6 / 6
新たな世界の物語
2ー1『精霊王と契約』
しおりを挟む
上空から掛けられる言葉。
上を向くと、さっきの緑ドレスの女が居た。
あまりにも弱そうだから無視していたが、なんの用だろうか。
「その子達は私の眷属なのです。エルフは別名森精種です。精霊王である私が引き下がるわけには行きません。何卒お許しください」
ん?これって、謝ってんの?乞うてんの?それとも貶してんの?
たしかに、よく見れば耳が尖っているけど。
それ以外は特に目立ったところが・・・
うわ!乳でけぇ!
い、いや、体に比べてでかいだけだろう・・・
騙される所だった。
「エリー、やめてやれ。謝ってんだから許さないとフェアじゃない」
「かしこまりました」
意味不明な事を言ってやめさせる。
首や体に巻き付いた鎖が消えて地面に落ちるエルフ。
ざまぁみろと笑いたい所だが、精霊王がいる手前言いづらい。
あれだ、授業参観で失敗した奴を笑いづらいのと同じだ。
「ありがとうございます。この子達の比例は私から謝ります」
「あー、いいよ。1発殴らせてくれるなら」
少し悩んだ様子を見せる精霊王。
別に殺す訳じゃないんだ、妥協してもらおう。
全員殴りたい所だが、女を殴る趣味はねぇ。
「・・・かしこまりました。お手柔らかに、お願い致します」
うん。
分かってた。
目の前には左頬を差し出す精霊王。
ちゃんと誰をって言っときゃあ良かった。
「ま、いいや。歯食いしばれよー」
精霊王だし、簡単に死なねぇよな?
取り敢えず腕を水平に掲げ、肘を引く。
標準よーし、手加減よーし、怒りよーし、正当化よーし。
全力の1%くらいだ。
「せい」
「くっ・・・」
数メートル後ずさる精霊王。
罪悪感無しな俺に白い目を向けつつ面白い事を発見した。
「弱くなってるな」
「無理もありません。創造主様が眠って居られる間、戦闘は行っておりませんので」
それもそうか。
眠る前は今のように体だけの力で山くらい吹き飛ばしていた。
魔法なし、強化なしで今なら、少し鍛錬した方がいいかもな。
「精霊王、スッキリはしないが、女を殴ったって事で収めといてやる。次同じような事があったらお前諸共森消すからな?」
「・・・肝に銘じて起きます」
どっかで聞いたような恨み文句だな。
ま、こいつに好かれる気は無いし。
両手は埋まってるんでね。
「さて、ボチボチ歩いて行くか」
凄くないか?俺今の今まで地面歩いてなかったんだ。
上向いた時も、鎖止めた時も。
なんか、大物感あるな。
★★──★★
首がもげるかと思った。
魔力がこもっていない純粋な力。
彼なりの手加減のつもりなのだろうけど、微塵も慈悲の文字が無かった。
「くっ・・・」
「だ、大精霊様・・・大丈夫ですか?」
これを機に、眷属達も反省してくれるとありがたいのだが。
だけど、嫌な予感は止まらない。
果てしない間沢山の人や精霊を見てきて、彼以上に無慈悲で残虐な者を見たことがない。
この姿だって、そういった遠慮を誘う為の物なのに、彼は微塵も動揺を見せなかった。
・・・モンスター以上に厄介で、無慈悲な者。
★☆──☆★
「いやー、罪悪感って時間差で来るもんなんだなー」
女を殴ったことに対して、それなりに罪悪感を感じる。
が、別に後悔しているわけじゃない。
あれは罵倒されたのとなんか予想以上に謝ってきたからって言う俺なりの救済処置であって・・・
「主様、これからどうするおつもりですか?」
「どうするって言われてもなぁ・・・取り敢えず、世界見て回ろうかねぇ」
で、つまらないなら国作ってみよう。
あんな雑魚が作れるんだ、俺にも作れるだろ。
天魔族っつうデタラメな仲間も居るし(笑)
「でしたら、聖魔国などどうでしょうか。強者や美味なる物があると聞いております」
「おぉ、美味いもんか・・・つっても、俺味分かんのかな?」
シルが提案するが、俺ってほら、50億年寝てたし、色々変わってたり機能低下しててもおかしくないって言うか・・・
・・・ア!マイサンは無事なのか!?
性欲はもう無さげだなぁ・・・
いっか、死なねぇし。
「取り敢えず、その聖魔国?ってとこ行こー」
★☆──☆☆
走る、奔る、趨る。
この世の始まりのような顔で、それは走っている。
嗚呼、やっとか。
嗚呼、速く。
夢の中の出来事だと思っていた。
夢の中でしか叶わない事だと思っていた。
それが、現実になるなんて・・・!
『私は・・・!貴方の為に・・・!』
速く疾く夙く。
風になり、光になり。
産まれたばかりの化け物は、遂には悲願の外界へ飛び出して──
★★──☆☆
「・・・へぇ、魔空間ねぇ」
ほんと、この世界厨二チックな名前のモンしかねぇな。
まぁ、嫌いじゃないし、俺も厨二病だからいいけど。
『はい!私は貴方の為に産まれ、貴方の為に強くなり、貴方の為にここへ降り立ちました!私と主従の契約をして下さい!』
「えーっと、取り敢えずお前はなに?」
見た目は・・・そう、黒いマントに白い長髪。
両手には大剣を持っていたが今は地面に突き刺している。
一件、華奢にも見える体だが・・・
これ、あれかな。・・・えーっと・・・
あ!男の娘?だ!
「私は人間です!魔空間で生まれたので人間を超越しています!」
「それはどうでもいいけど、お前は男なのか?女なのか?」
「男です!」
だよねぇ・・・下は隠してるけど上マントだけだし・・・
明らかにモッコリしてるもん。
でも、ちょー女っぽい顔だなぁ・・・
「あぁ・・・そのお顔素敵です・・・!抱いて下さい!あと契約してください!」
「おいおいおいおい」
・・・取り敢えず、仲間が増えました(?)
上を向くと、さっきの緑ドレスの女が居た。
あまりにも弱そうだから無視していたが、なんの用だろうか。
「その子達は私の眷属なのです。エルフは別名森精種です。精霊王である私が引き下がるわけには行きません。何卒お許しください」
ん?これって、謝ってんの?乞うてんの?それとも貶してんの?
たしかに、よく見れば耳が尖っているけど。
それ以外は特に目立ったところが・・・
うわ!乳でけぇ!
い、いや、体に比べてでかいだけだろう・・・
騙される所だった。
「エリー、やめてやれ。謝ってんだから許さないとフェアじゃない」
「かしこまりました」
意味不明な事を言ってやめさせる。
首や体に巻き付いた鎖が消えて地面に落ちるエルフ。
ざまぁみろと笑いたい所だが、精霊王がいる手前言いづらい。
あれだ、授業参観で失敗した奴を笑いづらいのと同じだ。
「ありがとうございます。この子達の比例は私から謝ります」
「あー、いいよ。1発殴らせてくれるなら」
少し悩んだ様子を見せる精霊王。
別に殺す訳じゃないんだ、妥協してもらおう。
全員殴りたい所だが、女を殴る趣味はねぇ。
「・・・かしこまりました。お手柔らかに、お願い致します」
うん。
分かってた。
目の前には左頬を差し出す精霊王。
ちゃんと誰をって言っときゃあ良かった。
「ま、いいや。歯食いしばれよー」
精霊王だし、簡単に死なねぇよな?
取り敢えず腕を水平に掲げ、肘を引く。
標準よーし、手加減よーし、怒りよーし、正当化よーし。
全力の1%くらいだ。
「せい」
「くっ・・・」
数メートル後ずさる精霊王。
罪悪感無しな俺に白い目を向けつつ面白い事を発見した。
「弱くなってるな」
「無理もありません。創造主様が眠って居られる間、戦闘は行っておりませんので」
それもそうか。
眠る前は今のように体だけの力で山くらい吹き飛ばしていた。
魔法なし、強化なしで今なら、少し鍛錬した方がいいかもな。
「精霊王、スッキリはしないが、女を殴ったって事で収めといてやる。次同じような事があったらお前諸共森消すからな?」
「・・・肝に銘じて起きます」
どっかで聞いたような恨み文句だな。
ま、こいつに好かれる気は無いし。
両手は埋まってるんでね。
「さて、ボチボチ歩いて行くか」
凄くないか?俺今の今まで地面歩いてなかったんだ。
上向いた時も、鎖止めた時も。
なんか、大物感あるな。
★★──★★
首がもげるかと思った。
魔力がこもっていない純粋な力。
彼なりの手加減のつもりなのだろうけど、微塵も慈悲の文字が無かった。
「くっ・・・」
「だ、大精霊様・・・大丈夫ですか?」
これを機に、眷属達も反省してくれるとありがたいのだが。
だけど、嫌な予感は止まらない。
果てしない間沢山の人や精霊を見てきて、彼以上に無慈悲で残虐な者を見たことがない。
この姿だって、そういった遠慮を誘う為の物なのに、彼は微塵も動揺を見せなかった。
・・・モンスター以上に厄介で、無慈悲な者。
★☆──☆★
「いやー、罪悪感って時間差で来るもんなんだなー」
女を殴ったことに対して、それなりに罪悪感を感じる。
が、別に後悔しているわけじゃない。
あれは罵倒されたのとなんか予想以上に謝ってきたからって言う俺なりの救済処置であって・・・
「主様、これからどうするおつもりですか?」
「どうするって言われてもなぁ・・・取り敢えず、世界見て回ろうかねぇ」
で、つまらないなら国作ってみよう。
あんな雑魚が作れるんだ、俺にも作れるだろ。
天魔族っつうデタラメな仲間も居るし(笑)
「でしたら、聖魔国などどうでしょうか。強者や美味なる物があると聞いております」
「おぉ、美味いもんか・・・つっても、俺味分かんのかな?」
シルが提案するが、俺ってほら、50億年寝てたし、色々変わってたり機能低下しててもおかしくないって言うか・・・
・・・ア!マイサンは無事なのか!?
性欲はもう無さげだなぁ・・・
いっか、死なねぇし。
「取り敢えず、その聖魔国?ってとこ行こー」
★☆──☆☆
走る、奔る、趨る。
この世の始まりのような顔で、それは走っている。
嗚呼、やっとか。
嗚呼、速く。
夢の中の出来事だと思っていた。
夢の中でしか叶わない事だと思っていた。
それが、現実になるなんて・・・!
『私は・・・!貴方の為に・・・!』
速く疾く夙く。
風になり、光になり。
産まれたばかりの化け物は、遂には悲願の外界へ飛び出して──
★★──☆☆
「・・・へぇ、魔空間ねぇ」
ほんと、この世界厨二チックな名前のモンしかねぇな。
まぁ、嫌いじゃないし、俺も厨二病だからいいけど。
『はい!私は貴方の為に産まれ、貴方の為に強くなり、貴方の為にここへ降り立ちました!私と主従の契約をして下さい!』
「えーっと、取り敢えずお前はなに?」
見た目は・・・そう、黒いマントに白い長髪。
両手には大剣を持っていたが今は地面に突き刺している。
一件、華奢にも見える体だが・・・
これ、あれかな。・・・えーっと・・・
あ!男の娘?だ!
「私は人間です!魔空間で生まれたので人間を超越しています!」
「それはどうでもいいけど、お前は男なのか?女なのか?」
「男です!」
だよねぇ・・・下は隠してるけど上マントだけだし・・・
明らかにモッコリしてるもん。
でも、ちょー女っぽい顔だなぁ・・・
「あぁ・・・そのお顔素敵です・・・!抱いて下さい!あと契約してください!」
「おいおいおいおい」
・・・取り敢えず、仲間が増えました(?)
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白い・・・
出来れば、続きが読みたい。(^-^)/
ご感想ありがとうございます!
この話の書き方忘れてしまったんですがね・・・
少し書いてみますので、良ければ感想お願いします(✿︎´ ꒳ ` )
とても面白いので続きを書いてください
何時も応援しています❗️
ですよね!?
これは自身あったんですけどねぇ・・・
皆さんの琴線には触れなかったようです・・・
これからもよろしくお願いします!
退会済ユーザのコメントです
ご感想ありがとうございます!
この物語、非常に書きにくいのですが・・・
分かりました。
少し、頑張って見ます。
ほかの作品共々、よろしくお願いしますね。