夢のゆめ

飛朔 凛

文字の大きさ
9 / 12
第二章 起源

第二章 起源(朝)

しおりを挟む


毎朝セットしている目覚ましが鳴る。
今日は休みなのだが、昨日アラームのスイッチを切るのを忘れていた。


……そうだ、昨日眠気に勝てず制服のまま寝てしまった。
通知を知らせる携帯の点滅ライトがチカチカしてる。
そういえば昨日寝る前に姫依きいに返事を返したのを思い出して、携帯を開いてみた。

3件、メールが来てる。

1件はインフォメーション、2件は姫依きいからだった。


『いつもの駅にする?あ、でも新しく出来たアイスクリーム屋さんにも行きたいな!反対方向だけどどうしよっか?』

夢姫ゆめー?寝たのかな?とりあえず明日10時に駅にいるねー』

最初のメールが7時半くらい。
次のメールが11時。
……寝てた、は爆睡だった。

とりあえず、「ごめん完璧に寝てた、駅ね了解!」と返信する。

時計を見ると7時。
アラームの音で起きたので学校のある日と変わらない時間に起きてしまった。いつもの休日のスタートは早くて8時……遅くて昼くらいに目が覚める。

ふと、夢のことを思い出した。

思い……出し……

「……何も覚えてない」

なんとなく、ぼやけた感じでは脳裏に残っている。
ただ昨日の朝みたいな感じではなくて、今日夢なんて見てたっけ?くらい全く覚えてない。

あの夢を見るのは正直怖い。
でもこうやって思い出せずにいるとなんだかモヤモヤする……

「……お腹空いた」

自分のお腹の音で思い出す。
そういえば昨日の夜から何も食べてなかった……

部屋着に着替えて、リビングに行くと母親が朝ごはんの支度を終えて会社に行く準備をしていた。
父はもう出掛けたのか、姿が見当たらなかった。

「おはよ」
「あら、おはよう 昨日ぐっすりだったわね」

母は作ってあった夕飯を食べていなかったから様子を見に部屋に来ていたらしい。
「でも、制服シワシワになるからせめて脱いでね」と言われ夢姫ゆめは小さくなって頷いた。



『────次のニュースです。』


用意してくれていた朝食をもそもそと食べながらテレビを見る。
まだ、朝のニュース真っ最中らしい。
土曜だというのに、社会人のほとんどの人が仕事。
この人たちはいつ休んでいるのだろう?


『今日未明、○○市のマンションの1室で……』
夢姫ゆめ、今日も遅くなるかもしれないから夕飯置いておくね」
「…あ、うん。毎日ご苦労さま」

行ってきます、と母は家を出ていった。
見送った後に視線をテレビに返すと先ほどのニュースは終わってしまっていた。
通販のながーいCMになってしまったので
リモコンでチャンネルを切り替える。
朝のちょこっとドラマをやっているところがあった。


『あ……私これ夢でも見た』
『なんだと?!じゃあ、この後はどうなるんだ』
『この後は……』


……途中から見てもよくわからなそう。事件ものかな?
番組表を見ると、「予知夢少女」連続ドラマの再放送らしい。

『この後は……えっと、掛け時計の鳩が』


テレビのメニューを閉じると、予知夢少女と呼ばれているらしい主人公の女の子がノートを開いている。
どうやら見た夢を忘れないように記録しているらしい。

「……ノートか」

今、自分が見ている夢も日記みたいにつければ何か変わるだろうか?
恐らく、現実世界の夢姫わたし
夢の世界の夢姫わたしが帰って来るまで
あの夢を見続けるだろうから、
起きて、忘れて1日モヤモヤするよりノートにまとめておけば少しは気が楽かもしれない。
それに、姫依きいにも夢の始まりをほんの少しだけ伝えている
多分、これから見続けるとなると夢依めいにも話すだろう。
珍しいもの好きな2人なので「今日はどんなんじ?」とか聞かれる日が来ると思うのと、
今後その夢について相談にのってもらったりすることもあるだろうから。

時計を見るとまだ8時前。
今から準備をして、家から待ち合わせの駅の中間にある病院
夢依めいの所に寄っても約束の時間には充分間に合うので、お見舞いをしてから待ち合わせ場所に向かうことにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

灰かぶりの姉

吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。 「今日からあなたのお父さんと妹だよ」 そう言われたあの日から…。 * * * 『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。 国枝 那月×野口 航平の過去編です。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

さようなら、たったひとつの

あんど もあ
ファンタジー
メアリは、10年間婚約したディーゴから婚約解消される。 大人しく身を引いたメアリだが、ディーゴは翌日から寝込んでしまい…。

処理中です...