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3rd round after
第47話「三周目〜対時〜」
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ノックなどしない。オレは乱暴に図書準備室のドアを開けた。中では一人呑気に本を読みながら、昼食をとっている如月がいた。
突然部屋に入って来たオレの姿に、如月は目を丸くしていた。構わず如月に詰め寄る。
「お前、五十嵐陸と菊池将暉のこと、知ってるなっ」
「何なの、いきなり入って来て、部外者立ち入り禁止なんだけどっ」
「二人のこと、知ってるんだろっ!」
喧嘩腰のオレに、如月は立ち上がった。
「知らないって言ってるでしょっ!」
如月も負けじとオレに言い返す。鬼気迫る勢いだ。如月のことを知らなかった頃の自分なら、ここで引き下がったかもしれない。だがこいつの「演技力」はよく知っている。
「嘘だ、だったら何で、さっき将暉の席の方をじっと見てたっ。昨日だって、陸の席を見てただろ!」
「しつこいわね、知らないって言ってるでしょ!」
「お前、何か知ってるんだろ。二人が何で消えたか、知ってるんだろっ!」
女子に対して、こんなにムキになって怒鳴ったことなどない。オレはそれだけ追い詰められていた。それにこんな風に詰め寄られたら、普通の女子なら泣き出したかもしれない。なのに如月は一歩も引かない。そのことが、無性にオレを苛立たせた。
「……お前が、何か関係してるのか。まさか、お前が二人を消したのか。オレたちのこと、絶対許さないって言ってたもんな?」
すると如月は、驚いたようにオレを見つめてきた。言ってしまった後に言い過ぎだったとオレは思ったが、もう後には引けない。二人の存在が掛かってる。しばらくの後、如月はオレを冷めた目で見つめてきた。
「知らないわよ、二人が消えた理由なんてっ」
如月は次には、あざけるように吐き捨てた。
「ただ、あんな奴ら消えて良かったんじゃない? せいせいしたわっ」
その如月の態度に、オレの何かがブチッとキレた。体が勝手に動く。腕が如月の襟元を掴もうとする。
その瞬間――
如月は、自分に伸びてきたオレの手首を片手で掴み、もう片方の手でオレの肩を瞬時に掴んだ。そのまま下からオレの体を突き崩し、準備室のテーブルの上に押さえつけた。
「ぐわっ!」
肩を決められ、その反動で呻き声がオレの口から飛び出た。
「……痴漢撃退法、マジ、役に立った。八神、人を見た目で判断すると、痛い目に合うわよっ」
(な、何なんだ、こいつ!)
オレはどうして自分が机に押さえ込まれて、関節技を喰らっているのか、わけが分からなかった。
「女に平気で手を上げる根性、あんたたちみたいな奴ら、絶対ろくな大人にならない。消えた方が世の為よっ」
如月はそう叫ぶと、全体重を掛けてオレを締め上げてきた。
「痛たたたたっ、ちょっ、ちょっと待て!」
「挙句、人のせいにするなんて、あんたのせいじゃないのっ!」
そう言われて、ハッとした。オレのせい。そうだこれは完全に如月への八つ当たりだった。ただオレは何で「それ」を如月が知っているのか、締め上げられる中で疑問に思った。
如月は反動をつけ、トドメを刺すかのようにグッと力を込めて、テーブルにオレを更に押さえつけた。一層関節が締まり、オレは思わず「ぐわっ」と悲鳴を上げてしまった。
如月はオレから離れると、素早く自分の弁当箱を回収し、準備室のドアに手を伸ばした。
「次、おんなじことしたら、世間的に抹殺してやる」
そう捨て台詞を吐き、準備室を出て行った。
怖すぎる。女子にこんな恐怖を感じたのは、生まれて初めてだ。
元々告白ドッキリの件で、怖い奴だとは分かっていた。だがさっきの護身術は何なんだ、心身共に怖すぎる。今更ながらとんでもない女と関わってしまったと、オレは心の底から後悔した。
つづく
突然部屋に入って来たオレの姿に、如月は目を丸くしていた。構わず如月に詰め寄る。
「お前、五十嵐陸と菊池将暉のこと、知ってるなっ」
「何なの、いきなり入って来て、部外者立ち入り禁止なんだけどっ」
「二人のこと、知ってるんだろっ!」
喧嘩腰のオレに、如月は立ち上がった。
「知らないって言ってるでしょっ!」
如月も負けじとオレに言い返す。鬼気迫る勢いだ。如月のことを知らなかった頃の自分なら、ここで引き下がったかもしれない。だがこいつの「演技力」はよく知っている。
「嘘だ、だったら何で、さっき将暉の席の方をじっと見てたっ。昨日だって、陸の席を見てただろ!」
「しつこいわね、知らないって言ってるでしょ!」
「お前、何か知ってるんだろ。二人が何で消えたか、知ってるんだろっ!」
女子に対して、こんなにムキになって怒鳴ったことなどない。オレはそれだけ追い詰められていた。それにこんな風に詰め寄られたら、普通の女子なら泣き出したかもしれない。なのに如月は一歩も引かない。そのことが、無性にオレを苛立たせた。
「……お前が、何か関係してるのか。まさか、お前が二人を消したのか。オレたちのこと、絶対許さないって言ってたもんな?」
すると如月は、驚いたようにオレを見つめてきた。言ってしまった後に言い過ぎだったとオレは思ったが、もう後には引けない。二人の存在が掛かってる。しばらくの後、如月はオレを冷めた目で見つめてきた。
「知らないわよ、二人が消えた理由なんてっ」
如月は次には、あざけるように吐き捨てた。
「ただ、あんな奴ら消えて良かったんじゃない? せいせいしたわっ」
その如月の態度に、オレの何かがブチッとキレた。体が勝手に動く。腕が如月の襟元を掴もうとする。
その瞬間――
如月は、自分に伸びてきたオレの手首を片手で掴み、もう片方の手でオレの肩を瞬時に掴んだ。そのまま下からオレの体を突き崩し、準備室のテーブルの上に押さえつけた。
「ぐわっ!」
肩を決められ、その反動で呻き声がオレの口から飛び出た。
「……痴漢撃退法、マジ、役に立った。八神、人を見た目で判断すると、痛い目に合うわよっ」
(な、何なんだ、こいつ!)
オレはどうして自分が机に押さえ込まれて、関節技を喰らっているのか、わけが分からなかった。
「女に平気で手を上げる根性、あんたたちみたいな奴ら、絶対ろくな大人にならない。消えた方が世の為よっ」
如月はそう叫ぶと、全体重を掛けてオレを締め上げてきた。
「痛たたたたっ、ちょっ、ちょっと待て!」
「挙句、人のせいにするなんて、あんたのせいじゃないのっ!」
そう言われて、ハッとした。オレのせい。そうだこれは完全に如月への八つ当たりだった。ただオレは何で「それ」を如月が知っているのか、締め上げられる中で疑問に思った。
如月は反動をつけ、トドメを刺すかのようにグッと力を込めて、テーブルにオレを更に押さえつけた。一層関節が締まり、オレは思わず「ぐわっ」と悲鳴を上げてしまった。
如月はオレから離れると、素早く自分の弁当箱を回収し、準備室のドアに手を伸ばした。
「次、おんなじことしたら、世間的に抹殺してやる」
そう捨て台詞を吐き、準備室を出て行った。
怖すぎる。女子にこんな恐怖を感じたのは、生まれて初めてだ。
元々告白ドッキリの件で、怖い奴だとは分かっていた。だがさっきの護身術は何なんだ、心身共に怖すぎる。今更ながらとんでもない女と関わってしまったと、オレは心の底から後悔した。
つづく
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