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序章
第4話
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翌日、アンナは非番であったが【クラン】の手続きがあるため本部に朝から足を運んでいた。
「アンナ君、よく来てくれたね。アルスはすでに来ているからあとは手続きだけだ。部隊証は持ってきているね」
「はい、これで大丈夫ですよね」
アンナは部隊証を出す。銀級ということで枠は銀色になっている。アルスの部隊証の枠は銅色だった。
「アルス君はまだ訓練生なんですか?」
「一応アルスはまだ正式に部隊に入隊できてないんだ。今日この後入隊手続きを経て正式な隊員になる」
【ムーンエレック】では、まだ魔物の討伐や住民警護や警備をすることができない、訓練の必要がある者たちを銅級部隊としている。アンナも2週間前まではこの銅級隊員だった。
アンナが銅級隊員から今の銀級隊員に上がるまでに4年かかった。
「でも、銅級隊員だと【クラン】を組んでも一緒に活動はできないですよね」
【クラン】制度は階級を無視して組むことができるが、銅級隊員ではまだ実力がないとみなされるため警護任務や討伐任務などに同行することはできない。そのため、アンナの警護任務などにアルスが一緒に行動することができない。
「アルスなら数日で銀級隊員になるとは思う。それまではまだ【クラン】として動くことはできないけどね」
銅級隊員が銀級隊員に上がるためにはいくつかの要素がある。【成果】と呼ばれる疑似任務の達成数や筆記試験、その他活動を合算し階級を上げることができる。
「その他の活動の中にある魔物討伐数だけでアルスは銀級隊員に上がることができる」
その他活動の中には、実際に魔物の討伐もある。この制度により、もともと実力を持っているものを早期に討伐部隊に入れることができる。
「この後何か予定はあるのか?」
「私は特にないよ。訓練室で素振りでもしようかなと」
「なら少しアンナの実力を見たい、一応【クラン】の仲間になったしな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この後正式に【クラン】設立が受理されて、アンナとアルスは【クラン】の仲間になった。名前はまだ決めておらず、「しばらく一緒に行動してから決めてもいいだろう」というグリスに言葉に2人とも納得したからである。
「アンナは何をメインにしているんだ?」
「私は一応片手剣を使っているけど、得意な武器はなかったから無難な武器を使ってるわ」
アンナは腰に携えている片手剣を取り出し、その場で軽く素振りをする。しばらく黙ってみていたアルスだが、
「ほかの武器や戦法は試したのか?」
近接武器だけでも片手剣だけでなく両手持ちの大剣や槍、双剣などがある。中距離以降であれば弓や銃火器、魔法攻撃など様々なスタイルが存在している。
「力がそんなにないから両手持ちが基本の大剣や槍は合わなくて、総魔力量も多くないから魔法戦法も機能しなかった。だから消去法ではあるけど片手剣にしたわ」
銅級隊員時代からアンナは魔力量に悩まされており、得意な武器などもなかった。そのため、片手剣での戦闘スタイルを選んだ。
「アルスは魔法攻撃がメインなのかしら?」
「そうだな、昨日の魔物を倒したときみたく魔法メインの戦闘スタイルで時々武器を使うぐらいではあるな」
アルスはそう言うと、手のひらから何種類もの魔法を出す。火属性に水属性、風属性、雷属性など様々な属性を出す。アンナは目の前にいくつもの魔法が出ているのを見て驚愕してしまう。
「普通魔法が使えると言っても多くて3種類ぐらいだったと思うんだけど」
魔法を発動することはほとんどの人が可能だが、魔法適性が存在しており適性がないと発動することがかなり難しい。
「とりあえず俺と戦法がかぶってなくてよかった。アンナが近距離で俺が中距離ってところか」
「そうね、まだ私の片手剣もそこまで形になってないからどうなるかわからないけど」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
しばらく、アンナが仮想の魔物と戦っているのをアルスは見ていた。訓練室では、実力をつけるために空間魔法を応用することで仮想で魔物と戦うことができる。
戦っていた魔物は最低ランクのE級である。金級部隊の実力の目安としてC級の魔物の単独討伐である。なぜC級を目安にしているのか、それは【ムーンエレック】周辺に現れる魔物が95%以上でC級以上であるからだ。
E級の魔物を数体倒したところでアルスがアンナを止める。
「大体の実力は把握した。とりあえず近距離メインで頼む」
「それは構わないけど、何か理由があるのかしら?」
アルスは、アンナに近距離戦を担当してもらい、自分は中距離という編成を想像していた。
「アンナは攻撃力はそこまで高くないが、スピードはかなり良い。それにランクが低いとはいえ魔物の動きもちゃんと見ている」
アルスはそうアンナを評価する。実際アンナは銀級隊員の平均よりもスピードはかなり速く、魔物の動きにある程度合わせることができるぐらい反射神経に動体視力もある。
しかし、対照的に一撃の攻撃力は低く何度も攻撃を当てなければならない。大勢の魔物や防御力の堅い魔物相手になるとかなり不利になってしまう。
「本格的に【クラン】として活動できるまでの数日間は訓練にあてる」
「アンナ君、よく来てくれたね。アルスはすでに来ているからあとは手続きだけだ。部隊証は持ってきているね」
「はい、これで大丈夫ですよね」
アンナは部隊証を出す。銀級ということで枠は銀色になっている。アルスの部隊証の枠は銅色だった。
「アルス君はまだ訓練生なんですか?」
「一応アルスはまだ正式に部隊に入隊できてないんだ。今日この後入隊手続きを経て正式な隊員になる」
【ムーンエレック】では、まだ魔物の討伐や住民警護や警備をすることができない、訓練の必要がある者たちを銅級部隊としている。アンナも2週間前まではこの銅級隊員だった。
アンナが銅級隊員から今の銀級隊員に上がるまでに4年かかった。
「でも、銅級隊員だと【クラン】を組んでも一緒に活動はできないですよね」
【クラン】制度は階級を無視して組むことができるが、銅級隊員ではまだ実力がないとみなされるため警護任務や討伐任務などに同行することはできない。そのため、アンナの警護任務などにアルスが一緒に行動することができない。
「アルスなら数日で銀級隊員になるとは思う。それまではまだ【クラン】として動くことはできないけどね」
銅級隊員が銀級隊員に上がるためにはいくつかの要素がある。【成果】と呼ばれる疑似任務の達成数や筆記試験、その他活動を合算し階級を上げることができる。
「その他の活動の中にある魔物討伐数だけでアルスは銀級隊員に上がることができる」
その他活動の中には、実際に魔物の討伐もある。この制度により、もともと実力を持っているものを早期に討伐部隊に入れることができる。
「この後何か予定はあるのか?」
「私は特にないよ。訓練室で素振りでもしようかなと」
「なら少しアンナの実力を見たい、一応【クラン】の仲間になったしな」
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この後正式に【クラン】設立が受理されて、アンナとアルスは【クラン】の仲間になった。名前はまだ決めておらず、「しばらく一緒に行動してから決めてもいいだろう」というグリスに言葉に2人とも納得したからである。
「アンナは何をメインにしているんだ?」
「私は一応片手剣を使っているけど、得意な武器はなかったから無難な武器を使ってるわ」
アンナは腰に携えている片手剣を取り出し、その場で軽く素振りをする。しばらく黙ってみていたアルスだが、
「ほかの武器や戦法は試したのか?」
近接武器だけでも片手剣だけでなく両手持ちの大剣や槍、双剣などがある。中距離以降であれば弓や銃火器、魔法攻撃など様々なスタイルが存在している。
「力がそんなにないから両手持ちが基本の大剣や槍は合わなくて、総魔力量も多くないから魔法戦法も機能しなかった。だから消去法ではあるけど片手剣にしたわ」
銅級隊員時代からアンナは魔力量に悩まされており、得意な武器などもなかった。そのため、片手剣での戦闘スタイルを選んだ。
「アルスは魔法攻撃がメインなのかしら?」
「そうだな、昨日の魔物を倒したときみたく魔法メインの戦闘スタイルで時々武器を使うぐらいではあるな」
アルスはそう言うと、手のひらから何種類もの魔法を出す。火属性に水属性、風属性、雷属性など様々な属性を出す。アンナは目の前にいくつもの魔法が出ているのを見て驚愕してしまう。
「普通魔法が使えると言っても多くて3種類ぐらいだったと思うんだけど」
魔法を発動することはほとんどの人が可能だが、魔法適性が存在しており適性がないと発動することがかなり難しい。
「とりあえず俺と戦法がかぶってなくてよかった。アンナが近距離で俺が中距離ってところか」
「そうね、まだ私の片手剣もそこまで形になってないからどうなるかわからないけど」
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しばらく、アンナが仮想の魔物と戦っているのをアルスは見ていた。訓練室では、実力をつけるために空間魔法を応用することで仮想で魔物と戦うことができる。
戦っていた魔物は最低ランクのE級である。金級部隊の実力の目安としてC級の魔物の単独討伐である。なぜC級を目安にしているのか、それは【ムーンエレック】周辺に現れる魔物が95%以上でC級以上であるからだ。
E級の魔物を数体倒したところでアルスがアンナを止める。
「大体の実力は把握した。とりあえず近距離メインで頼む」
「それは構わないけど、何か理由があるのかしら?」
アルスは、アンナに近距離戦を担当してもらい、自分は中距離という編成を想像していた。
「アンナは攻撃力はそこまで高くないが、スピードはかなり良い。それにランクが低いとはいえ魔物の動きもちゃんと見ている」
アルスはそうアンナを評価する。実際アンナは銀級隊員の平均よりもスピードはかなり速く、魔物の動きにある程度合わせることができるぐらい反射神経に動体視力もある。
しかし、対照的に一撃の攻撃力は低く何度も攻撃を当てなければならない。大勢の魔物や防御力の堅い魔物相手になるとかなり不利になってしまう。
「本格的に【クラン】として活動できるまでの数日間は訓練にあてる」
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