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第一章 変貌
第三十二話
しおりを挟むいきなり要点を求められた周防は言葉に詰まる。
もっとも西園寺に訊きたかったことと、彼が問う質問は互いに合致しているのだ。この際すべてを吐きだし白黒つけてしまうのが、精神衛生上からしても好ましいだろう。
アルコールの力を借りようとジョッキを空にした周防。ひと息ついて西園寺に思いを打ち明ける。
「あの、さ。藤隆……俺になんか隠し事とかしてない?」
「隠し事とは、たとえばどんな」
「質問してるのは俺だろ。いいから言えよ、俺に隠れて露天風呂でよろしくしていただろ。あの女誰だよ」
依然として態度を変えない西園寺。穏便に済ませて終わろうと思っていたものの、飄々とした彼の涼しげな表情とブレないトーンに苛つき声を荒げてしまう。
睨む周防に西園寺が告白する。
「そうか。まあ概ね予測していたがな。櫂が俺を避けるようになったのは旅行の後だ、だがまさか見られていたとはな。できれば櫂に知られたくはなかったが……」
今日の席を設けたのはお節介な店長の独断。西園寺は周防がバイトに入るまえから店の常連客で、彼と店長とは懇意の間柄でもある。
周防にひと目惚れをした西園寺と仲を取り持ったのも店長で、ふたりを引き合せた手前今回のことは彼なりに罪悪感に苛まれていたという。
そこで話し合い決着をつけろと、周防を帰したあとすぐに店長は西園寺に連絡を取った。もっとも店長は男の性でもある浮気心が疼いたくらいに思っているだろうが、事はそう単純なものではないらしい。
これから西園寺が告白しようとするのはもっと深く陰湿な秘密が隠れており、周防にとって思いもよらない衝撃的な事実と裏切りだった。
「──俺は既婚者だ」
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