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第三章 指切
第二十九話
しおりを挟む「先週さ、保護者参観があったんだ。それで妻と一緒に参加したんだが、後で妻が他の保護者に聞かれたそうなんだ。俺の仕事は何だ、今日は休みなのかってこと細かに詮索させたようで──」
接客中の王者のような自信は微塵とない、憔悴しきった高峻の疲れた表情が事態の重さを語っている。彼の説明はこうだ。
平日に父親が子供の参観日に訪れるなど珍しい。ふつうは家庭より仕事が第一で、子供の願いなど二の次なのだ男だと。それなのに夫婦そろって顔を見せるなど、と心配になったそうだ。
それには妻もひとつずつ論破していったという。夫は比較的時間に融通の利く職業なので、今日はたまたま都合がついたので夫婦そろって参加したと。
家庭を顧みないという意見には、既婚者の多くは妻や子を大切にする男性もいる。世の男性がみな家庭に不協力ではない、優しい夫はいくらでもいる、うちの夫のようにと諭した。
だいたい他人が無責任にもよその家庭構成を根掘り葉掘り訊き、あまつさえ首をつっ込んだ挙句いらぬ心配される謂れもないと高峻の話に遥希は呆れてしまう。
まあ暇をもて余した詮索好きな奥様のお節介が、妻の怒りに触れ結果として矛先が高峻に向いたのではないか。今は業腹で取りつく島もないだろうが、冷静になればまた仲良し夫婦に戻るだろうと遥希は軽く考えた。
だがこの後につづく常軌を逸した高峻の話しに、自分の考えが浅はかだったと遥希は戦慄することになる。
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