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肝試しと……
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肝試しは、詩奈の希望通り、まだ薄暗いくらいのうちに先頭のグループとしてスタートさせてもらう事になった。
前方から、脅し役がやって来た時に、最前列にいるペアが、尻込みして進まなくなったり、後退すると危険と判断し、瑞輝と詩奈が最前列で歩く事になり、そのすぐ後ろに凌空と若葉が続いた。
「何かにつまづいたり、驚いてバランス崩したら危ないから、瑞輝は、詩奈の左腕を組んで歩いてあげてね! 今回ばかりは、私が特別に許可してあげるから!」
(若葉……私が逆の立場だったら、ヤキモチ妬きそうな事を許してくれてありがとう!)
若菜の気遣いが、有り難く感じられた詩奈。
「別にお前の許可無くても、そうするつもりだったけどな」
(矢本君の言葉が嬉し過ぎて、どんな顔していいのか分からない……薄暗くて良かった)
「意地悪~! 私も凌空と腕組むからいいよ!」
自然に瑞輝は自分の左腕を詩奈の右腕と組み、むきになった若葉も凌空と腕を組んで歩き出した。
(何だか夢みたい! 私、今、若葉がよくするように、矢本君と腕組んでるだ~! シアワセ~! 身長差が随分違うけど、何だか、小4の二人三脚の時を思い出す。あの時は、こんな時が来るなんて、思いもしなかったけど……ずっとこうしていられたら、本当に、このまま時が止まってくれたらいいのに!)
肝試しのドキドキ感よりも、頭の中は、瑞輝と腕を組んで歩いている幸せで、すっかり舞い上がっていた詩奈。
いつ驚かされるか分からない不安も有るが、どんな風に驚かされようと、横に瑞輝がいるのなら、何も怖くないと思えた。
歩き始め、まだ何事も無いまま3分くらい経過しようとした時、後ろの方から、威勢よく走り寄って来る何人かの足音が聴こえた。
「何人もいるような足音が迫っているんだけど……」
若葉が聞き耳を立て、瑞輝と詩奈に言った。
「先生達が、団体で脅かそうとしているのかもな」
そう言いながら、瑞輝が先に振り返るなり、呆れ果てた顔をした。
「何だよ、あいつら……?」
予想していた脅し役の先生達ではなく、芽里達のグループが走って追い付いて来たのだった。
「男子達4人組に同行お願いしたけど、頼りなくて全然あてにならないから、先に来ちゃった~! あっ、いいな~! 皆、腕組んでる! 私も、北岡君の空いている方に!」
芽里がちゃっかり、若葉とは反対側の凌空の腕を組んで歩き出そうとしたが、凌空がその腕を振り払った。
「牧田さんの周りに人が沢山集まると、驚かされた時にぶつかる危険が有るから、もっと後ろに離れて欲しい」
「何よ、このグループ、詩奈ばっかり贔屓しちゃって! 詩奈は矢本君に任せて、北岡君も離れて歩けばいいじゃん!」
そう言って、凌空の腕を後方に引いた芽里。
その芽里の頬を若葉が打つと同時に、瑞輝が怒鳴った。
「お前ら、何考えてんだ! グループ行動守らないなら、グループ決めた意味無くね?」
「痛~い! 何するのよ~、野蛮人!」
芽里は大袈裟に頬に片手をあて痛がり、凌空から離れると、詩奈にわざと思いっきりぶつかっていった。
バランスを崩した詩奈を瑞輝が支えている隙に、芽里が敏速に杖を奪い、横に立っていた大木にぶつけて変形させ放り投げた。
「こんな杖無くても、詩奈には、ちゃ~んと守ってくれる人達がいっぱいだよね~!」
嘲笑しながら芽里達のグループは、後方に戻って行った。
「人でなし! もう、二度と近寄らないで!!」
若葉は、芽里達に向かって大声で叫んだ。
瑞輝が杖に頼れない詩奈を支え、凌空がちょうど折り畳みの部位で折れたロフストランド杖を拾いに行った。
前方から、脅し役がやって来た時に、最前列にいるペアが、尻込みして進まなくなったり、後退すると危険と判断し、瑞輝と詩奈が最前列で歩く事になり、そのすぐ後ろに凌空と若葉が続いた。
「何かにつまづいたり、驚いてバランス崩したら危ないから、瑞輝は、詩奈の左腕を組んで歩いてあげてね! 今回ばかりは、私が特別に許可してあげるから!」
(若葉……私が逆の立場だったら、ヤキモチ妬きそうな事を許してくれてありがとう!)
若菜の気遣いが、有り難く感じられた詩奈。
「別にお前の許可無くても、そうするつもりだったけどな」
(矢本君の言葉が嬉し過ぎて、どんな顔していいのか分からない……薄暗くて良かった)
「意地悪~! 私も凌空と腕組むからいいよ!」
自然に瑞輝は自分の左腕を詩奈の右腕と組み、むきになった若葉も凌空と腕を組んで歩き出した。
(何だか夢みたい! 私、今、若葉がよくするように、矢本君と腕組んでるだ~! シアワセ~! 身長差が随分違うけど、何だか、小4の二人三脚の時を思い出す。あの時は、こんな時が来るなんて、思いもしなかったけど……ずっとこうしていられたら、本当に、このまま時が止まってくれたらいいのに!)
肝試しのドキドキ感よりも、頭の中は、瑞輝と腕を組んで歩いている幸せで、すっかり舞い上がっていた詩奈。
いつ驚かされるか分からない不安も有るが、どんな風に驚かされようと、横に瑞輝がいるのなら、何も怖くないと思えた。
歩き始め、まだ何事も無いまま3分くらい経過しようとした時、後ろの方から、威勢よく走り寄って来る何人かの足音が聴こえた。
「何人もいるような足音が迫っているんだけど……」
若葉が聞き耳を立て、瑞輝と詩奈に言った。
「先生達が、団体で脅かそうとしているのかもな」
そう言いながら、瑞輝が先に振り返るなり、呆れ果てた顔をした。
「何だよ、あいつら……?」
予想していた脅し役の先生達ではなく、芽里達のグループが走って追い付いて来たのだった。
「男子達4人組に同行お願いしたけど、頼りなくて全然あてにならないから、先に来ちゃった~! あっ、いいな~! 皆、腕組んでる! 私も、北岡君の空いている方に!」
芽里がちゃっかり、若葉とは反対側の凌空の腕を組んで歩き出そうとしたが、凌空がその腕を振り払った。
「牧田さんの周りに人が沢山集まると、驚かされた時にぶつかる危険が有るから、もっと後ろに離れて欲しい」
「何よ、このグループ、詩奈ばっかり贔屓しちゃって! 詩奈は矢本君に任せて、北岡君も離れて歩けばいいじゃん!」
そう言って、凌空の腕を後方に引いた芽里。
その芽里の頬を若葉が打つと同時に、瑞輝が怒鳴った。
「お前ら、何考えてんだ! グループ行動守らないなら、グループ決めた意味無くね?」
「痛~い! 何するのよ~、野蛮人!」
芽里は大袈裟に頬に片手をあて痛がり、凌空から離れると、詩奈にわざと思いっきりぶつかっていった。
バランスを崩した詩奈を瑞輝が支えている隙に、芽里が敏速に杖を奪い、横に立っていた大木にぶつけて変形させ放り投げた。
「こんな杖無くても、詩奈には、ちゃ~んと守ってくれる人達がいっぱいだよね~!」
嘲笑しながら芽里達のグループは、後方に戻って行った。
「人でなし! もう、二度と近寄らないで!!」
若葉は、芽里達に向かって大声で叫んだ。
瑞輝が杖に頼れない詩奈を支え、凌空がちょうど折り畳みの部位で折れたロフストランド杖を拾いに行った。
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