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魔導具
しおりを挟む「よろしいですかお姉様。鑑定眼はそれ自体がとても希少なスキル。お姉様のスキルランクは分かりませんが、見ただけで名前や性能までもが表示されるのですからかなりの高ランクでしょう。……そんな貴重な人材が、なぜ二回も追放されているのですか?」
なぜ私は責められて(?)いるのですか?
私が首をかしげていると、とうとうミアは頭を抱えてしまった。
「未来の王妃候補なのですから、保有スキルについては王家も把握していたはず……。まさか鑑定眼持ちを婚約破棄する愚か者がいるだなんて……」
その愚か者とやら、「鑑定なんて騙されるような人間がすることだ! 真の王者は嘘をつかれることなどない!」という謎理論を唱えていたので。鑑定眼をめっちゃ軽視していたんですよ。
ま、今後の私の人生に微塵も関わらないであろう御方の話はどうでもいいとして。宝物のだいたいの選別は終わったから――
――うん?
柔軟体操をしていたら、鑑定眼に何か表示されたので、改めて確認。
偶然視界に収まった洞窟の壁。何の変哲もなく、加工もされた様子もない岩壁。
そんな壁に、少しだけ違和感があった。
これは、魔術的な隠蔽がされている……?
鑑定眼で術式を読み取り、解呪。壁に隠されていた小さな扉を開ける。
金庫のような空間にしまわれていたのは……古い、古い形式のブレスレットだった。
宝飾品には流行の形があり、形状からだいたいの年代が読み取れるのだけど……この形は、1,000年以上前に流行ったものであるはずだ。教科書や王宮の宝物庫くらいでしか見たことがない古い形状。
ただ、それ自体はおかしなことではない。貴族家に先祖代々受け継がれてきた宝飾品であれば、そのくらいの古さは『珍しいけど、あり得ないほどではない』くらいの宝物となる。
普通じゃないのは、このブレスレットが『魔導具』であったこと。
しかも、途轍もなく珍しい魔導具。
――転移魔法の魔導具だ。
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