1 / 23
第一章
第1話「深夜0時の悲劇」
しおりを挟む
仁科 華は、0時ちょうどから配信されるゲームをダウンロードする為、自室のベッドに寝転んで、携帯ゲーム機を握りしめ待機していた。
待ちに待った新作のゲーム発売日。
当然パッケージ版も購入してはいたが、家に届くのは明日の朝以降だ。明日は普通に学校もある為、届いてもすぐにはプレイ出来ない。
寝る前に少しでもプレイしたくて、ダウンロード版も購入していたのだ。
――0時になり日付けが変わった。
華はすかさず、ゲームのアイコンを選択し、ダウンロードが開始されるはずだったが……
同時刻、もの凄い爆音と共に地響きが部屋中に伝わり、部屋が真っ暗になった。
(……え?)
華は、暫く何が起きたのか分からなかったが数秒後、雷が落ちた為、家が停電したのだと理解した。
今日は夜から外で雷の音が凄かったが、まさかそのせいで停電するとは、しかもこのタイミングでと華に絶望感が押し寄せた。
華がベッドの上で悶々としていると、数分後パァッと部屋の明かりが付いた。
ホッとしてゲームのダウンロードを再開させようとしたが、ゲーム機とwifiが接続出来ない。
慌てて、スマホのwifiを確認したがこちらも死んでいた。
華は嫌な予感がし、wifiルーターを確認したが起動しなくなっていた。どうやら先程落ちた雷のせいで、ルーター周りが壊れたらしい。
流石にこれは自分には直せないと、途方に暮れた。華は自分の運のなさと無力さに、ただただ絶望するしかなかった。
――人というのは絶望の底に落ちた時、冷静な判断が出来なくなる。
思えば、あの雷が落ちた時から、華の不幸ははじまっていたのかもしれない。
***
(……はあ。ネット繋がらないんじゃ、どうしようもないよね。明日パッケージ版も届くし、今日はもう寝よう……)
華はダウンロードを諦め、おずおずと布団を被った。
(……)
(…………)
(………………)
全く眠気が来なかった。
それでも、暫くは眠ろうと努力はしていたのだ。しかし――
「寝られるかー‼︎」
華は被っていた布団を蹴り上げた。
やはり、こんな心理状態で眠るのは無理だったのだ。
ゲーム発売が楽しみすぎて、前日ほぼ寝てないのも良くなっかった。とにかくまともな思考回路が欠落しかけていた。
(家のネットがダメなら、どこか外のネット回線で……)
すぐに浮かんだのは、二駅先にあるファミレスのwifiだった。ファミレスならダウンロードが終わるまでの時間、滞在していても怪しまれない。
華は外の様子を確認しようと、窓を開けた。
蛇の様な白い稲光が、空を走っていた。おまけに雨も降って来ている。
もう深夜だ。田舎の終電は早いのだ。ファミレスに行くなら、自転車で行くしかない。この雷と雨の中を……。最悪自転車に雷が落ちるだろう。
(無理ゲーすぎる……)
何で神様は自分にこんな過酷な試練を与えるのかと、華は打ちのめされた。
その時、闇に鎮む住宅街の片隅に、煌々と光が漏れる窓を見つけた。
こんな深夜、大体のお宅は寝静まっているので、窓から光が漏れる事などほぼないのだ。
その窓の家には見覚えがあった。
昔仲が良かった、幼馴染の家だった。
この時、華に悪魔的発想が降りて来た。
つづく
待ちに待った新作のゲーム発売日。
当然パッケージ版も購入してはいたが、家に届くのは明日の朝以降だ。明日は普通に学校もある為、届いてもすぐにはプレイ出来ない。
寝る前に少しでもプレイしたくて、ダウンロード版も購入していたのだ。
――0時になり日付けが変わった。
華はすかさず、ゲームのアイコンを選択し、ダウンロードが開始されるはずだったが……
同時刻、もの凄い爆音と共に地響きが部屋中に伝わり、部屋が真っ暗になった。
(……え?)
華は、暫く何が起きたのか分からなかったが数秒後、雷が落ちた為、家が停電したのだと理解した。
今日は夜から外で雷の音が凄かったが、まさかそのせいで停電するとは、しかもこのタイミングでと華に絶望感が押し寄せた。
華がベッドの上で悶々としていると、数分後パァッと部屋の明かりが付いた。
ホッとしてゲームのダウンロードを再開させようとしたが、ゲーム機とwifiが接続出来ない。
慌てて、スマホのwifiを確認したがこちらも死んでいた。
華は嫌な予感がし、wifiルーターを確認したが起動しなくなっていた。どうやら先程落ちた雷のせいで、ルーター周りが壊れたらしい。
流石にこれは自分には直せないと、途方に暮れた。華は自分の運のなさと無力さに、ただただ絶望するしかなかった。
――人というのは絶望の底に落ちた時、冷静な判断が出来なくなる。
思えば、あの雷が落ちた時から、華の不幸ははじまっていたのかもしれない。
***
(……はあ。ネット繋がらないんじゃ、どうしようもないよね。明日パッケージ版も届くし、今日はもう寝よう……)
華はダウンロードを諦め、おずおずと布団を被った。
(……)
(…………)
(………………)
全く眠気が来なかった。
それでも、暫くは眠ろうと努力はしていたのだ。しかし――
「寝られるかー‼︎」
華は被っていた布団を蹴り上げた。
やはり、こんな心理状態で眠るのは無理だったのだ。
ゲーム発売が楽しみすぎて、前日ほぼ寝てないのも良くなっかった。とにかくまともな思考回路が欠落しかけていた。
(家のネットがダメなら、どこか外のネット回線で……)
すぐに浮かんだのは、二駅先にあるファミレスのwifiだった。ファミレスならダウンロードが終わるまでの時間、滞在していても怪しまれない。
華は外の様子を確認しようと、窓を開けた。
蛇の様な白い稲光が、空を走っていた。おまけに雨も降って来ている。
もう深夜だ。田舎の終電は早いのだ。ファミレスに行くなら、自転車で行くしかない。この雷と雨の中を……。最悪自転車に雷が落ちるだろう。
(無理ゲーすぎる……)
何で神様は自分にこんな過酷な試練を与えるのかと、華は打ちのめされた。
その時、闇に鎮む住宅街の片隅に、煌々と光が漏れる窓を見つけた。
こんな深夜、大体のお宅は寝静まっているので、窓から光が漏れる事などほぼないのだ。
その窓の家には見覚えがあった。
昔仲が良かった、幼馴染の家だった。
この時、華に悪魔的発想が降りて来た。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
雪の日に
藤谷 郁
恋愛
私には許嫁がいる。
親同士の約束で、生まれる前から決まっていた結婚相手。
大学卒業を控えた冬。
私は彼に会うため、雪の金沢へと旅立つ――
※作品の初出は2014年(平成26年)。鉄道・駅などの描写は当時のものです。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる