30 / 44
30.
ジャンプスーツ&ヘルメット
しおりを挟む
「研修生の諸君らにとって、これから目にする事は、非常に大切な事になるから、よくよく気を引き締めるのじゃよ! ただしだな~、え~、ここから先、見聞きする事は、全てトップシークレットだから、他言無用と心得よ!」
芹田先生の言葉に対し、颯天がこんなにも胸が躍らされるのは初めての事だった。
普段の睡魔を寄せ付けずにいられない古典の授業とは、全く別物に感じられた。
(いよいよだ! 僕も遅ればせながら、いや、それでも、雅人と同じ土俵に立つなんて事はまだまだだけど、取り敢えず、少しは地球防衛隊の人々の活動に近付く事が出来るんだ! 緊張するな~!)
劣等生という自覚の有る颯天ですら、これほどいつになく高揚しているのだから、級友達はいかほどかと思い、振り向いてみた。
千加子はもちろん他の研修生達も、颯天以上に、この時を待っていた様子が、顔の表情に認められた。
「もちろん、大和隊や大和撫子隊の先輩達は、もう既に、そちらに集合済みなんですね?」
千加子は目標に一歩近付いたという手応えと、意中の雅人に会える事を期待し、他の研修生達に比べ、一層ときめきの面持ちを隠せなかった。
「無論じゃ! 彼らは、昨日から、いつでもすぐに現場に向かえるよう、仮眠用スペースで待機していたのじゃからな」
(隊員用の仮眠用スペースも有ったんだ! 雅人は、昨日は、そこで寝泊まりしていたんだな。そして、大和撫子隊も既に駆け付けている! それなら、昨日の今日だから、まだ透子さんの姿を見られるのかな? 今だけかも知れないから、目の前で、大和撫子隊として従事している透子さんの姿をしっかりと焼き付けておきたい!)
特殊フィールドの場所へ向かう前に、研修生達は、重装備をさせられた。
宇宙服のようにはモコモコしていないが、全身を覆う若草色のジャンプスーツと、酸素が送られる特殊ヘルメットを装着する事になった。
(こんな姿をしないと、僕らは特殊フィールド内では生きてゆけないんだ! 隊員達の活躍を直に見られるのは嬉しいけど、残念なことに、皆この姿だったら、誰が誰か分からない! 透子さんがいても、見分けが付かない可能性が大きいな……)
せっかく、除隊前の大和撫子隊として活躍する透子を見られると喜んでいた颯天は、一気に意気消沈した。
それでも、ふと千加子の方を見ると、気落ちしていたものが少し和らいだ。
ジャンプスーツはわりと体形差が分かりやすい仕様で、千加子が、もう一人の女性研修生である寧子より、一回りほど体格が良いせいか、二人だけを見比べた場合は、容易に区別が出来る事に気付いた。
芹田に関しても、当然ながら研修生達と同じ色ではなく、芹田は灰色のジャンプスーツを使用していた。
「大和隊や大和撫子隊の方々も、私達と同じようなジャンプスーツとヘルメット姿で勢揃いしているという事なんですか?」
千加子も確実に雅人を探そうと、今のうちに情報収集しておきたい様子。
「わしも、君らとは、色が違うように、隊員達は、違う色のジャンプスーツを使用している。研修生と同じ姿をしていると、君達を危険にさらす事になりかねないからな、そこは明確にしておかないとならない。君らのジャンプスーツも適応出来るよう特殊シールド加工済みだが、隊員達のは更に、戦闘用として耐久性が強化された仕上がりになっている」
その返答を聴いても、千加子は不満そうだった。
自分達との違いが有るのは良いが、隊員達は揃って同じジャンプスーツを装着し、ヘルメットで人相を隠しているのなら、やはり、よほど身体に特徴のある場合を除き、区別は出来そうになかった。
(透子さんも、寧子さんと同様に小柄だから……浅谷さんのようにガタイの良い輪野田さんとの体格差で、その2人が並んだ場合はジャンプスーツ姿でも区別出来ると思うけど、他の大和撫子隊の人達は細身の女性が揃っているから、判別はなかなか難しいかも)
「芹田先生は、その同じジャンプスーツ姿だとしても、大和隊員や大和撫子隊員のどなたか認識する事が出来ますか?」
千加子は、質問を変えて、自分の知りたい核心に近付けた。
「そりゃあ、わしなら分かるわい! わしは、こう見えても、長年、現場に出入りしていた人間だからな! だが、君達には難しいかも知れないな。彼らの特性や動きを知っていないと」
(特性や動きとは……? 同じような姿をしていても、その特性と動きとやらで、芹田先生は、彼らを見分ける事が出来ているのか? だったら、そんな事を把握出来てない僕らには、区別する事なんて不可能そうだ……)
「特性ですか……例えば、対になっている存在の場合は、他の人には分からなくても、対になっている相手同士には、何か赤い糸のような特殊な物で繋がっていて、分かるようになっている事って、有りますか?」
気持ちは分からないでもないが、この期に及んで、千加子の質問内容に面食らう颯天。
(浅沼さん、こんな時なのに、そういう質問を芹田先生に向かってするなんて、どこまで妄想と自己主張が強い人なんだ!)
「ははは! 浅沼君は、しっかり者に見えて、実は、けっこう夢見がちな女性なんだね~! 残念ながら、わしは、まだこの人生において、そういう対になるような相手とは出逢ってないから、そういった感覚などは分からないのだが。まあ、仮にそんな事が有るとなると、面白いかも知れぬな~!」
千加子の発言が耳に入っていた研修生達も、芹田につられて笑い出した。
夢見がちと言われ、他の研修生達にまで笑われたのがよほど恥ずかしかったらしく、千加子は赤面して俯き、それ以上、言葉を発する事はなかった。
(さすがの浅谷さんも、芹田先生にそうまで言われて、自分より格下と思っている他の研修生達からもこれほど笑われたら、持論を引っ込めるしかないよな。でも、そう簡単に引き下がるとは思えないのが、浅谷さんなんだけど……)
芹田先生の言葉に対し、颯天がこんなにも胸が躍らされるのは初めての事だった。
普段の睡魔を寄せ付けずにいられない古典の授業とは、全く別物に感じられた。
(いよいよだ! 僕も遅ればせながら、いや、それでも、雅人と同じ土俵に立つなんて事はまだまだだけど、取り敢えず、少しは地球防衛隊の人々の活動に近付く事が出来るんだ! 緊張するな~!)
劣等生という自覚の有る颯天ですら、これほどいつになく高揚しているのだから、級友達はいかほどかと思い、振り向いてみた。
千加子はもちろん他の研修生達も、颯天以上に、この時を待っていた様子が、顔の表情に認められた。
「もちろん、大和隊や大和撫子隊の先輩達は、もう既に、そちらに集合済みなんですね?」
千加子は目標に一歩近付いたという手応えと、意中の雅人に会える事を期待し、他の研修生達に比べ、一層ときめきの面持ちを隠せなかった。
「無論じゃ! 彼らは、昨日から、いつでもすぐに現場に向かえるよう、仮眠用スペースで待機していたのじゃからな」
(隊員用の仮眠用スペースも有ったんだ! 雅人は、昨日は、そこで寝泊まりしていたんだな。そして、大和撫子隊も既に駆け付けている! それなら、昨日の今日だから、まだ透子さんの姿を見られるのかな? 今だけかも知れないから、目の前で、大和撫子隊として従事している透子さんの姿をしっかりと焼き付けておきたい!)
特殊フィールドの場所へ向かう前に、研修生達は、重装備をさせられた。
宇宙服のようにはモコモコしていないが、全身を覆う若草色のジャンプスーツと、酸素が送られる特殊ヘルメットを装着する事になった。
(こんな姿をしないと、僕らは特殊フィールド内では生きてゆけないんだ! 隊員達の活躍を直に見られるのは嬉しいけど、残念なことに、皆この姿だったら、誰が誰か分からない! 透子さんがいても、見分けが付かない可能性が大きいな……)
せっかく、除隊前の大和撫子隊として活躍する透子を見られると喜んでいた颯天は、一気に意気消沈した。
それでも、ふと千加子の方を見ると、気落ちしていたものが少し和らいだ。
ジャンプスーツはわりと体形差が分かりやすい仕様で、千加子が、もう一人の女性研修生である寧子より、一回りほど体格が良いせいか、二人だけを見比べた場合は、容易に区別が出来る事に気付いた。
芹田に関しても、当然ながら研修生達と同じ色ではなく、芹田は灰色のジャンプスーツを使用していた。
「大和隊や大和撫子隊の方々も、私達と同じようなジャンプスーツとヘルメット姿で勢揃いしているという事なんですか?」
千加子も確実に雅人を探そうと、今のうちに情報収集しておきたい様子。
「わしも、君らとは、色が違うように、隊員達は、違う色のジャンプスーツを使用している。研修生と同じ姿をしていると、君達を危険にさらす事になりかねないからな、そこは明確にしておかないとならない。君らのジャンプスーツも適応出来るよう特殊シールド加工済みだが、隊員達のは更に、戦闘用として耐久性が強化された仕上がりになっている」
その返答を聴いても、千加子は不満そうだった。
自分達との違いが有るのは良いが、隊員達は揃って同じジャンプスーツを装着し、ヘルメットで人相を隠しているのなら、やはり、よほど身体に特徴のある場合を除き、区別は出来そうになかった。
(透子さんも、寧子さんと同様に小柄だから……浅谷さんのようにガタイの良い輪野田さんとの体格差で、その2人が並んだ場合はジャンプスーツ姿でも区別出来ると思うけど、他の大和撫子隊の人達は細身の女性が揃っているから、判別はなかなか難しいかも)
「芹田先生は、その同じジャンプスーツ姿だとしても、大和隊員や大和撫子隊員のどなたか認識する事が出来ますか?」
千加子は、質問を変えて、自分の知りたい核心に近付けた。
「そりゃあ、わしなら分かるわい! わしは、こう見えても、長年、現場に出入りしていた人間だからな! だが、君達には難しいかも知れないな。彼らの特性や動きを知っていないと」
(特性や動きとは……? 同じような姿をしていても、その特性と動きとやらで、芹田先生は、彼らを見分ける事が出来ているのか? だったら、そんな事を把握出来てない僕らには、区別する事なんて不可能そうだ……)
「特性ですか……例えば、対になっている存在の場合は、他の人には分からなくても、対になっている相手同士には、何か赤い糸のような特殊な物で繋がっていて、分かるようになっている事って、有りますか?」
気持ちは分からないでもないが、この期に及んで、千加子の質問内容に面食らう颯天。
(浅沼さん、こんな時なのに、そういう質問を芹田先生に向かってするなんて、どこまで妄想と自己主張が強い人なんだ!)
「ははは! 浅沼君は、しっかり者に見えて、実は、けっこう夢見がちな女性なんだね~! 残念ながら、わしは、まだこの人生において、そういう対になるような相手とは出逢ってないから、そういった感覚などは分からないのだが。まあ、仮にそんな事が有るとなると、面白いかも知れぬな~!」
千加子の発言が耳に入っていた研修生達も、芹田につられて笑い出した。
夢見がちと言われ、他の研修生達にまで笑われたのがよほど恥ずかしかったらしく、千加子は赤面して俯き、それ以上、言葉を発する事はなかった。
(さすがの浅谷さんも、芹田先生にそうまで言われて、自分より格下と思っている他の研修生達からもこれほど笑われたら、持論を引っ込めるしかないよな。でも、そう簡単に引き下がるとは思えないのが、浅谷さんなんだけど……)
0
あなたにおすすめの小説
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない
七星点灯
青春
雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。
彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。
しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。
彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる