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序章
第5話
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アルスとアンナが【クラン】結成により仲間になって4日間は訓練に時間を充てていた。
「魔力量がないから、まずは魔力コントロールからだな」
「魔力コントロール?それって魔法で使う技術じゃなかったかしら?」
魔力コントロールとは、体内にある魔力を扱うという名前そのままの技術であるが、魔力コントロールが拙いと無駄に魔力を消費したり、うまく威力が上がらないなどこの技術の練度がどのくらい高いかで魔導士としての実力に大きく差が出てくる。
「確かにこの技術は魔導士がメインで使うが、剣士でもこの技術があると大きく変わってくる。普段片手剣を使うとき魔力を剣にまとわせるだろ?」
「そうね、こんな感じかしら」
アンナは片手剣を出すと、そこに魔力を纏わせる。刃に紫色のオーラのようなものが発生した。アルスは木の枝に魔力を纏わせた。
「よし、アンナの剣と俺のこの木の枝で斬ってみよう」
「いや、そんなことしても」
「当然木の枝が弱い、そう思っているな」
アンナは当然だとうなずく。アンナの片手剣はそもそも鉄でできているため魔力がなくとも木の枝は簡単に斬れる。
アンナの剣とアルスの木の枝がぶつかると、木の枝は一切斬れていなかった。
「え!?どういうこと?」
「魔力を上手く使うことができれば、木の枝が鉄製の剣と同等の堅さを持つようになる」
アンナはどれだけ力を込めて剣を押し込んでも、アルスの木の枝はびくともしない。アルスが魔力を消して木の枝に力を入れると、簡単に折れてしまった。
「こんな感じで、剣士でも魔力コントロールが上達すれば威力が上昇するし、簡単には壊れない」
「確かにそれは分かった。でも私はそもそも魔力量少ないから枯渇しちゃうんじゃない?」
アンナも、魔力コントロールが上達すれば強くなる可能性を感じた。しかし、魔力量が少ないため魔力を多く使う戦闘をすればすぐに無くなり使えなくなるのではないかと懸念している。
「魔力コントロールは威力の上昇だけでなく、魔力の燃費もよくなるからアンナにかなり合っているんだ」
魔力コントロールが高ければ、同じ魔力量でも効率があがり高い威力を発揮することができる。そのため少量の魔力でも十分戦える可能性が出てくる。
「(いずれは魔力量も上げてもらう必要はあるが、急ぎじゃなくてもいいかな)」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「一応【クラン】になってから本格的に行動するわけだが、早めに遠距離が戦える奴が欲しいな?」
「遠距離が戦える奴?」
「ああ」
近距離戦をメインとするアンナ、近距離と中距離戦をメインに戦うアルス。後は遠距離から攻撃が可能なメンバーが欲しいとアルスは考えている。
「遠距離っていうとどんなスタイルの隊員が欲しいの?」
「まずは強力な魔法を撃てる魔導士だな。ただ、魔導士ってところが俺と被るから本命は銃士、特にスナイパーも使用できる奴が欲しいな」
魔法の中には、遠距離に向いているものやそうでないものもある。アルスが使用するのは後者で、彼自身が走りながら魔法を使用することも多いかなりアグレッシブな魔導士である。
「でもこの時期に隊員を選り好みできるとはあまり思えないけど。銅級隊員が大幅に銀級隊員に上がったのも数か月前だし」
【ムーンエレック】では、成果とは別に昇格試験というのも存在しており、これは1年に2回しか行われていないが特定の試験に合格すると昇格できるというものだ。
アンナはこの昇格試験とは別に成果で上がっているが、昇格試験では、他の階級の隊員も見ることがありめぼしい隊員はその場でスカウトされることが多い。
「そうらしいな、正直そこまでの期待はないが俺はあんまり遠距離攻撃が得意じゃないからな」
「まあ、2人のクランはさすがに少なすぎるしね。あてはあるのかしら?」
アルスは1枚の紙きれを取り出す。そこにはクラン未加入者の情報が記載されているものだった。
「師匠からもらったやつだが、数人だが目ぼしい隊員がいるっぽい。この後、ここに来てくれることになっている」
アンナは隊員の情報を見てみる。そこには銅級、銀級、さらには金級隊員も載っていた。
「...これうちのクランに入るのかしら?」
「どうだろうな、案外声をかけてみたらわからないかもしれないぞ」
アンナは頭を悩ませており、アルスは気楽な感じでいた。そして1時間後に、件の隊員たちがアンナたちの下に来た。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はあ、見事に全部断られちまったな」
「当り前よ、実績は全くのゼロで新米の銀級隊員1人に新入隊員2人の【クラン】で入りたい人なんていないでしょう。怪しさ満々よ」
当然のように、来た隊員全員に加入を断られてしまったようだ。ほとんどの隊員が怪しいと感じて断っており、1人いた金級隊員に関しては他の【クラン】の勧誘もあったため断ったようだ。
「とりあえず、師匠のほうに行って報告だけするか」
「魔力量がないから、まずは魔力コントロールからだな」
「魔力コントロール?それって魔法で使う技術じゃなかったかしら?」
魔力コントロールとは、体内にある魔力を扱うという名前そのままの技術であるが、魔力コントロールが拙いと無駄に魔力を消費したり、うまく威力が上がらないなどこの技術の練度がどのくらい高いかで魔導士としての実力に大きく差が出てくる。
「確かにこの技術は魔導士がメインで使うが、剣士でもこの技術があると大きく変わってくる。普段片手剣を使うとき魔力を剣にまとわせるだろ?」
「そうね、こんな感じかしら」
アンナは片手剣を出すと、そこに魔力を纏わせる。刃に紫色のオーラのようなものが発生した。アルスは木の枝に魔力を纏わせた。
「よし、アンナの剣と俺のこの木の枝で斬ってみよう」
「いや、そんなことしても」
「当然木の枝が弱い、そう思っているな」
アンナは当然だとうなずく。アンナの片手剣はそもそも鉄でできているため魔力がなくとも木の枝は簡単に斬れる。
アンナの剣とアルスの木の枝がぶつかると、木の枝は一切斬れていなかった。
「え!?どういうこと?」
「魔力を上手く使うことができれば、木の枝が鉄製の剣と同等の堅さを持つようになる」
アンナはどれだけ力を込めて剣を押し込んでも、アルスの木の枝はびくともしない。アルスが魔力を消して木の枝に力を入れると、簡単に折れてしまった。
「こんな感じで、剣士でも魔力コントロールが上達すれば威力が上昇するし、簡単には壊れない」
「確かにそれは分かった。でも私はそもそも魔力量少ないから枯渇しちゃうんじゃない?」
アンナも、魔力コントロールが上達すれば強くなる可能性を感じた。しかし、魔力量が少ないため魔力を多く使う戦闘をすればすぐに無くなり使えなくなるのではないかと懸念している。
「魔力コントロールは威力の上昇だけでなく、魔力の燃費もよくなるからアンナにかなり合っているんだ」
魔力コントロールが高ければ、同じ魔力量でも効率があがり高い威力を発揮することができる。そのため少量の魔力でも十分戦える可能性が出てくる。
「(いずれは魔力量も上げてもらう必要はあるが、急ぎじゃなくてもいいかな)」
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「一応【クラン】になってから本格的に行動するわけだが、早めに遠距離が戦える奴が欲しいな?」
「遠距離が戦える奴?」
「ああ」
近距離戦をメインとするアンナ、近距離と中距離戦をメインに戦うアルス。後は遠距離から攻撃が可能なメンバーが欲しいとアルスは考えている。
「遠距離っていうとどんなスタイルの隊員が欲しいの?」
「まずは強力な魔法を撃てる魔導士だな。ただ、魔導士ってところが俺と被るから本命は銃士、特にスナイパーも使用できる奴が欲しいな」
魔法の中には、遠距離に向いているものやそうでないものもある。アルスが使用するのは後者で、彼自身が走りながら魔法を使用することも多いかなりアグレッシブな魔導士である。
「でもこの時期に隊員を選り好みできるとはあまり思えないけど。銅級隊員が大幅に銀級隊員に上がったのも数か月前だし」
【ムーンエレック】では、成果とは別に昇格試験というのも存在しており、これは1年に2回しか行われていないが特定の試験に合格すると昇格できるというものだ。
アンナはこの昇格試験とは別に成果で上がっているが、昇格試験では、他の階級の隊員も見ることがありめぼしい隊員はその場でスカウトされることが多い。
「そうらしいな、正直そこまでの期待はないが俺はあんまり遠距離攻撃が得意じゃないからな」
「まあ、2人のクランはさすがに少なすぎるしね。あてはあるのかしら?」
アルスは1枚の紙きれを取り出す。そこにはクラン未加入者の情報が記載されているものだった。
「師匠からもらったやつだが、数人だが目ぼしい隊員がいるっぽい。この後、ここに来てくれることになっている」
アンナは隊員の情報を見てみる。そこには銅級、銀級、さらには金級隊員も載っていた。
「...これうちのクランに入るのかしら?」
「どうだろうな、案外声をかけてみたらわからないかもしれないぞ」
アンナは頭を悩ませており、アルスは気楽な感じでいた。そして1時間後に、件の隊員たちがアンナたちの下に来た。
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「はあ、見事に全部断られちまったな」
「当り前よ、実績は全くのゼロで新米の銀級隊員1人に新入隊員2人の【クラン】で入りたい人なんていないでしょう。怪しさ満々よ」
当然のように、来た隊員全員に加入を断られてしまったようだ。ほとんどの隊員が怪しいと感じて断っており、1人いた金級隊員に関しては他の【クラン】の勧誘もあったため断ったようだ。
「とりあえず、師匠のほうに行って報告だけするか」
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