【完結】偽りの告白とオレとキミの十日間リフレイン

カムナ リオ

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3rd round after

第45話「三周目〜新たな代償〜」

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七月十五日 火曜日

――‘’死んで逃げる気っ? 卑怯者!‘’

 オレは珍しくスマホのアラームが鳴る前に目が覚めた。考えがまとまりそうだった時、アラームが鳴った。

(あの声、まさか……)

 オレはアラームが鳴り響く中、天井を見つめながら、ずっとそのことを考えていた。

***

 オレにはどうしても確かめたいことがあった。身支度を整え急いで朝食をとり、家を出た。

 もうこの時期になると、朝でも蒸し暑い。蝉の鳴き声が、更に暑さを増長させている気がした。オレは少し早足で学校へ向かった。

 朝練中のグラウンドを横切り、校内に入る。相変わらずこの時間は校内に人が殆どいない。オレは教室の扉の前に立ち止まって、深呼吸をする。意を決して、ドアを開けた。

 教室には誰も居なかった。

(そう、だよな)

 もしかしたら、あの朝のように如月がもう登校しているかもと思ったが、度々あんな偶然起こるわけがない。そもそも「二度と話し掛けるな」と釘を刺されてる。

(何やってるんだろう、オレ)

 オレは如月がやっていたことを思い出し、教室を換気する為、窓を開け出した。

 朝練をしている運動部の連中を眺めながら、たまに入って来る風を受けて、涼みながら物憂げに、オレは夏の始まりを感じていた。

 ただオレが、このような穏やかな時間を感じられるのは、この時までだった。

***

 オレは朝担任が出欠をとる時に、また戦慄することとなった。出席番号二番の「五十嵐陸いがらしりく」の名前が呼ばれない。

 教室内に居ないのは、休みかと思っていたのだ。朝礼が終わり、慌てて将暉に確認する。将暉は「誰だそれ?」と、呆れるように笑っていた。
 
(うそ、だろ……)

 教室内を見渡せば、また席数が減っている。昨日までの陸の席の場所に、別の奴が座っていた。

(これじゃあ、如月の時と同じじゃないか)

 そう唖然としていた時、昨日まで陸が座っていた席を、凝視している奴がいるのに気がついた。

 如月だ――

 こいつ、まさか陸のこと覚えてるんじゃと、如月に確認しようと思ったが、一限目の数学担当教師が入って来てしまい、すぐに確認できなかった。

 二限目は運良く移動教室で、オレはすがる思いで如月に詰め寄った。ただ、如月の返答は思い掛けないものだった。

「もう、話し掛けるなって言ったと思うけど?」

 あっ、そうだった。焦っていてすっかり失念していた。でも。

「わ、悪い。でも、どうしても聞きたいことがあって。お前は、陸……五十嵐陸のこと覚えてるのか」
「五十嵐? 誰それ。うちのクラスにはいないよね?」
「えっ」
「もう、いい?」

 そう短く返答すると、如月は足速に移動教室に向かって行ってしまった。

(そんな……)

 覚えてない。やっぱりオレしか覚えてない。これじゃ如月が消えた時と全く同じだ。きっとクラスメイトや担任に確認しても、今の如月と同じ反応だろう。

 オレは、スマホのメッセージアプリを確認する。『五十嵐陸』の名前がどこにも見当たらない。陸とのやり取りの跡もない。当然電話帳にも登録されていなかった。

(どうして、こんなこと)

 オレはその時、あの黒猫の言葉を思い出した。

『あ、言っておくけど、二回目の代償は一度目より大きくなるから、覚悟してよね?』

 もし、“代償”に陸を持って行かれたとしたら、オレのせいだ。

 一気に血の気が引いていき、オレはその場に倒れ込みそうになった。呼吸がうまくできない。

 もし、オレのせいだったら――

 代償は「オレ」の一部なんじゃないのかよっ。どうして、陸が持って行かれるんだ!

 オレは体調が悪くなったと担任に伝えて、急いで学校を飛び出した。

***

 思い当たるのは、あの隣町の神社の黒猫だ。それしかない。オレは逸る気持ちで神社に向かった。如月が消失した時同様、あの鳥居へ続く階段や、古びたお堂は見つからない。黒猫に何度呼びかけても何の反応もない。

(どうしたらっ)

 黒猫は「これが最後の最後」と言っていた。もしかしたら、もう二度とあの場所は現れないのかもしれない。そんな不安が頭を過ったが、オレは諦めるわけには行かないと、何時間も神社の周りを探索したが、どうしてもあの鳥居を見つけることができなかった。

 あまりの暑さの中、オレは熱中症になりかかって倒れてしまい、本堂の神主にたまたま見つけてもらって、しばらく休ませてもらった。救急車を呼ぼうとする神主を何とか制して、その日は帰宅せざるおえなくなった。

(どうして、どうして見つからないんだ)

 気持ちは焦るものの、体がついて来ない。オレは動かない体をベッドに預けて、せめて頭だけはと、陸をどうやったら取り戻せるのか、それだけを考えていた。

つづく
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