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九話
しおりを挟むジュリオの質問に淡々と答える男。けれどその言葉はジュリオを叩きのめすには充分だった。母親が仕立ててくれた服を貶されたばかりか、あろうことか男は処分したと言ったのだ。
わななくジュリオ。双眸に涙を溜めると、男にすがり尚も願う。
「どうか……王様、僕の服を返してください。捨てた場所を教えてもらえたら自分で取りに行きます。お願いです、どこにあるか教えてくだ──」
「うるさいっ!」
「ああっ」
腰にすがりこうべを垂れるジュリオを手で払いのけると、冷淡な態度で声を荒げた。はずみでベッドに倒れるジュリオ。その様子を睨みつけるように見下ろす男。
褥に頽れ嗚咽を漏らすジュリオの腕を掴むと、ぐいとひき上げ男が耳もとでささやく。
「俺に逆らうな、下等な人間が。服を探してどうする、逃げる気なのだろう。服などやらん。裸で過ごせばいい」
最後に「どうせおまえはこの部屋からは出られん」と言い残し、男はジュリオをベッドに放り投げて部屋から消えた。
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