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第二章 耽溺
第九話
しおりを挟む「時任さん。実は僕あなたのことを以前より存じてました」
俺を知っていた──彼がそう言った瞬間「へっ」と間抜けな声が漏れ、ストローから息がつたいコーヒーがぶくりと泡立つ。いやいや、これって……。
「あ──……それって、もしかしてきみのお姉さん経由?」
頭をかすめたことをそのまま話す。彼は俺が浮気野郎ってことを姉から聞いていて、それで知っていると言ってきたのかと思い先制して訊いてみた。
だが彼の表情は不快を感じられず、むしろにっこりと嬉しそうで───
「まあそんなところでしょうか。……姉の秘密を知りたいですか?」
「秘密?」
なにを唐突にと思いながらも先を促してみる。
「はい。今あなたは姉に嫌がらせを受けていますよね。でもそれは時任さんが嫌いでしていることではないとしたら、あなたはどうしますか」
「いや、言っている意味が分かんねっつか……どういう意味」
「姉は──香奈は時任さんのことが好きなんですよ」
「はい?……はいっ!?」
思ってもみねえ変化球を喰らい目玉どこ状態だ。
まさかあの性悪魔女が俺を好き!? どこをどう取りゃそんな発想が生まれんだ。俺のことなどゴミ虫かボウフラぐれえに思ってるような女が俺を? 百歩譲っても好意などみえねえが。
全力で悩みだした俺を観察するように彼がじっと見つめてくる。そして「姉に手を出さないと約束してくれたらお話します」という。
いや、勘弁して下さい。そんな怖ろしいこと考えただけで心臓とまりますから。地球上に女が魔女ひとりになったとしても、俺はあいつだけは手を出さないと約束する──と心の中でつぶやく。
目が語っていたのだろう彼は俺の心の叫びを読み「約束ですよ」とうなずき話しだす。
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