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第一章 変貌
第六十四話
しおりを挟むたった今まで女など抱いたことはなかったが、結果として周防は水緒と一線を越えることに成功した。とはいえ彼女の裸体に興奮を覚えることはなかったが、それでも使い物にならないといったことはなかった。
挿入時の中折れを危惧したが、滞りなく最後まで事を終えられ安堵した。
西園寺のように女も男も愛せるバイではないはずだが、もしかするとバイよりのゲイなのかもしれないと暢気に自身を鑑みる。
寝室を占めるベッドはキングサイズで、ここで西園寺は妻を抱いているのかと思えば吐き気よりもむしろ背徳感が勝り、えも言われぬ感情が女との行為を維持できたのかもしれない。
これまで周防は抱く側になったことはなく、従って今日まで童貞だったのだ。けれど受け身としては幾度と実践を交えており、セックスのノウハウは身体が覚えている。
数えていたわけではないが、それでも二度は水緒が達するのを局部で感じた。泣き疲れと精神的なそれが抱かれることにより極限に達し、深く沈むように彼女は眠りについた。
腕で眠る水緒の静かな寝息を確かめると、ベッドチェストのうえで待機させてあったスマホを取り自撮りモードで撮影。自身と水緒が鮮明に写っていることを確認して証拠を手に入れた。
然るべきときがくれば西園寺に見せてショックを与えてやれる。屑な男の絶望した表情を想像して、周防は嘲笑するのだった。
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