85 / 87
番外編
昔語り【前編】
しおりを挟む
初めて彼女が僕を見つけた時。
――彼女は、それはそれは嬉しそうに微笑んだ。
***
光り輝く精霊廟の箱庭、ゆったりとした時間が流れていく昼下り。
頬を上気させた初代さんが、ひょろ長い体をまっすぐに伸ばして熱弁している。
身振り手振りでまくし立てる彼を、私はひたすら虚ろな瞳で見上げ続けた。だって、眠くて眠くて堪らないのだ。
いつもならお昼寝まっただ中の時間帯。
まして立っている初代さんとは違い、私はやわらかな草の上に横座りしている。草花から立ち昇るあえかな香りが心地良いし、箱庭に差し込む光も暖かい。
包み込まれるような優しい空気に、私は小さく欠伸を噛み殺した。
「……でも。彼女はその時、もちろん獅子のお姿だったんでしょう……? 笑っていたかどうかなんて、わかります?」
熱のこもらない口調で問いかけると、彼はぴたりと言葉を止めてしまった。しばし黙りこくり、ややあって不快そうに唇をひん曲げる。
「たとえ獅子の姿であろうと、彼女の感情ぐらい手に取るように分かる。彼女を誰より理解しているのは、他でもないこの僕なのだから」
「そ、そうですか……」
引きつり笑いを返して、私はさり気なく初代さんから距離を取った。じりじりと移動して、傍らの温かな毛並みに身を寄せる。
彼もすぐさま察してくれたようで、私の肩にたくましい腕を回して引き寄せた。微風におひげをそよがせながら、優しい眼差しを私に向ける。
「眠くなったか、リリアーナ? ならば俺にもたれて目をつぶっているといい。初代殿のお話は俺が伺っておくから」
「嬉しいわ。ガイウス陛下……」
うっとりと彼を見つめ、お言葉に甘えて額を擦りつけた。太陽の香りがする大好きな毛並みを堪能し、さあいざお昼寝を――……
「寝・る・なっ!!」
途端に頭上から大喝された。
いやいや目を開けて、鼻息荒く腕組みする男を恨めしげに睨みつける。
「だって、このお話は代々の王に聞かせているものなんでしょう? 私は王じゃないもの」
「それでも君は王妃だろうっ。『はじまりの精霊』たるこの僕の、貴重な昔語りなのだからありがたく傾聴しろっ」
……はいはい。
仕方なく、ううんと大きく伸びをする。
きちんと座り直し、真面目くさって彼を見上げた。
「彼女――フィオナ様は、その時はまだ王ではなかったんですよね?」
はじまりの精霊が、フィオナ女王陛下と出会ったちょうどその頃。
ランダールという国はまだ存在しておらず、獣人は種族ごとに分かれて暮らしていたという。といっても決して仲が悪いわけではなく、単に住み分けをしていただけらしい。
さっきまで彼が熱く語っていた内容をすらすらと諳んじてみせると、初代さんも即座に機嫌を直してくれた。そっくり返って尊大に頷く。
「その通り。獣人達は皆平和に暮らしていたが……当時、異常気象がこの大陸を襲ったんだ。夏の日照りに冬の大嵐……。土地はやせ細り、獣人達は飢えに苦しんだ」
「…………」
そういえば、ランダールの歴史書で読んだ覚えがある。
といっても単に書物の知識と、実際に話を聞くのとでは体感が違ってくる。痛ましさに胸が疼いた。
ガイウス陛下も辛そうに獅子の顔を歪める。
「酷い飢饉だったそうですね。その頃は、精霊の加護が無かったから……」
「精霊は基本、やりたいように行動するだけだからな。人間の事など気にしていない」
そっけなく返し、初代さんは私達に背を向けた。そのままじっと大樹を見上げる。
沈黙に居心地悪く身じろぎしていると、しばらく経ってから初代さんがやっと口を開いた。
「……彼女はひとり群れを離れ、食料を探すためこの地へとやって来た。他の精霊が施していた、悪しき者を排除する結界をやすやすとくぐり抜けて、な」
再びこちらを振り向いて、ふっと唇をほころばせる。
そうして初代さんと邂逅したフィオナ女王陛下は――艶のなくなったぼさぼさの毛を震わせ、まるで宝物を見つけたかのように目を輝かせたのだという。
その時の事を思い返したのか、初代さんが熱っぽい吐息をついた。
「彼女は黄金色の瞳を僕に向け、歓喜の悲鳴を上げたんだ……。『まあ、美味しそう!』とな!」
「…………」
はい?
聞き間違いだろうか、とガイウス陛下を窺うが、彼も牙を剥き出しにぽかんと大きな口を開けていた。二人無言で見つめ合う中、初代さんは熱に浮かされたように続ける。
「僕の胸は高鳴った……! いや、その頃まだ僕に胸は無かったが! 僕は必死で体を揺らし、彼女の美しい手の上にぽとんと落としてあげたんだ!」
「何を?」
間の抜けた声で合いの手を入れると、彼はキッと眉を吊り上げた。
「林檎をだ! 決まっているだろう!!」
「………」
や、わかんない。
どゆこと? と首をひねる私達に構わず、初代さんは両手を広げてその場でくるくる回り出す。
「彼女は待ちきれない様子でかぶりついたさ! 夢中で牙を立て、果汁をしたたらせながらあっという間に平らげてしまった……! ぐいと口をぬぐって再び僕を熱く見つめ、そうしてこう言ったんだ!」
「ご馳走さま、って?」
先回りして答えると、初代さんはようやく回転を止めた。危なっかしくふわふわとよろけ、憤然としてかぶりを振る。
「違う!『お代わり、持ち林檎をありったけ寄越しなさい』だっ!!」
「…………」
強盗かしら。
――彼女は、それはそれは嬉しそうに微笑んだ。
***
光り輝く精霊廟の箱庭、ゆったりとした時間が流れていく昼下り。
頬を上気させた初代さんが、ひょろ長い体をまっすぐに伸ばして熱弁している。
身振り手振りでまくし立てる彼を、私はひたすら虚ろな瞳で見上げ続けた。だって、眠くて眠くて堪らないのだ。
いつもならお昼寝まっただ中の時間帯。
まして立っている初代さんとは違い、私はやわらかな草の上に横座りしている。草花から立ち昇るあえかな香りが心地良いし、箱庭に差し込む光も暖かい。
包み込まれるような優しい空気に、私は小さく欠伸を噛み殺した。
「……でも。彼女はその時、もちろん獅子のお姿だったんでしょう……? 笑っていたかどうかなんて、わかります?」
熱のこもらない口調で問いかけると、彼はぴたりと言葉を止めてしまった。しばし黙りこくり、ややあって不快そうに唇をひん曲げる。
「たとえ獅子の姿であろうと、彼女の感情ぐらい手に取るように分かる。彼女を誰より理解しているのは、他でもないこの僕なのだから」
「そ、そうですか……」
引きつり笑いを返して、私はさり気なく初代さんから距離を取った。じりじりと移動して、傍らの温かな毛並みに身を寄せる。
彼もすぐさま察してくれたようで、私の肩にたくましい腕を回して引き寄せた。微風におひげをそよがせながら、優しい眼差しを私に向ける。
「眠くなったか、リリアーナ? ならば俺にもたれて目をつぶっているといい。初代殿のお話は俺が伺っておくから」
「嬉しいわ。ガイウス陛下……」
うっとりと彼を見つめ、お言葉に甘えて額を擦りつけた。太陽の香りがする大好きな毛並みを堪能し、さあいざお昼寝を――……
「寝・る・なっ!!」
途端に頭上から大喝された。
いやいや目を開けて、鼻息荒く腕組みする男を恨めしげに睨みつける。
「だって、このお話は代々の王に聞かせているものなんでしょう? 私は王じゃないもの」
「それでも君は王妃だろうっ。『はじまりの精霊』たるこの僕の、貴重な昔語りなのだからありがたく傾聴しろっ」
……はいはい。
仕方なく、ううんと大きく伸びをする。
きちんと座り直し、真面目くさって彼を見上げた。
「彼女――フィオナ様は、その時はまだ王ではなかったんですよね?」
はじまりの精霊が、フィオナ女王陛下と出会ったちょうどその頃。
ランダールという国はまだ存在しておらず、獣人は種族ごとに分かれて暮らしていたという。といっても決して仲が悪いわけではなく、単に住み分けをしていただけらしい。
さっきまで彼が熱く語っていた内容をすらすらと諳んじてみせると、初代さんも即座に機嫌を直してくれた。そっくり返って尊大に頷く。
「その通り。獣人達は皆平和に暮らしていたが……当時、異常気象がこの大陸を襲ったんだ。夏の日照りに冬の大嵐……。土地はやせ細り、獣人達は飢えに苦しんだ」
「…………」
そういえば、ランダールの歴史書で読んだ覚えがある。
といっても単に書物の知識と、実際に話を聞くのとでは体感が違ってくる。痛ましさに胸が疼いた。
ガイウス陛下も辛そうに獅子の顔を歪める。
「酷い飢饉だったそうですね。その頃は、精霊の加護が無かったから……」
「精霊は基本、やりたいように行動するだけだからな。人間の事など気にしていない」
そっけなく返し、初代さんは私達に背を向けた。そのままじっと大樹を見上げる。
沈黙に居心地悪く身じろぎしていると、しばらく経ってから初代さんがやっと口を開いた。
「……彼女はひとり群れを離れ、食料を探すためこの地へとやって来た。他の精霊が施していた、悪しき者を排除する結界をやすやすとくぐり抜けて、な」
再びこちらを振り向いて、ふっと唇をほころばせる。
そうして初代さんと邂逅したフィオナ女王陛下は――艶のなくなったぼさぼさの毛を震わせ、まるで宝物を見つけたかのように目を輝かせたのだという。
その時の事を思い返したのか、初代さんが熱っぽい吐息をついた。
「彼女は黄金色の瞳を僕に向け、歓喜の悲鳴を上げたんだ……。『まあ、美味しそう!』とな!」
「…………」
はい?
聞き間違いだろうか、とガイウス陛下を窺うが、彼も牙を剥き出しにぽかんと大きな口を開けていた。二人無言で見つめ合う中、初代さんは熱に浮かされたように続ける。
「僕の胸は高鳴った……! いや、その頃まだ僕に胸は無かったが! 僕は必死で体を揺らし、彼女の美しい手の上にぽとんと落としてあげたんだ!」
「何を?」
間の抜けた声で合いの手を入れると、彼はキッと眉を吊り上げた。
「林檎をだ! 決まっているだろう!!」
「………」
や、わかんない。
どゆこと? と首をひねる私達に構わず、初代さんは両手を広げてその場でくるくる回り出す。
「彼女は待ちきれない様子でかぶりついたさ! 夢中で牙を立て、果汁をしたたらせながらあっという間に平らげてしまった……! ぐいと口をぬぐって再び僕を熱く見つめ、そうしてこう言ったんだ!」
「ご馳走さま、って?」
先回りして答えると、初代さんはようやく回転を止めた。危なっかしくふわふわとよろけ、憤然としてかぶりを振る。
「違う!『お代わり、持ち林檎をありったけ寄越しなさい』だっ!!」
「…………」
強盗かしら。
65
あなたにおすすめの小説
冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています
放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。
希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。
元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。
──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。
「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」
かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着?
優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結】呪いのせいで無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになりました。
里海慧
恋愛
わたくしが愛してやまない婚約者ライオネル様は、どうやらわたくしを嫌っているようだ。
でもそんなクールなライオネル様も素敵ですわ——!!
超前向きすぎる伯爵令嬢ハーミリアには、ハイスペイケメンの婚約者ライオネルがいる。
しかしライオネルはいつもハーミリアにはそっけなく冷たい態度だった。
ところがある日、突然ハーミリアの歯が強烈に痛み口も聞けなくなってしまった。
いつもなら一方的に話しかけるのに、無言のまま過ごしていると婚約者の様子がおかしくなり——?
明るく楽しいラブコメ風です!
頭を空っぽにして、ゆるい感じで読んでいただけると嬉しいです★
※激甘注意 お砂糖吐きたい人だけ呼んでください。
※2022.12.13 女性向けHOTランキング1位になりました!!
みなさまの応援のおかげです。本当にありがとうございます(*´꒳`*)
※タイトル変更しました。
旧タイトル『歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件』
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り
楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。
たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。
婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。
しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。
なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。
せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。
「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」
「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」
かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。
執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?!
見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。
*全16話+番外編の予定です
*あまあです(ざまあはありません)
*2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪
二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる