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最終章
第79話 逃げるが勝ちというやつです。
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待ち侘びた知らせを受けた私は、即座に自室を飛び出した。王城の長い廊下を全速力で駆け抜ける。
もどかしく足を動かしていると、有能侍女がすかさず追いついてきて、私の腕を掴んで強引に足を止めさせた。
「リリアーナ殿下! あまり張り切りすぎると、また体調を崩してしまうやもしれませんよっ」
「あら、平気よ。だってここ数ヶ月は一度も寝込んでいないでしょう?」
鼻高々に胸を張ったものの、メイベルは「いけません」といかめしく首を横に振る。
「式の直前で倒れたらどうするのです! とにかく無事に終わるまではしとやかに、だらだらぐうぐう、穏やかにお過ごしください。……確か、お得意でしたわよね?」
「ええ。その道で私の右に出る者はいないと自負しているわ」
榛色の髪をかき上げてツンと澄ませば、メイベルも満足気に頷いた。大真面目に顔を見合わせ、二人同時に噴き出した。
笑いながら歩調を緩めて歩き出す。
「ごめんね、でも一年ぶりなんだもの。さすがに懐かしくなっちゃって」
「そうですね。……ですがリリアーナ殿下、里帰りしたいだなんて一度もこぼしませんでしたよね?」
上目遣いに問われ、「だって遠すぎるんだもの」と舌を出す。廊下をくるりと一回転して、眩しい日差しの差し込む窓に目をやった。
「……それに、毎日目まぐるしくって郷愁を感じる暇もなかったわ。ぐうたらーな教の教祖になったり、収穫祭では歌を披露したり走り回ったり」
楽しかったこの一年を思い返していると、メイベルもくすぐったそうに笑って後を引き取った。
「それから新年の贈り物を作ったり、精霊を招くお茶会を開いたり、ですね。……あたしもこの一年、あっという間だったなぁ。毎日が刺激的すぎるんですもの」
深々と吐息をついての一言に、ビクリと足が止まる。大慌てで彼女にすがりついた。
「もしや、もう嫌になっちゃった!? イスレア王国に帰りたい!?」
「いいえ。ちっとも」
即座ににっこりと否定して、メイベルが優しく私の手を取った。美しい紫紺の瞳を輝かせ、ドンと頼もしく胸を叩く。
「あたしだってもう立派なランダールの国民ですから。ここで一生、殿下と一緒に面白おかしく暮らすって決めたんです」
「メイベル……! さすが私の親友ねっ」
ぎゅっと抱き着くと、メイベルも声を立てて笑った。そのまま二人で手を繋いで歩き出す。
応接間に到着し、開かれた扉に弾むように駆け込んだ。
「――レナードお兄様っ」
「リリアーナ!」
兄妹の一年ぶりの再会だ。
感極まってみるみる瞳が潤んでくる。
レナード兄も泣き出しそうに顔を歪め、固く私を抱き締め――……なかった。
なぜか私の肩をがしっと鷲掴みにして、ガクガクと激しく揺さぶってくる。
「リリアーナ、まめに便りを寄越せと言ったのにお前という奴は……! 大丈夫なのか、問題は起こしていないのか!? 直前になって破談になったりしないか!?」
「…………」
相も変わらず、酷い言われよう。
久しぶりに会う妹への第一声がそれ? とむくれていると、義姉のドーラ様がレナード兄を平手で突き飛ばした。
「まったく、レナード陛下ったら。リリアーナ様に失礼ですわよ!」
「ドーラお義姉様!」
思いもよらぬ助け舟に感動して、ひしと彼女と抱き合った。私の髪を撫でながら、義姉が慈愛の眼差しを私に向ける。
「リリアーナ様。わたくしには何も隠さずともよろしいのですよ。……本当のところ、どうなのです。ガイウス陛下に愛想を尽かされたりしておられません?」
「…………」
どいつもこいつも。
ひくひくと頬を引きつらせていると、応接間の扉が開いて颯爽とエリオットが入室してきた。灰白色の瞳を鋭く光らせ、私達に向かって深々と腰を折る。
「ランダール王国宰相のエリオット・フェレクと申します。レナード陛下、並びにドーラ王妃様。遠いところまでようこそお越しくださいました。ランダール王がじきに挨拶に参りますゆえ、もうしばしご歓談くださいませ」
「え、ええ……」
レナード兄はためらいがちに頷くと、エリオットを探るように見つめた。ちらりと私を見てから声をひそめる。
「その……ここだけの話、いかがですかな。妹はあなた方にご迷惑をおかけしていませんか?」
「レナードお兄様っ」
声を荒げる私を制して、エリオットがきっぱりと首を横に振った。
「いいえ。天真爛漫なリリアーナ様は、いつだって我らに癒やしを与えてくださいます。リリアーナ様がいらっしゃるだけで、まるで花が咲いたかのごとくその場が明るくなるのです」
「ほう……!」
目を丸くするレナード兄に、大得意で胸を膨らませた。ほらほら、私ってば存在自体が癒やしなのよ?
ひとつ頷いたエリオットが、真面目くさって続ける。
「我々が懸命に仕事をしている横で、リリアーナ様はひとり優雅にぐうすかぴよぴよ。まるで生まれも育ちもここだと言わんばかりの堂々たるくつろぎっぷり。このエリオット、なんと図々しいことかと毎日感服しております」
「…………」
あっ、待ってお兄様!?
そんな目で見ないでっ!?
大慌てでメイベルの背中に隠れると、「メイベル嬢、今のは本当か?」という兄の平坦な声が聞こえた。……でも、私にはわかる。兄は爆発寸前なのだ。
(メイベル、頼んだわよっ)
こっそり囁きかけた私に、メイベルは背中に回した手でグッと親指を立てて請け合ってくれた。うんうん、なんて頼りになる親友なの!
しとやかに進み出たメイベルが、スカートをつまんで礼を取る。
「ええ、本当ですわレナード陛下。夏には執務室の床に転がって、まるで粛々と回収を待つ粗大ゴミのごとき有様でしたわ」
この裏切り者ーーーーっ!?
「リリアーナッ!! お前という奴は――!」
レナード兄が凄まじい顔で怒鳴り出し、私は即座に一歩退いた。額に手を当てて、わざとらしくよろけてみせる。
「あっ、わたくし何やら目眩が……っ。自室で休ませていただきますわ!」
「こら待てッ! リリ」
みなまで聞かず、バタンと激しく扉を叩きつけた。自室だと連れ戻される恐れがあるから、精霊廟に籠城しようっと。
回れ右した途端、やわらかな何かに思いっきり鼻面をぶつけてしまう。
「ぶっ!?」
「リリアーナ!?」
鼻を押さえて見上げると、ガイウス陛下がおろおろと私の顔を覗き込んでいた。
「大丈夫か? どこへ行くんだ、久しぶりの家族との再会だろう?」
「だってお説教が始まりそうなんだもの! 私は逃げるから、ガイウス陛下はお兄様を引き止めてね。あなただけは、私の味方でしょう……?」
目にいっぱいに涙を溜めて、陛下の胸にあざとくすがりつく。ぶわわと毛並みを逆立てた陛下は、期待通り勢い込んで頷いてくれた。
「任せろっ。君は精霊廟に避難しててくれ。――ああ、そうだ」
懐から慌ただしく封筒を取り出して、素早く私の手に握らせる。
「セシルから、俺と君宛てに手紙が届いたんだ」
「セシル兄様から?」
そういえば、あの放浪癖の昼行灯は今ごろ何をしているのだろう。まさか、妹の結婚式にも出ないつもり?
まだ開封されていない封筒をためつすがめつ眺めていると、応接間のドアから大声が聞こえた。「そこを退いてくれエリオット殿、メイベル嬢! 今すぐ妹に説教を――」やばばばばっ!
「さあ、行くんだリリアーナ! 手紙は君が先に読んで構わないから!」
ガイウス陛下から背中を押され、目顔で礼を言う。
怒れる兄から逃れるべく、一目散に駆け出した。
もどかしく足を動かしていると、有能侍女がすかさず追いついてきて、私の腕を掴んで強引に足を止めさせた。
「リリアーナ殿下! あまり張り切りすぎると、また体調を崩してしまうやもしれませんよっ」
「あら、平気よ。だってここ数ヶ月は一度も寝込んでいないでしょう?」
鼻高々に胸を張ったものの、メイベルは「いけません」といかめしく首を横に振る。
「式の直前で倒れたらどうするのです! とにかく無事に終わるまではしとやかに、だらだらぐうぐう、穏やかにお過ごしください。……確か、お得意でしたわよね?」
「ええ。その道で私の右に出る者はいないと自負しているわ」
榛色の髪をかき上げてツンと澄ませば、メイベルも満足気に頷いた。大真面目に顔を見合わせ、二人同時に噴き出した。
笑いながら歩調を緩めて歩き出す。
「ごめんね、でも一年ぶりなんだもの。さすがに懐かしくなっちゃって」
「そうですね。……ですがリリアーナ殿下、里帰りしたいだなんて一度もこぼしませんでしたよね?」
上目遣いに問われ、「だって遠すぎるんだもの」と舌を出す。廊下をくるりと一回転して、眩しい日差しの差し込む窓に目をやった。
「……それに、毎日目まぐるしくって郷愁を感じる暇もなかったわ。ぐうたらーな教の教祖になったり、収穫祭では歌を披露したり走り回ったり」
楽しかったこの一年を思い返していると、メイベルもくすぐったそうに笑って後を引き取った。
「それから新年の贈り物を作ったり、精霊を招くお茶会を開いたり、ですね。……あたしもこの一年、あっという間だったなぁ。毎日が刺激的すぎるんですもの」
深々と吐息をついての一言に、ビクリと足が止まる。大慌てで彼女にすがりついた。
「もしや、もう嫌になっちゃった!? イスレア王国に帰りたい!?」
「いいえ。ちっとも」
即座ににっこりと否定して、メイベルが優しく私の手を取った。美しい紫紺の瞳を輝かせ、ドンと頼もしく胸を叩く。
「あたしだってもう立派なランダールの国民ですから。ここで一生、殿下と一緒に面白おかしく暮らすって決めたんです」
「メイベル……! さすが私の親友ねっ」
ぎゅっと抱き着くと、メイベルも声を立てて笑った。そのまま二人で手を繋いで歩き出す。
応接間に到着し、開かれた扉に弾むように駆け込んだ。
「――レナードお兄様っ」
「リリアーナ!」
兄妹の一年ぶりの再会だ。
感極まってみるみる瞳が潤んでくる。
レナード兄も泣き出しそうに顔を歪め、固く私を抱き締め――……なかった。
なぜか私の肩をがしっと鷲掴みにして、ガクガクと激しく揺さぶってくる。
「リリアーナ、まめに便りを寄越せと言ったのにお前という奴は……! 大丈夫なのか、問題は起こしていないのか!? 直前になって破談になったりしないか!?」
「…………」
相も変わらず、酷い言われよう。
久しぶりに会う妹への第一声がそれ? とむくれていると、義姉のドーラ様がレナード兄を平手で突き飛ばした。
「まったく、レナード陛下ったら。リリアーナ様に失礼ですわよ!」
「ドーラお義姉様!」
思いもよらぬ助け舟に感動して、ひしと彼女と抱き合った。私の髪を撫でながら、義姉が慈愛の眼差しを私に向ける。
「リリアーナ様。わたくしには何も隠さずともよろしいのですよ。……本当のところ、どうなのです。ガイウス陛下に愛想を尽かされたりしておられません?」
「…………」
どいつもこいつも。
ひくひくと頬を引きつらせていると、応接間の扉が開いて颯爽とエリオットが入室してきた。灰白色の瞳を鋭く光らせ、私達に向かって深々と腰を折る。
「ランダール王国宰相のエリオット・フェレクと申します。レナード陛下、並びにドーラ王妃様。遠いところまでようこそお越しくださいました。ランダール王がじきに挨拶に参りますゆえ、もうしばしご歓談くださいませ」
「え、ええ……」
レナード兄はためらいがちに頷くと、エリオットを探るように見つめた。ちらりと私を見てから声をひそめる。
「その……ここだけの話、いかがですかな。妹はあなた方にご迷惑をおかけしていませんか?」
「レナードお兄様っ」
声を荒げる私を制して、エリオットがきっぱりと首を横に振った。
「いいえ。天真爛漫なリリアーナ様は、いつだって我らに癒やしを与えてくださいます。リリアーナ様がいらっしゃるだけで、まるで花が咲いたかのごとくその場が明るくなるのです」
「ほう……!」
目を丸くするレナード兄に、大得意で胸を膨らませた。ほらほら、私ってば存在自体が癒やしなのよ?
ひとつ頷いたエリオットが、真面目くさって続ける。
「我々が懸命に仕事をしている横で、リリアーナ様はひとり優雅にぐうすかぴよぴよ。まるで生まれも育ちもここだと言わんばかりの堂々たるくつろぎっぷり。このエリオット、なんと図々しいことかと毎日感服しております」
「…………」
あっ、待ってお兄様!?
そんな目で見ないでっ!?
大慌てでメイベルの背中に隠れると、「メイベル嬢、今のは本当か?」という兄の平坦な声が聞こえた。……でも、私にはわかる。兄は爆発寸前なのだ。
(メイベル、頼んだわよっ)
こっそり囁きかけた私に、メイベルは背中に回した手でグッと親指を立てて請け合ってくれた。うんうん、なんて頼りになる親友なの!
しとやかに進み出たメイベルが、スカートをつまんで礼を取る。
「ええ、本当ですわレナード陛下。夏には執務室の床に転がって、まるで粛々と回収を待つ粗大ゴミのごとき有様でしたわ」
この裏切り者ーーーーっ!?
「リリアーナッ!! お前という奴は――!」
レナード兄が凄まじい顔で怒鳴り出し、私は即座に一歩退いた。額に手を当てて、わざとらしくよろけてみせる。
「あっ、わたくし何やら目眩が……っ。自室で休ませていただきますわ!」
「こら待てッ! リリ」
みなまで聞かず、バタンと激しく扉を叩きつけた。自室だと連れ戻される恐れがあるから、精霊廟に籠城しようっと。
回れ右した途端、やわらかな何かに思いっきり鼻面をぶつけてしまう。
「ぶっ!?」
「リリアーナ!?」
鼻を押さえて見上げると、ガイウス陛下がおろおろと私の顔を覗き込んでいた。
「大丈夫か? どこへ行くんだ、久しぶりの家族との再会だろう?」
「だってお説教が始まりそうなんだもの! 私は逃げるから、ガイウス陛下はお兄様を引き止めてね。あなただけは、私の味方でしょう……?」
目にいっぱいに涙を溜めて、陛下の胸にあざとくすがりつく。ぶわわと毛並みを逆立てた陛下は、期待通り勢い込んで頷いてくれた。
「任せろっ。君は精霊廟に避難しててくれ。――ああ、そうだ」
懐から慌ただしく封筒を取り出して、素早く私の手に握らせる。
「セシルから、俺と君宛てに手紙が届いたんだ」
「セシル兄様から?」
そういえば、あの放浪癖の昼行灯は今ごろ何をしているのだろう。まさか、妹の結婚式にも出ないつもり?
まだ開封されていない封筒をためつすがめつ眺めていると、応接間のドアから大声が聞こえた。「そこを退いてくれエリオット殿、メイベル嬢! 今すぐ妹に説教を――」やばばばばっ!
「さあ、行くんだリリアーナ! 手紙は君が先に読んで構わないから!」
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