足枷《あしかせ》無しでも、Stay with me

ゆりえる

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ハイキングと……

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 そんな芽里めりの思惑にも気付かず、通路を挟んで、今度は隣に瑞輝みずきがいる事が嬉しく感じられた詩奈しいな

(例え期間限定だとしても、こんなに近くに矢本君がいて、いつも私の事を考えて助けてくれている! それだけで、十分シアワセに感じられる! 無理なのは分かっているけど、この時間、いつまでも続いて欲しい! でも、続かないからこそ、今を大事にしたい気持ちでいられるのかも知れない!)

 瑞輝みずきや若葉や凌空りくの笑顔が自分に向けられている今、この時間の幸運を感じながら、詩奈しいなも彼らに負けない笑顔を向けた。

 宿泊地に着くと、宿舎内に宿泊用の荷物を置いた一行。
 少し休憩した後は、予定通りナップザックを肩にハイキングした。
 明るい時間帯に野原を歩くのは、それほど苦痛に感じられなかった詩奈しいな

 昼食時は、グループ毎にまとまって敷物を敷き、配られた弁当を食べた。
 詩奈しいなは好き嫌いはあまり無いが、量が多過ぎて満腹になり、困っていると、瑞輝みずきが気付き全部食べた。

「矢本君、ありがとう! お腹いっぱいだったけど、残すのはイヤだったから、助かった!」

 瑞輝みずき詩奈しいなの弁当を食べた様子を見て、口を尖らせた若葉。

瑞輝みずきが食べてくれるなら、私も残したのに~! お腹いっぱいだったけど、無理矢理詰め込んじゃったじゃん!」

 お腹をパンパンと叩き、膨れた様子を見せた若葉。

「北岡君は、好き嫌い無いの?」

 瑞輝みずきと同様、さっさと食べ終えた凌空りくの空っぽの弁当パックを見て尋ねた詩奈しいな

「無いわけでは無いけど、我慢して食べるかな、こういう時は」

 凌空りくと話している時、また視線を感じ振り向くと、さほど離れていない位置から、芽里めりが凝視していた。

(また芽里めり、何だか、怖い……この林間学校の間に、北岡君に接近する事を狙っているのが、強く伝わって来る……)

 いつも凌空りくが気にかけてくれている分、詩奈しいなも声をかけようとしていたが、芽里めりの様子を見ると、なるべくそれは控えた方がいいように感じられた。

「お弁当パックの回収、私と詩奈しいなで、行ってくるから、瑞輝みずき凌空りくは、敷物を畳んでね~!」

 若葉が3人分の空の弁当を持ち、詩奈は1人分だけで、離れた位置に有るゴミ置き場に運んだ。
 それほど時間が経過しないうちに戻ると、2人がいなかった隙に、敷物を畳んでいる瑞輝みずき凌空りくを手伝おうと、芽里めりやそのグループの女子達4人が来ていた。

「あれっ、手伝ってくれていたの~? ありがとう!」

 芽里めりの魂胆など気付かず、手伝ってくれた行為に対し、礼を言った若葉。

「私達、先に食べ終わって、暇だったから」

芽里めり、乗り物酔いは大丈夫?」

 詩奈しいなも、普通に接しようと心がけた。

「うん、それが、少し残っていたから食欲無くて」

「帰りのバス、僕と瑞輝みずきが後ろの席と変わるから、友達と一緒に入れ替わっていいよ」

 仮病とは気付かない凌空りくも心配して、バスの席を交換しようと申し出た。

「ありがとう、北岡君。でもグループはまとまっていた方がいいみたいだから、他の前の方の席のグループの人達に尋ねる事にする」

 凌空りく達と席を入れ替わる事は、凌空りくのそばに座りたい芽里めりにとって本末転倒だった。
 凌空りくに断ったからには、何とか帰りまでに、近くのグループの席と交換せねばと意気込む芽里めり
 だが、彼女にとって、帰りのバス以前に、まずは肝試しだった。

「それより、肝試しの件で相談があるんだけど……私達のグループって、女子4人で、皆、怖がりだから、北岡君達のグループと一緒に行動したいな~」

 芽里めりが、他の3人も同様に装わせ、凌空りくに頼んだ。
 以前、詩奈しいなのお見舞いに行った時に、ホラー映画を見たがっていた芽里めりと、その時に自身が怖がりなのを理由に、映画を断っていたのを思い出した凌空りく

「悪いけど、僕も瑞輝みずきも怖いのわりと苦手だから、男子4人のグループに声かけてあげようか?」

 凌空りくから断られた上、眼中に無いような男子4人と同行する事のを勧められるのは心外だった芽里めりは、返答に困った。

「あっ、うん、大丈夫! 私達から声かけるから」

 芽里めり達のグループは慌てて退散し、計画を練り直している様子だった。

(芽里めり達が同行しない事になって良かった~! 何だか良くない雰囲気になりそうだし……)

「お前が断るなんて珍しいな! まっ、凌空りくが断らなかったら、俺が断るところだったけど」

「大人数で固まって、驚いて逃げようとした時に、詩奈しいなにぶつかりそうだもんね! それは、断って正解だよ~!」

 3人共、自分の為に断るつもりでいてくれた事を嬉しく感じた詩奈しいな

「それにしても、あの詩奈しいなの元友達の小畑さんって、凌空りくの事を狙っている感じ見え見えなんだけど、凌空りくはどうなの?」

 入院中から薄々感じてはいたが、この林間学校のスタート時から、芽里めりに何度となく話しかけられ、若葉から指摘されるほど傍目はためからもそう見えている事が認識出来た凌空りく

「どうって、別に……」

凌空りくは、他に好きな女子がいるからな~!」

瑞輝みずき!」

 瑞輝みずきに白状されそうで、慌てて、口止めしようとした凌空りく

「えっ、誰? 誰? 私の知っている女子?」

 興味津々で聞き出そうとする若葉。

(北岡君は、好きな女子がいるみたいだけど、芽里めりではなかったんだ……という事は、やっぱり、若葉なのかな?)

「それは……え~と……」

「な~んてな! 凌空りくが勉強以外に興味有るわけないじゃん!」

 凌空りくが戸惑っている様子を見兼ねて、急遽、前言撤回した瑞輝みずき

「な~んだ! 確かに、『凌空りくイコール勉強』ってイメージだから、女子に興味なんて無さそうだもんね~! 何より、小畑さんじゃなくて良かった! 私、なんかあの人苦手だな~! 元友達の詩奈しいなに対しての態度とかも、嫌な感じだし」

 瑞輝みずきの言葉を鵜吞みにしている若葉の様子を見て、ホッとした凌空りく

瑞輝みずきや若葉が1組に来る前のクラスメイト達の言動を見てたら、ホント人格疑いたくなるし、距離置きたくなる……」

 詩奈しいなにとって苦痛だった日々は、凌空りくにとっても同じ思いだった。
 今は、瑞輝みずきや若葉が来て、そういう状況から脱しているが、1度味わった苦い思いは、2人にとって安易には消し去れないものだった。
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