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1章・10人の英雄編
第1話・ゴブリンに支配された村
しおりを挟むアテナのお告げを信じ、俺はまずヘラクレスという名の男を訪ねることにした。
ヘラクレスは俺と同じく人間の女と天空神・ゼウスの間に生まれたデミゴッド。ようするに俺の異母兄弟ということになる。過去に何度かヘラクレスとは会ったことがある。だが、俺はこの男が苦手だった。憂鬱な気持ちを引きずりながらとりあえず、ヘラクレスの居場所を探す為に此処から1番近いフリアの村という所を目指すことにした。
歩き始めて30分。フリアの村に着いた俺はあまりの人気の無さに本当にここはフリアの村なのか、と疑った。フリアの村は、俺の故郷のカイラの村より何倍も人が多く繁栄している村だったはず。なのに、今目の前にあるのは寂れた村だった。
(一体何があったんだ…)
俺は警戒しながらとりあえず、村長がいる宿を目指した。
村長の宿に着いた俺は更に驚愕した。
そこには村長はいなかった。代わりに、醜い人のようなものが蠢いていた。ソレは、人の気配に気付き、こちらを静かに振り向いた。
そして、ソレは何かを咥えていた。
その何かは、見たことがあった。
ついさっきまで探していたもの
ソレは村長の頭を咥えていた。
ソレの正体―ゴブリンが俺に向かって跳躍した。俺は雷霆を上方に振りかざし、一気に振り下ろした。ゴブリンの身体が綺麗に真っ二つになる。仲間を殺され、怒ったのか後ろにいた3体のゴブリンが一斉に襲いかかってきた。俺は雷霆を軽く振り回した。ただ、それだけでゴブリンは四肢を切断されていた。
俺はゴブリンと村長の死体をそのままにして、フリアの村を後にしようとした。
だが、その時後ろから聞き覚えのある声がした。
???「よう、ガイズ!久しぶりだな~おい!」
その声を聞いた瞬間、一瞬でヘラクレスだと分かった。
ガイズ「久しぶりだな、ヘラクレス。何でこんなところにいる?」
ヘラクレス「フリアの村の村長とは昔からの知り合いでな。ゴブリン共が増殖して、村人に危険が及んでいるからゴブリン共を殲滅してくれと頼まれたんだが…。何だこの有様は…。人1人居ねぇじゃねぇか…。」
ガイズ「さっき、村長の宿に行ったんだが、既に遅かったよ。村長はゴブリンに殺されていた。」
ヘラクレスはその言葉を聞いた瞬間、涙を流し号泣していた。
ヘラクレス「くそぉ、俺が来るのがもっと早かったら……!」
大男が大声で泣くというと、みっともないと思うかもしれないが、これでもこの男は数々のモンスターを討伐してきた大英雄である。
ガイズ「村長が死んだのなら、ゴブリン討伐の依頼は意味のないものになったな。ヘラクレス、俺と共に来い。ゼウスを、俺達の父親を殺しに行くぞ。」
ヘラクレスはさっきとはまるで違う、キョトンとした顔で口を開けたまま俺を見つめながら言った。
ヘラクレス「お前、何言ってんだ??なんでそんなことする必要がある?」
ガイズ「いいから一緒に来い。お前だってゼウスのせいで不幸な目にあってるだろ?」
ヘラクレス「確かにゼウスのせいで俺は大切な人を失った。だが、もう今更、ゼウスに逆らおうなんて気はないよ。俺はもう静かに暮らしたいんだ。」
俺は面倒くさくなり、強硬手段を取ることにした。雷霆をヘラクレスに向けて、俺は言った。
ガイズ「ヘラクレス。俺と戦え。お前が負ければ俺と共に来い。俺が負ければもうお前には関わらない。」
ヘラクレス「お前、本気で言ってるのか…?」
ヘラクレスの目つきが変わった。今までのようなおしとやかな目つきではなく鋭い目つきになった。
俺は黙って雷霆を構えた。
ヘラクレス「そうかよ…。やる気かよ…!」
ヘラクレスも愛用の棍棒を構えた。
どこからか狼の遠吠えが聞こえた。それと同時に俺はヘラクレスに向かって雷霆を振り下ろした…!
第2話に続く
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