魔王の溺愛

あおい 千隼

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十三話

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「それでいい」

 羞恥のあまり薔薇色に染まるジュリオの柔肌を目にするなり満足気にうなずく不遜な男。つづいて彼は「もうよい。下がれ」と使用人を追い払うと、怯えるジュリオの許に近づき腰を取る。

「細いな。もっと食って肉をつけろ。肉づきのいいほうが俺の好みだ、おまえは理想の身体となって俺を満足させろ」

「……はい?」

「まあいい。今日はおまえに贈り物を持ってきた」

 訳の分からないことを言われ混乱するジュリオをよそに、次々と話を進めていく傲慢な男。ふところに手を忍ばせると、取りだしたのはルビーの首飾りだった。これをジュリオに贈ろうというのか。

 生まれてこのかた宝石など見たこともないが、それでも彼が手にする首飾りが高価なものであるくらいジュリオにも分かる。気持ちは嬉しいが貰うわけにはいかない。それよりも下着の一枚でも貰ったほうが有り難いと心に思う。

 首に下げられ宝石の重みにめまいを覚えるものの、それには触れないよう丁重に断る。

「あの……王様、僕こんな高価なもの頂けません。お気持ちだけ受け取って──」

「気にするな。服の代わりだ、おまえは黙って受け取ればいい」
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