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第十二話 情報伝達
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料理が半分なくなる頃にはあんずの様子はすっかり元通りになった。
「おにいちゃん、おかわり頂戴っ」
「もう四杯目だぞ?」
「いいもんっ! 太らないし」
自信満々に胸を張るあんずの横で、冬美は自分のお腹をぷにぷにと触っていた。そういえばこの前、ケーキ食べすぎて少し体重増えたと嘆いていたっけ。
綾人は、自分でやればいいのにこうゆうときばっかりと文句を言いながらあんずの茶碗だけ持ってご飯を分けに行った。もうこれで残っているのはラストだ。若いっていいなと年の差三つしか変わらないのにもう年老いた気分になる綾人である。
「綾人くん」
「どした?」
「なんかあっちの方で物音聞こえたんだけど」
「行ってみる。 んじゃ、これよろしく」
「は~い」
冬美に茶碗を渡して、綾人は自分の部屋に向かう。音の出どころは曖昧なはずなのに迷いなく歩く様子から、よくあることだとうかがえる。
綾人が部屋のドアを開けると、机の上にヨットの折り紙がおいてあった。さっそく折り紙を開いてみる。そこには暗号が書いてあった。間違いなくこれは、組織からの伝達だ。内容は、
『ホンジツニジニコスモポリタントトモニゲートヘ』
と書いてある。連日夜中呼び出しとか、ブラックすぎるだろとため息を付きながら、綾人は折り紙を口に含む。この紙は、唾液で溶けるようにできていて体に害はない。
「おにいちゃ~ん?」
下の階であんずが呼んでいる声が聞こえた。綾人は足早に階段を降りて、わりぃと、片手を上げながら席に着く。
「なにしてたの?」
「部屋のものが落ちちゃったみたいで、もとに戻してた」
「ごめんね。 どうしても気になっちゃって」
冬美の話し方が変わった。声に出してる単語と口の動きが若干ずれている。これは組織で訓練された会話術の一つだ。普通の人はこのときに発生するずれにはほとんど気づかない。
綾人も冬美と同じように会話を続ける。
「気にしないで」
「何が落ちてたの?」
「写真立てが落ちてた」
「そうなんだ。 傷つかなかった?」
「大丈夫」
綾人は最後に、どっちの問いにも同じ返しをした。冬美はコクリと頷く。あんずは食べることに夢中で、話を聞いていた様子はない。
食事が終わると、料理を途中で放棄したあんずと善意で綾人が皿を洗う。その間冬美は、先にお風呂に入ってもらった。
「さっき冬美さんとなに話してたの?」
「物音についてだよ。 原因は俺の部屋のものが落ちただけだけど」
「おにぃの部屋、物少ないじゃん。 なんでわざわざ落ちやすいところにおいたの?」
「うっかりだよ」
「そっ」
あんずは、頭を捻り綾人の言葉に疑問をいだいているようだ。それはそのはず。あんずの部屋はそれなりに物が多いから物が少ない綾人の部屋を考えると、納得がいかないのだろう。普通の人ならそんなことでいちいち疑問に思ったりしないけど。
「あんずはもうちょっと整理整頓したほうがいいぞ」
「うるさいっ」
あんずは、綾人のお腹をぽかぽか殴る。ほんとは頭をたたきたいのだろうけど身長差がありすぎるためそれは叶わない。綾人はしばらく叩かれていたが、あんずのおでこを軽く押して腕の射程範囲外に押し出した。
ムスッと頬を膨らますあんずにはおやつが最適。冷蔵庫からプリンを取り出し、スプーンと一緒に差し出すと効果抜群。瞬時に機嫌が良くなり、スキップしながらソファーに向かっていった。
…………すごく単純
「おにいちゃん、おかわり頂戴っ」
「もう四杯目だぞ?」
「いいもんっ! 太らないし」
自信満々に胸を張るあんずの横で、冬美は自分のお腹をぷにぷにと触っていた。そういえばこの前、ケーキ食べすぎて少し体重増えたと嘆いていたっけ。
綾人は、自分でやればいいのにこうゆうときばっかりと文句を言いながらあんずの茶碗だけ持ってご飯を分けに行った。もうこれで残っているのはラストだ。若いっていいなと年の差三つしか変わらないのにもう年老いた気分になる綾人である。
「綾人くん」
「どした?」
「なんかあっちの方で物音聞こえたんだけど」
「行ってみる。 んじゃ、これよろしく」
「は~い」
冬美に茶碗を渡して、綾人は自分の部屋に向かう。音の出どころは曖昧なはずなのに迷いなく歩く様子から、よくあることだとうかがえる。
綾人が部屋のドアを開けると、机の上にヨットの折り紙がおいてあった。さっそく折り紙を開いてみる。そこには暗号が書いてあった。間違いなくこれは、組織からの伝達だ。内容は、
『ホンジツニジニコスモポリタントトモニゲートヘ』
と書いてある。連日夜中呼び出しとか、ブラックすぎるだろとため息を付きながら、綾人は折り紙を口に含む。この紙は、唾液で溶けるようにできていて体に害はない。
「おにいちゃ~ん?」
下の階であんずが呼んでいる声が聞こえた。綾人は足早に階段を降りて、わりぃと、片手を上げながら席に着く。
「なにしてたの?」
「部屋のものが落ちちゃったみたいで、もとに戻してた」
「ごめんね。 どうしても気になっちゃって」
冬美の話し方が変わった。声に出してる単語と口の動きが若干ずれている。これは組織で訓練された会話術の一つだ。普通の人はこのときに発生するずれにはほとんど気づかない。
綾人も冬美と同じように会話を続ける。
「気にしないで」
「何が落ちてたの?」
「写真立てが落ちてた」
「そうなんだ。 傷つかなかった?」
「大丈夫」
綾人は最後に、どっちの問いにも同じ返しをした。冬美はコクリと頷く。あんずは食べることに夢中で、話を聞いていた様子はない。
食事が終わると、料理を途中で放棄したあんずと善意で綾人が皿を洗う。その間冬美は、先にお風呂に入ってもらった。
「さっき冬美さんとなに話してたの?」
「物音についてだよ。 原因は俺の部屋のものが落ちただけだけど」
「おにぃの部屋、物少ないじゃん。 なんでわざわざ落ちやすいところにおいたの?」
「うっかりだよ」
「そっ」
あんずは、頭を捻り綾人の言葉に疑問をいだいているようだ。それはそのはず。あんずの部屋はそれなりに物が多いから物が少ない綾人の部屋を考えると、納得がいかないのだろう。普通の人ならそんなことでいちいち疑問に思ったりしないけど。
「あんずはもうちょっと整理整頓したほうがいいぞ」
「うるさいっ」
あんずは、綾人のお腹をぽかぽか殴る。ほんとは頭をたたきたいのだろうけど身長差がありすぎるためそれは叶わない。綾人はしばらく叩かれていたが、あんずのおでこを軽く押して腕の射程範囲外に押し出した。
ムスッと頬を膨らますあんずにはおやつが最適。冷蔵庫からプリンを取り出し、スプーンと一緒に差し出すと効果抜群。瞬時に機嫌が良くなり、スキップしながらソファーに向かっていった。
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