子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~

九條葉月

文字の大きさ
76 / 80

めっちゃこわい

しおりを挟む

 まぁ肖像画に関しては流れに任せるとして。

 私たちは食堂に到着したのだけど、ここで問題発覚。……私、食事の時の作法とかなーんにも知らないのだ。

 え? これ、どうするの? 前世でテーブルマナーは学んだけどよく覚えてないし。というか異世界の作法が前世と一緒のわけがない。

 私が戸惑っている間にもアリスはメイドさんに促され、上品な仕草で着席した。おぉ、アリスはすでにお貴族様のマナーを学んでいるみたい……軟禁されていた私はもちろん知識なし……姉より優れた妹……可愛い……。

「……おぉ、そうであったな。リーナはまだ何も学んでいなかったのか」

 お爺さまが渋い顔で発言し、

「そうね。事情があるのだからしょうがないわね」

 おばあ様は何でもないことのように答えた。

 くっ! 同情されている!
 このままではいけない! 幼女にだってプライドがあるのだ!

「――分かりました!」

 高らかに声を上げてから、部屋の隅で待機していたフィナさんの後ろに移動する私。そのままフィナさんを柱のようにして、顔だけ出して食卓を凝視する。

「? リーナよ、どうしたのだ?」

「同情不要!」

「うむ?」

「大丈夫! 見て覚えます! 気にせずどうぞお食事を!」

「いや、」
「そう言われてもねぇ?」
「リーナ、気にしなくていいんだよ?」

 お爺さま、おばあ様、お父様は困ったように顔を見合わせて、

『――みゃ!』

 一緒に来ていたミャーが飛び、食卓の椅子に乗る。

 そしてそのまま後ろ足で立ち、前足を器用に使ってナイフとフォークを操り、食事をするミャー。

 おぉおおお? なんか知らないけど座り姿が美しい? シュッとしているというか、人の手で造られた銅像のようというか。

「な、何と美しい所作……ミャーさん、中々やるわね……」

 礼儀作法にうるさそうなおばあ様が即座に認めていた。つまり私は生まれたばかりの0歳児に負けたのである。

『……みゃ』

 ふっ、雑魚め……。みたいな目で私を見るミャーだった。おのれぇええええええ。


                    ◇


 図書室で礼儀作法の本(イラスト付き)を借り、部屋に篭もって勉強をはじめた私である。ミャーに負けたままではいられないのである。

「頑固者っすねぇ」

『みゃ』

 全身全霊の応援を受けながら本を捲っていく。ほうほう? なるほど? なんか知らないけど前世のテーブルマナーそっくりだね?

 ちなみにおばあ様は手取り足取り教えてくれると提案してくれたけど、そんなわけにはいかないのである。まずは最低限勉強してから実践に移らなきゃいけないのである。

「頑張るお姉様、素敵ですわ……」

 アリスからうっとりとした顔で煽られてしまったので、ますますやる気アップな私である。

 そうして勉強に勉強を重ね、晩ご飯も部屋で食べ、すっかり眠る時間となったのだ。

「――よし、ちょっとダンジョンに潜ろうかな?」

 アリスのスキルを隠すために隠蔽工作ブラエを獲得しなきゃいけないし。

 たしか隠蔽工作ブラエは姿を隠せる犬(っぽい魔物)の魔石から入手できたはず。雑魚だからさっさと倒しちゃおうか。

 というわけで、迷宮王の指輪アステロペイテスを使って部屋の中にダンジョンへの入り口を出してみる。……おー、部屋の真ん中に木製のドアが。なんというか――どこで〇ドアっぽい感じ。

「わたくしも行きますわ!」

 と、元気いっぱいに手を上げるアリス。うん、まぁ今のアリスは強いから平気かな? いざとなれば私が守ればいいのだし。

「あ、じゃああたしも付いていくっすよ。保護者代わりってことで。……あと、あたしもステータス? が上がったんですよね? それを確かめてみたいですし」

 はーい、っと手を上げるフィナさんだった。
 正直、部屋に誰もいなくなるのもどうかなーっと思うのだけど……でも、フィナさんが気になる気持ちも分かるしなぁ……。

『みゃ』

 しょうがないから私が残るよ、みたいに前足を上げるミャーだった。じゃあお願いしようかな? 誰か来たら念話で教えてもらえばいいし。

 というわけで。
 私、アリス、フィナさんはダンジョンに足を踏み入れたのだった。


                  ◇


 初階層に降りると、さっそくコウモリの魔物を見つけた。あと数歩進むと襲いかかってくるのがいつものパターンだね。

「んじゃあ、さっそくあたしが」

 空間収納ストレージの中から大振りのナイフを取り出すフィナさん。そういえばフィナさんが戦う場面を見るのは初めてだね。

 なんか凄そうな武器なので鑑定してみる。

 ……ほうほう? 柄の部分を『魔法の杖』と同じ素材で作ってあるので魔法発動のための補助魔導具として使えると? いいなぁ、便利そう。どこで作ったか今度教えてもらおうかな?

「――雷よ、轟けトルス!」

 フィナさんが初級攻撃魔法を発動したけど、コウモリに放つことなく――ナイフに乗せた・・・・・・・

 白刃が雷光を帯びて光り輝く。え? なに? そんな技があるの?

「でりゃあぁあああっ!」

 身体強化ミュスクルを使い、一番近くにいたコウモリと一気に距離を詰めたフィナさんはナイフを振るい、コウモリの喉を切り裂いた。おー、すごーい。

『ぎゃあ! ぎゃあ!』

 仲間をやられたコウモリたちが一斉に動き出したので、攻撃魔法で援護する。もちろんフィナさんに当たらないよう、フィナさんの周囲に結界を展開してね。

「――雷よ、轟けトルス!」

 私が初級攻撃魔法(フィナさんのよりだいぶ高威力)を放つと、

『ぎゃぎゃぎゃぎゃ!?』

 断末魔の叫び声を上げるコウモリたちと、

「うっぎゃあぁあああ!?」

 なぜか涙目で叫ぶフィナさんだった。なんで?

「お姉様、当然ですわ。フィナさん、思いっきり攻撃魔法に巻き込まれていますし……」

 アリスからちょっと呆れた目を向けられてしまった。えー? 結界で覆ったから平気なのにー?

 …………。

 ……あ、よく考えたら「結界で覆った」とは教えてなかったね。フィナさんに。正直すみませんでした。


しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

気弱令嬢の悪役令嬢化計画

みおな
ファンタジー
 事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?  しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?  いやいやいや。 そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!  せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。  屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?

『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故

ラララキヲ
ファンタジー
 ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。  娘の名前はルーニー。  とても可愛い外見をしていた。  彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。  彼女は前世の記憶を持っていたのだ。  そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。  格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。  しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。  乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。  “悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。  怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。  そして物語は動き出した…………── ※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。 ※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。 ◇テンプレ乙女ゲームの世界。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇なろうにも上げる予定です。

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる

暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。 授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

どうやら悪役令嬢のようですが、興味が無いので錬金術師を目指します(旧:公爵令嬢ですが錬金術師を兼業します)

水神瑠架
ファンタジー
――悪役令嬢だったようですが私は今、自由に楽しく生きています! ――  乙女ゲームに酷似した世界に転生? けど私、このゲームの本筋よりも寄り道のミニゲームにはまっていたんですけど? 基本的に攻略者達の顔もうろ覚えなんですけど?! けど転生してしまったら仕方無いですよね。攻略者を助けるなんて面倒い事するような性格でも無いし好きに生きてもいいですよね? 運が良いのか悪いのか好きな事出来そうな環境に産まれたようですしヒロイン役でも無いようですので。という事で私、顔もうろ覚えのキャラの救済よりも好きな事をして生きて行きます! ……極めろ【錬金術師】! 目指せ【錬金術マスター】! ★★  乙女ゲームの本筋の恋愛じゃない所にはまっていた女性の前世が蘇った公爵令嬢が自分がゲームの中での悪役令嬢だという事も知らず大好きな【錬金術】を極めるため邁進します。流石に途中で気づきますし、相手役も出てきますが、しばらく出てこないと思います。好きに生きた結果攻略者達の悲惨なフラグを折ったりするかも? 基本的に主人公は「攻略者の救済<自分が自由に生きる事」ですので薄情に見える事もあるかもしれません。そんな主人公が生きる世界をとくと御覧あれ! ★★  この話の中での【錬金術】は学問というよりも何かを「創作」する事の出来る手段の意味合いが大きいです。ですので本来の錬金術の学術的な論理は出てきません。この世界での独自の力が【錬金術】となります。

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

処理中です...