【完結】正統王家の管財人 ~王家の宝、管理します~

九條葉月

文字の大きさ
20 / 74

聖剣(美少女)

しおりを挟む
 子供たちがシチューを食べ終わったので、これからどうするかの確認だ。幸いにして自動翻訳ヴァーセットが使えるので少し難しい質問や相談もすることができる。

 先ほどは片言でのやり取りだったので、改めて質問しなおす。

「お家がどこにあるか分かる?」

「……わかんない」

「う~ん、それもそうよねぇ……」

 旅行に来たのならともかく、誘拐されたのだ。ここがどこなのかすら分からないだろうし、子供なら尚更でしょう。

「たぶん獣人の自治区出身だと思うから、王都まで行ってお家を探してもらおうと思うんだけど……。一緒に王都まで来てくれる?」

「わかりました!」

「……はい」


 男の子は元気いっぱいに、女の子は渋々といった様子で同意してくれた。

 あまりのんびりしていては日が暮れてしまうので、宿泊場所となる街を目指しましょうか。

「……その前に、お姉様。やはりその聖剣は目立ちすぎるかと」

 少し言いづらそうにするミアだった。

「あー、やっぱり喪服に剣は似合わないわよね? 街では悪目立ちしちゃうかしら?」

「いえ、お姉様は何を着ていても似合いますし、剣を履いている姿も勇ましいのですが……お姉様の魅力を100とするなら、喪服姿で30加点、剣を履くことによって20加点。合計で150お姉様ぢからとなってしまいます。並みの人間であればそれだけで鼻血を出して倒れてしまうことでしょう」

 分からない。ミアが何を言っているのか分からない。
 ただまぁ『剣を履いた喪服女は悪目立ちするよ』というのは伝わってきたので、私唖改めて聖剣アズに問いかけた。

「ねぇ? やっぱり空間収納ストレージに入れちゃダメ?」

≪断固拒否します≫

「でも、あなたって結構有名みたいなのよ。それにやっぱり喪服で帯剣というのも悪目立ちするし……」

≪……では、何とかしますので、私に魔力を注いでください。多めに≫

「? 魔力を注げばいいの?」

 よく分からなかったけど、言われたとおり多めに魔力を注いでみる。総魔力の半分くらいでいいかしらね?

 と、なぜかミアが呆れたような目で見てくる。

「……よく話も聞かないうちに流されて……。そういうところが元王太子あのバカを増長させたのでは?」

 なんで妹分からお説教されているのかしら私?

 年下からの扱いに私が首をかしげていると――視界が『ぐらん』とぶれた。

 あ、これヤバい。
 魔力の使いすぎで魔力欠乏症になったときと似た感じ……というか、まさしくそれだ。総魔力の半分くらいをアズに注ぎ込もうとしたのに、一気に持って行かれた・・・・・・・感覚があったし。

 貧血ならぬ、貧魔力。痛む頭を押さえつけ、深呼吸をし、文句の一つでも言ってやろうと私が顔を上げると。聖剣アズベインが光を発し、目を開けていられないほどの眩しさが辺りを包み込んだ。

 それとほぼ同時、私の腰から重さが消える。まるで聖剣が消え失せたように。

 しばらくして、閃光が収まってくる。

 やはり私の腰から聖剣が消え失せていて――


 ――メイド服を着た美少女が、目の前に立っていた。








※第17回ファンタジー小説大賞応募中です! 投票していただけると嬉しいです! 
 ブックマーク、ご感想などお待ちしております

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

処理中です...