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序章
第3話
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「【ムーンエレック】ではクラン設立を推奨しているのは知っているよね」
「はい」
【ムーンエレック】に所属している部隊員のソロでの活動を認めているが、【クラン】という形で複数人での活動を推奨している。ソロでは倒れてしまえば後はどうにもできないが、複数人で行動すれば1人が危機に陥っても残りのメンバーが助けることができる。
また活動の幅も大きく広がるため、基本は【クラン】を組むようにしている。
「もちろん、何かしらの理由があって厳しいのであれば強制はできない。君はアルスの素性をある程度知っている、だからこそお願いしたい」
「でも私にはアルス君と【クラン】を組むだけに実力はありません」
アンナは少し戸惑っていた。【クラン】は今ではかなりメジャーになってはいるが、実力が近しい者たちと組むことが多いため、アルスのほうが自身の何倍も強いため、自分に務まるのか自信がなかった。
「大丈夫さ、精一杯頑張れば周りの声も気にならなくなるはずだ」
グリスにそういわれると、アンナは決心したようで静かにうなずいた。その様子を見てグリスやほかの幹部たちも安心した表情をした。
「それでは、アンナとアルス両名による【クラン】設立を認める。構いませんね、ギルフォー殿」
「構わんよ。後はアンナ君が出会った魔物に関しての情報を確認してくれ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その後も、アンナを襲ってきた魔物であったり、出現ポイントの詳細や状況、予兆があったのかなど細かいところまで深堀して議論は進んでいった。
「では、これにて本日の議会を終了させていただきます。何か言うことがある方はいますか?」
グリスが幹部たちに聞いたところ、特に返答はなかったため終了した。アンナは部屋を出ようとしたが、グリスに引き留められた。
「話の流れでアルと組むようにして申し訳なかった。もし本当は断りたかったなら今断ってくれてもかまわない。僕がすぐにギルフォーさんに頭を下げればいいだけだ」
「いえ、そんなことはないです。ただ自分の実力に自信がなかっただけですから」
「...で、俺何も聞かされてなかったんですけど、師匠」
アルスが少しむっとした表情していた。彼は師匠であるグリスから特に何も聞かされておらず、【クラン】の話も全く知らなかった。
「アルスははっきり言って、すでに討伐部隊である金級をはるかに凌ぐ実力を持っている。それは実際に魔法をみた君も何となく感じていると思う」
魔物を討伐がメインである金級部隊も、あくまで魔物と戦うに値する実力をもっているだけピンキリ、単独でも討伐できる者もいれば、複数人での行動で発揮できる者もいる。
そんな金級部隊でも、アルスのように一撃で魔物を討伐することが可能な者は限られてくる。
「何も知らないものがいきなり組んでも何かと問題が発生する可能性がある。だからこそ君にお願いした」
「私はいいんですが、実力が離れていると他から色々と言われませんか?」
「当然育成担当としては実力をつけてもらいたいが、そこはこいつに任せている」
グリスはアルスの肩をたたく。
「え?俺が教えるんですか?師匠じゃなくて」
「ああ、いつまでも俺が教えるだけではよくないだろう。俺も今は役職がある以上むやみに動けない」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それじゃあ、アンナ君うちのアルスを頼む」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
今後の話も終え、アンナは隊員の宿舎のほうに戻った。一方、アルスとグリスは本部にあるテラスのほうで話していた。
「師匠は何を考えてるんですか?今回俺をあそこに行かせたのも何か理由があったでしょ」
「お前をあの場所に行かせたのは、人手が不足していたのもあるが最近魔物の出現の仕方が少しおかしい気がするんだ」
基本は1つのポイントからしか魔物は出現しない。それはもう不変の事実として【ムーンエレック】は考えている。しかし、ここ最近の魔物の出現は、最初の出現ポイントから離れている場所からの出現も確認され始めている。
「稀な例としてあったが、それでも頻度は増してきている。今日討伐したお前も感じていると思うが少し特殊な魔物しか出ていない」
「そうですね、俺が倒した魔物も大して強くはなかったけど探すのに苦労した」
アルスはグリスの指示で、アンナたちが警戒していた箇所周辺で魔物の出現がないか見回っていた。通常の魔物であれば出現時点で特有の魔力を出すためそれを感知することで見つけることができる。
だがアンナたちの前に現れた魔物たちの魔力は感知できないものであった。
「戦闘音がなければ、すぐに見つけられなかったかもしれないっすね。それぐらい魔力を全く感知できなかったです」
「うちにいる感知部隊も、最初の出現ポイントでしか感知できなかったらしい。今後は感知部隊とは別に索敵班も編成する必要が出てくるかもしれない」
グリスは今後の魔物の出現に関しての対策を考えた。
「はい」
【ムーンエレック】に所属している部隊員のソロでの活動を認めているが、【クラン】という形で複数人での活動を推奨している。ソロでは倒れてしまえば後はどうにもできないが、複数人で行動すれば1人が危機に陥っても残りのメンバーが助けることができる。
また活動の幅も大きく広がるため、基本は【クラン】を組むようにしている。
「もちろん、何かしらの理由があって厳しいのであれば強制はできない。君はアルスの素性をある程度知っている、だからこそお願いしたい」
「でも私にはアルス君と【クラン】を組むだけに実力はありません」
アンナは少し戸惑っていた。【クラン】は今ではかなりメジャーになってはいるが、実力が近しい者たちと組むことが多いため、アルスのほうが自身の何倍も強いため、自分に務まるのか自信がなかった。
「大丈夫さ、精一杯頑張れば周りの声も気にならなくなるはずだ」
グリスにそういわれると、アンナは決心したようで静かにうなずいた。その様子を見てグリスやほかの幹部たちも安心した表情をした。
「それでは、アンナとアルス両名による【クラン】設立を認める。構いませんね、ギルフォー殿」
「構わんよ。後はアンナ君が出会った魔物に関しての情報を確認してくれ」
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その後も、アンナを襲ってきた魔物であったり、出現ポイントの詳細や状況、予兆があったのかなど細かいところまで深堀して議論は進んでいった。
「では、これにて本日の議会を終了させていただきます。何か言うことがある方はいますか?」
グリスが幹部たちに聞いたところ、特に返答はなかったため終了した。アンナは部屋を出ようとしたが、グリスに引き留められた。
「話の流れでアルと組むようにして申し訳なかった。もし本当は断りたかったなら今断ってくれてもかまわない。僕がすぐにギルフォーさんに頭を下げればいいだけだ」
「いえ、そんなことはないです。ただ自分の実力に自信がなかっただけですから」
「...で、俺何も聞かされてなかったんですけど、師匠」
アルスが少しむっとした表情していた。彼は師匠であるグリスから特に何も聞かされておらず、【クラン】の話も全く知らなかった。
「アルスははっきり言って、すでに討伐部隊である金級をはるかに凌ぐ実力を持っている。それは実際に魔法をみた君も何となく感じていると思う」
魔物を討伐がメインである金級部隊も、あくまで魔物と戦うに値する実力をもっているだけピンキリ、単独でも討伐できる者もいれば、複数人での行動で発揮できる者もいる。
そんな金級部隊でも、アルスのように一撃で魔物を討伐することが可能な者は限られてくる。
「何も知らないものがいきなり組んでも何かと問題が発生する可能性がある。だからこそ君にお願いした」
「私はいいんですが、実力が離れていると他から色々と言われませんか?」
「当然育成担当としては実力をつけてもらいたいが、そこはこいつに任せている」
グリスはアルスの肩をたたく。
「え?俺が教えるんですか?師匠じゃなくて」
「ああ、いつまでも俺が教えるだけではよくないだろう。俺も今は役職がある以上むやみに動けない」
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「それじゃあ、アンナ君うちのアルスを頼む」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
今後の話も終え、アンナは隊員の宿舎のほうに戻った。一方、アルスとグリスは本部にあるテラスのほうで話していた。
「師匠は何を考えてるんですか?今回俺をあそこに行かせたのも何か理由があったでしょ」
「お前をあの場所に行かせたのは、人手が不足していたのもあるが最近魔物の出現の仕方が少しおかしい気がするんだ」
基本は1つのポイントからしか魔物は出現しない。それはもう不変の事実として【ムーンエレック】は考えている。しかし、ここ最近の魔物の出現は、最初の出現ポイントから離れている場所からの出現も確認され始めている。
「稀な例としてあったが、それでも頻度は増してきている。今日討伐したお前も感じていると思うが少し特殊な魔物しか出ていない」
「そうですね、俺が倒した魔物も大して強くはなかったけど探すのに苦労した」
アルスはグリスの指示で、アンナたちが警戒していた箇所周辺で魔物の出現がないか見回っていた。通常の魔物であれば出現時点で特有の魔力を出すためそれを感知することで見つけることができる。
だがアンナたちの前に現れた魔物たちの魔力は感知できないものであった。
「戦闘音がなければ、すぐに見つけられなかったかもしれないっすね。それぐらい魔力を全く感知できなかったです」
「うちにいる感知部隊も、最初の出現ポイントでしか感知できなかったらしい。今後は感知部隊とは別に索敵班も編成する必要が出てくるかもしれない」
グリスは今後の魔物の出現に関しての対策を考えた。
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