星の記憶

鳳聖院 雀羅

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第3証【イブの断片】

【イブの断片編】ep.31『ノヴァ(新星)』(中)

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ローズは、ビスマルクにそう言うと
アコーディオンカーテンを横にスライドさせ ビスマルクをジャンヌのもとへと誘う 
ジャンヌの体は大きなタオルケットに包まれ その周りには 先程リリーが手にしていた白い羽が散漫していた 
ビスマルク『ジャンヌ…?』
ジャンヌ『…』
ジャンヌは体を小刻みに震わせ、ビスマルクの呼び掛けに言葉を返さずにいた 
ビスマルク『ねぇ…ジャンヌ?…どこか痛むの?』
ビスマルクがジャンヌに近づき 手を伸ばした時 

二階のメアの部屋から メアの叫び声が轟く 
メアは二階に上がり ジュラの肩を射ぬいた矢の手入れと その矢の羽を先程の奇麗な白い羽に変える作業をしていた 
机には、ジュラの血を拭った白い布が置かれていた
メアがその白い羽を矢尻へつける作業を始めたその時 
拭いきれずにいた、一滴のジュラの血液が、その白い羽へつたわり落ちる 
と同時に
メアの目の前は眩しい光に包まれ 
メアは目を閉じた
メアが目を開けたその瞬間 
メアの目の前には、体を羽毛で覆われた幼い女の子が足をくの字に横たわっていた 
メア『ちょ、ちょっと…どういうこと?』
メアは暫く 状況を飲み込めず その場に立ち尽くしていたが 
衝動に駆られたように下の階にいる、ビスマルク等のもとに走り出した

バタン! メアが入室を拒まれたその扉を勢いよく開ける 
リリー『メ、メア!』
メア『ごめん、父さん!…退いて!』
メアは珍しく厳しい顔立と殺気を纏い リリーの制止を虎ともとれる気迫で払い除ける
リリーもいつもと様子が違うメアの気迫に その場から動けずにいた
メア『お姉ちゃん!その人から離れて!』
ビスマルク『え?…』
ローズ『メ、メア…?』
メア『退いて!』
ローズ『あなた…何を言っているの?』
メアは床に散らばる沢山の白い羽を見て

メア『やっぱり…』
『聞こえないの?』
『いいからみんな!その人から離れてって言ってるの!!!』 
ローズ『命を救って頂いた方に、なんて口きいているの?』
ビスマルク『…メア…何か訳がありそうね?…感情的かつ一方的にその言葉を投げ掛けられても、私たちにはあなたのその言動に至る理由がわからない!…私たちに分かるように話して頂戴』
メア『…理由…?』
『それなら、この魔女に聞いた方が早いわ!』
ジャンヌ『…』
メア『さぁ、何か言ったらどうなの?!…』
ローズ『メア!いい加減にしなさい!』
メア『いい加減にするのはこの女の方よ!何故、何も言わないの?』
『…ならば!力ずくでも話して貰うわよ!』
メアがジャンヌの体を覆っているタオルケットに手を伸ばしそのタオルケットを剥ぎ取った
ローズ『メ、メア!…だ、駄目!』
剥ぎ取ったタオルケットの風圧に煽られ白い羽がジャンヌを中心に舞う
その白い羽が地についた頃
ビスマルクとメアは、変わり果てたジャンヌの姿を目撃する
ジャンヌの髪は白髪で後ろ髪は腰へ届き瞳の色は月のような薄い黄色
背中には白くて大きな翼がはえていた
ビスマルクとメアも実際に天使と言う者を見たことがある訳では無いが、神話や伝承、にわかな知識として 
目の前に現れたジャンヌを天使としか言い様がなかった
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