思いがけず、生き延びて

ゆりえる

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この広い地球上で⑴

思いがけず、生き延びて

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 どれくらいの時間が流れたのだろう?
 
 覚えているのは、地球人最後の時間を迎える時に、今までになく満ち足りた気持ちだったことくらい。

 地球上から消え去ったのは、地球人だけではなかった。

 宇宙人達は、地球上に文明が有った証拠も残さないつもりだったのか、建物も全て無くなっていた。

 荒涼とした大地。

 ただ、空気は今までになくキレイ。

 夜は、零れ落ちそうなほどの見事な星空が輝いていた。

 私も消えて無くなっていて、魂だけが残っているのかと、最初は錯覚していたけど、この状況に慣れて来ると次第に身体も残っているのを確認出来た。

 周りには、人も建物も全く見当たらない地平線が美しいこの大地で、私は1人生き残っていた。

 本当に、私だけなんだろうか......?

 それとも、私だけが、別の世界に移行したのだろうか?

 こんなにも何にも無い閑散とした寂しい光景が広がっているのに、私1人だけでも、なぜか、寂しさを感じられない。

 言葉では上手く説明できなくて、ただ不思議なんだけど、私の周りには、何か、優しくて暖かいエネルギーが包み込んでくれているような感覚で、安心出来ている。

 ここがもしも、本当に私の知っている地球だとしたら、こんなに何もかもが無くなっている世界で、私はどうして、ただ1人生かされているのだろう?

 それを求めて、私は歩き続ける。
 ひたすら、歩き続けている。

 何も飲んだり食べたりしていないのに、全く喉も乾かなければ、お腹も空いてない。
 私は、こんなに長時間食べ物を摂取しないで、飢えずにいられるような人間だっただろうか?

 私は、長い長い夢の世界を漂っているのだろうか?

 どれほど歩き続けると、私は、答えを見出せるのだろう?
 答えなど見付かる保障も無いはずのこの大地を......

 たった1つの希望を信じて......
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