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7 勇者のクレーム
しおりを挟む…ざわ、ザワザワざわざわ…
耳障りな群衆のざわめき声がひびく。
五月蝿い。頭がガンガンする。
その不快感にたまらずオレは目を見開いた。
そこは真っ白な世界であり、
聞き覚えのある荘厳なパイプオルガンの音色が響いていた。
遠くから聞こえるその演奏は間違いなく、
あの女神様の演奏だ。
同時に先程の絶望的に惨めな恐怖が蘇る。
__ああ、オレはまた死んだのだな?
この状況からは容易にそれを悟った。
『いいえ、オマエはまだ死んではいない。』
遠くから木霊のような声が響いた。
__どういうこと?ならばなんでまた死後の世界にいるのだろう?
『そこは、死後の世界の狭間あたり、一歩手前だ。』
__じゃあ、あと一歩踏み出せば死ぬってことね?
オレは無意識に一歩踏み出そうとした。
『うごくでない!本当に死んでしまうぞ!』
響き渡る木霊の声にオレの足はびくりと止まった。
『それに、これ以上オマエに近づかれたら臭くてかなわぬ!』
……女神様の本音が木霊に乗ってダダ漏れである。
ならばオレも本音を言わせてもらうわ。
「女神様!あっちの世界は過酷すぎます!オレのチート能力の使い方を教えてくれないと世界なんて救うどころではありません!」
オレは木霊の方に向かって、異世界転生勇者としては、非常に正当で真当な正しいクレームをつけた。
『……はあ?チート能力?世界を救う?なにをふざけたことを言っているのか。』
しかし、女神様からの言葉は完全に呆れて見下したような、またしても生ゴミを相手にしたような辛辣な言葉だった…。
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