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検討
しおりを挟む昼間は勉強や礼儀作法の特訓をして。夜はちょっとだけダンジョンに。それが最近の私たちの日課となっていた。
当面の不安としては、ダンジョン探検中にフィナさん以外のメイドさんが部屋にやって来てダンジョン探検がバレてしまうことだったのだけど……。副メイド長のリサさんとリズさんが
「お嬢様、安心してください」
「夕食以降は部屋を訪ねたりしませんので」
「存分にお休みください」
「頑張ってくださいね」
という感じに応援(?)してくれたので、その辺の心配はしなくていいみたいだ。
後にフィナさんが話を聞いてくれたところによると、どうやら私は夕食後に秘密の特訓をしていることになっているらしい。
あれか。スキルのおかげで一気にテーブルマナーを習得したのがそういう風に映ったらしい。さすが私、神算鬼謀。実はこういう展開も全て計算済みだったのだよ!
『みゃー……』
言ってて悲しくならんの? みたいな目を向けられてしまった。う、うるせーやーい。
◇
とにかく。目下の目標は隠蔽工作の獲得だね。アリスの『称号・聖女』とスキルを隠さないといけないし、あとは愛しの弟の魔力喰らいも隠してしまった方がいいと思う。
周りの人間の魔力を吸収するなんて恐れられちゃうし、使いどころによってはかなり強力だものね。悪の秘密結社とかに利用されてしまうかもしれない。まぁそんな命知らずがいたらアジトごと消し炭にしちゃうけどね。お姉ちゃんの愛に不可能はないのだ。
『みゃー……』
私たちの姉弟愛に感嘆のため息をつくミャーだった。照れるねー。
ルイナスをダンジョンに連れて行くわけにもいかないので、私たちが隠蔽工作持ちの犬(っぽい魔物)を討伐し、魔石をルイナスに食べさせればいいと思う。
……あ、でもルイナスも魔石を食べてスキルをゲットできるのかな? 私とアリスができたのだから大丈夫だとは思うけど、もしかしたら『聖女(候補)』だけの特殊な力かもしれないし。
ほら、スキルを獲得したときの天の声(?)は私とアリスにだけ聞こえて、フィナさんには聞こえないみたいだし。可能性はあると思う。
つまり、検討するなら、天の声(?)が聞こえないフィナさんに魔石を食べさせ、スキルを獲得できるかどうか試してみることだと思う。
「というわけでフィナさん! バクッと行ってみましょうか!」
さっき討伐したばかりのコウモリの魔石をフィナさんに差し出す。
「えー……」
明らかに不満そうなフィナさんだった。まぁアリスがドラゴンの魔石を食べて『ビクンビクン』している場面を見ているからねぇ。でも実験はしないと――じゃなかった、フィナさんも探知系のスキルは持っていた方がいいと思うな私!
というわけで! ここは義理と人情と力業である!
「私のことが信じられないんですか!?」
「うん」
「うん!!!!????」
「おっと間違えたっす。お嬢様のことは信じてますがー、お嬢様はかなーり一般人からかけ離れた発想と思考と行動力を有しておられますのでーあてにならないと言いますかー」
「それは信じてないって言うんですよ!」
なんということでしょう。信頼するお姉さんから信じてもらえていなかっただなんて!
とても悲しんだ私は、とても悲しかったので転移魔法を使い魔石をフィナさんの口の中へと移動。その後飛翔でフィナさんの目の前へ移動。フィナさんの口を手で押さえたのだった。もちろん身体強化を使って。
「もごごごごごごごご!?」
フィナさんが何か言っていたけど、理解できなかったので無視。口の中で魔石が解けるのを待つ。
なにやらビクンビクンとしていたけれど、回復魔法で即座に治し、ビクンビクン回復ビクンビクン回復を繰り返していると――魔石が溶けたらしい。
鑑定眼でフィナさんのスキルを確認すると――索敵のスキルが増えていた。つまり一般人でもちゃんと魔石でスキルはゲットできるみたい。
「やりましたねフィナさ――んんん!?」
身体強化を解除した途端、脳天にゲンコツを喰らう私だった。そのまま正座体制に移行させられ、お説教タイム突入だ。
『みゃー…………』
その程度で済むんだからフィナって甘いよな、という顔をするミャーだった。まことにその通りでございます。
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