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切ない報告と……
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母親が家から戻り、 詩奈の泣き腫らした 瞼と赤く腫れた両頬を見て、何が有ったのかと尋ねた。
「さっき、 恵麻と 芽里が面会に来て、私の事を裏切り者って……」
林間学校以来、 凌空と偽装交際を始めた事を報告されていた母は、 恵麻と 芽里の 狼藉も納得出来た。
「そんな事が有ったの……でも、2人の言い分も分かる気がするわ」
「そこへ、矢本君達がお見舞いに来てくれて、 恵麻に、私が矢本君を好きだったって事を言いふらされて……もう、どうしていいか分からなくなったの。そこで、北岡君が助け船を出してくれたから、まだ良かったけど、矢本君も若菜も黙りこくってしまって、私、2人に嫌われてしまったのかも知れない……」
泣きじゃくりながら話した 詩奈。
「多分、そんな事にはならないと思うけど。取り敢えず落ち着こう、 詩奈。明日、また 真香さんに相談しようね」
翌朝、いつもと比べ気が乗らないままリハビリ室へ行き、理学療法士の指示の元、リハビリした 詩奈。
リハビリ後、ちょうど 真香のスケジュールに空き時間が有り、カウンセリング室で、昨夕の出来事を伝えた。
昨日とは正反対の 詩奈の表情に真香は驚いたが、思春期の患者にはよく有る事と思い、冷静に対処しようとした。
「昨日のほんの少しの間に、そんなに心が苦しくなるような出来事が集中したのですね。大変でしたね」
「もう私、嫌われて、お見舞いに来てもらえなくなるかも知れないって心配で、昨日は眠れなかったんです」
詩奈の頬と同様に赤く腫れ上がった 瞼が、それを証明しているようだった。
「お見舞いには、ちゃんと来てくれますよ、きっと! これまで聞いて来た話では、そんな事くらいで、 詩奈さんに距離を置くような感じには思えないので」
真香の言うように、 詩奈も、 瑞輝や若葉がそれを機に自分から離れるとは思いたくなかった。
「来てくれるといいのですが……でも、来てくれた時に、私も向こうも、今までとは違って、ぎこちないままなのも怖くて……それに、自分から何を話していいのか分からないんです……」
「そこは、多分、 詩奈さんの偽装彼氏が上手くカバーしてくれそうですよ。聴いた感じでは、ムードメーカー的なので」
「北岡君……いつも、私、助けられてばかりなんです。今までだって、北岡君が間に入ってくれてなかったら、気まずかった事が何度も有ったんです。好きな人がいながら、こんな風に別の男子に頼ってばかりで、元友達が言うように上手く利用しているみたいで、自分でもズルイと思います……」
申し訳無く思いながらも、 凌空に依存せずにいられない 詩奈の立場を理解出来つつも、このままでは、まだ不穏な雰囲気を招く恐れが有りそうに思えてならない 真香。
「今のままではいけないという思いが有るんですね。 詩奈さんの足の事が無かったら、彼らの反応は違っているかも知れないですから。彼らは、 詩奈さんが、ずっと一緒にいたいって気持ちになるの分かるくらい本当に素敵な友人達ですよね。だからこそ、怪我のせいでの結び付きではなく、フェアでいたいですよね」
詩奈に対し、厳し過ぎるとは思いつつも、今後の事も踏まえ、もう1歩前進出来るようにと願う 真香。
「このままだと、私、本当に怪我のせいで、友達を束縛しそうで嫌なんです。だから、寂しいけど友達から距離を置いた方がいいと思うんですが……そうすると、またクラスメイト達のイジメも怖いので、やっぱり離れられないんです」
「そうですよね、すごく難しい環境に、今、 詩奈さんは置かれてますから。いっそ転校して、知らない所で1からやり直すという機会が有ると、一番手っ取り早いんですが……」
そう言われて、 詩奈は父の転勤の事を思い出した。
「あっ、父が北海道に単身赴任……」
「そういえば、お父さんが間もなくですよね。北海道ですか、いいですよね~。美味しい空気と素材。自然も豊かで」
父から聞いた時には、自分とは無関係で興味が無い場所だったが、 真香に 諭され、今の 詩奈の置かれている境遇から抜け出せる絶好の機会のように思えて来た。
遠くの未知だった北の大地へが、急に身近に感じられる思いに駆られる 詩奈。
「 真香さんは、どう思う? 私、ここに母と残るより、家族で北海道に行く方が良いと思う?」
それまでは、努めて落ち着いて話していた 詩奈だったが、つい感情任せになり丁寧に話す事を忘れていた。
「断言は出来ないですが、 詩奈さん、ここで色んな事を体験し過ぎたので、少しの間くらいはリフレッシュ感覚で、ここを離れた方が心身の為かも知れないです」
自分の一言が 詩奈の人生に大きく影響しそうで、慎重に言葉を選んだ 真香。
「さっき、 恵麻と 芽里が面会に来て、私の事を裏切り者って……」
林間学校以来、 凌空と偽装交際を始めた事を報告されていた母は、 恵麻と 芽里の 狼藉も納得出来た。
「そんな事が有ったの……でも、2人の言い分も分かる気がするわ」
「そこへ、矢本君達がお見舞いに来てくれて、 恵麻に、私が矢本君を好きだったって事を言いふらされて……もう、どうしていいか分からなくなったの。そこで、北岡君が助け船を出してくれたから、まだ良かったけど、矢本君も若菜も黙りこくってしまって、私、2人に嫌われてしまったのかも知れない……」
泣きじゃくりながら話した 詩奈。
「多分、そんな事にはならないと思うけど。取り敢えず落ち着こう、 詩奈。明日、また 真香さんに相談しようね」
翌朝、いつもと比べ気が乗らないままリハビリ室へ行き、理学療法士の指示の元、リハビリした 詩奈。
リハビリ後、ちょうど 真香のスケジュールに空き時間が有り、カウンセリング室で、昨夕の出来事を伝えた。
昨日とは正反対の 詩奈の表情に真香は驚いたが、思春期の患者にはよく有る事と思い、冷静に対処しようとした。
「昨日のほんの少しの間に、そんなに心が苦しくなるような出来事が集中したのですね。大変でしたね」
「もう私、嫌われて、お見舞いに来てもらえなくなるかも知れないって心配で、昨日は眠れなかったんです」
詩奈の頬と同様に赤く腫れ上がった 瞼が、それを証明しているようだった。
「お見舞いには、ちゃんと来てくれますよ、きっと! これまで聞いて来た話では、そんな事くらいで、 詩奈さんに距離を置くような感じには思えないので」
真香の言うように、 詩奈も、 瑞輝や若葉がそれを機に自分から離れるとは思いたくなかった。
「来てくれるといいのですが……でも、来てくれた時に、私も向こうも、今までとは違って、ぎこちないままなのも怖くて……それに、自分から何を話していいのか分からないんです……」
「そこは、多分、 詩奈さんの偽装彼氏が上手くカバーしてくれそうですよ。聴いた感じでは、ムードメーカー的なので」
「北岡君……いつも、私、助けられてばかりなんです。今までだって、北岡君が間に入ってくれてなかったら、気まずかった事が何度も有ったんです。好きな人がいながら、こんな風に別の男子に頼ってばかりで、元友達が言うように上手く利用しているみたいで、自分でもズルイと思います……」
申し訳無く思いながらも、 凌空に依存せずにいられない 詩奈の立場を理解出来つつも、このままでは、まだ不穏な雰囲気を招く恐れが有りそうに思えてならない 真香。
「今のままではいけないという思いが有るんですね。 詩奈さんの足の事が無かったら、彼らの反応は違っているかも知れないですから。彼らは、 詩奈さんが、ずっと一緒にいたいって気持ちになるの分かるくらい本当に素敵な友人達ですよね。だからこそ、怪我のせいでの結び付きではなく、フェアでいたいですよね」
詩奈に対し、厳し過ぎるとは思いつつも、今後の事も踏まえ、もう1歩前進出来るようにと願う 真香。
「このままだと、私、本当に怪我のせいで、友達を束縛しそうで嫌なんです。だから、寂しいけど友達から距離を置いた方がいいと思うんですが……そうすると、またクラスメイト達のイジメも怖いので、やっぱり離れられないんです」
「そうですよね、すごく難しい環境に、今、 詩奈さんは置かれてますから。いっそ転校して、知らない所で1からやり直すという機会が有ると、一番手っ取り早いんですが……」
そう言われて、 詩奈は父の転勤の事を思い出した。
「あっ、父が北海道に単身赴任……」
「そういえば、お父さんが間もなくですよね。北海道ですか、いいですよね~。美味しい空気と素材。自然も豊かで」
父から聞いた時には、自分とは無関係で興味が無い場所だったが、 真香に 諭され、今の 詩奈の置かれている境遇から抜け出せる絶好の機会のように思えて来た。
遠くの未知だった北の大地へが、急に身近に感じられる思いに駆られる 詩奈。
「 真香さんは、どう思う? 私、ここに母と残るより、家族で北海道に行く方が良いと思う?」
それまでは、努めて落ち着いて話していた 詩奈だったが、つい感情任せになり丁寧に話す事を忘れていた。
「断言は出来ないですが、 詩奈さん、ここで色んな事を体験し過ぎたので、少しの間くらいはリフレッシュ感覚で、ここを離れた方が心身の為かも知れないです」
自分の一言が 詩奈の人生に大きく影響しそうで、慎重に言葉を選んだ 真香。
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