺の従魔だから気にしなくていい」

「──ヒッ」

俺が挨拶して座ると、いかにもな魔術ハットを被った黒装束の女が小さく悲鳴を上げた。

「・・・どうした?」

司会者を気取っている白い鎧を着た男が声を掛ける。
女は首を振り、俯いて物言わなくなった。

「・・・まぁ、いい。宜しくねノゾミ君。さて、じゃあ最近行動の活発な魔王の対策から・・・」

そんな議論が延々と続いた。
魔王の対策は各国に2人以上の白銀ランクが居ると言う事に落ち着いた。

「じゃあ、次だね。邪竜エルドラドと悪魔姫サテラの討伐作戦なんだけど・・・」

ピクリ、と2人が反応する。
おい、邪竜?悪魔姫?後で聞くことが増えたな。

「・・・それは大丈夫だ」

俺以外の6人の白銀ランク、王様と着いてきた王女様がこちらを見る。
なに?そんなに意外?

「なにが・・・大丈夫なのかな?」

「え、だって、ここにいる奴らが当人だから?」

沈黙が支配する会議室。
なに?わかりやすく言ったつもりなんだけど。

「ごめん、もう少しわかりやすくお願いしてもいいかな?」

「えーっと、こっちのちっちゃいのが『邪竜エルドラド』で、こっちのメイドが『悪魔姫サテラ』だって言ってるんだけど」

さらに沈黙が深くなったのは言うまでもない。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について

えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。 しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。 その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。 死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。 戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...