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序章
第2話
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魔物のすべての討伐が完了し、各所の警備部隊や討伐部隊が帰還することになり、アンナたちにもその指令が下された。しかし、先輩部隊員とアンナは負傷し、魔物も突如現れたということで応援部隊が来るまで待機となった。
「アルスというやつが魔物3体を討伐したと」
「はい、確かにそう名乗っていました。引き留めようとしましたが、すぐにこの場を去ってしまい」
アンナと先輩を結果的に助ける形となったアルス、しかし名前を名乗っただけで何も語らず去ってしまったため何もわからずじまいだった。
「すぐにやられてしまってすまなかった。新人のお前を守る立場だった。不甲斐ない先輩ですまない」
「いえ、ここに魔物が出現すること自体が異例の事態でしたから」
アンナはそこまで重傷を負うことはなかったが、先輩は気を失うほどのダメージを受けてしまった。今は応急措置で骨折した左腕を固定している。一命は取り留めているものの、アルスがいなければ命を落としていた。
こういった事態になったのも、最初の出現ポイントから大きく離れていたためアンナたちが配置された地域は手薄になっていたためである。
「すまない、駆け付けるのが遅くなった。魔物が現れたと報告を聞いたが無事だったか」
応援部隊が駆け付けたようで、数人の討伐部隊の金級部隊がアンナたちの前に現れた。
「ああ、2名負傷しているが死者はゼロだ」
「魔物はどうやって倒したんだ?痕跡も全くないが」
「それに関しては、彼女から説明してもらう」
アンナは一部始終を金級部隊に話す。魔物の出現やアルスのことなどを説明した。
「その少年が魔物を倒したと。しかも一瞬で魔法で倒したと」
「報告ありがとう。ひとまずここを離れよう。負傷者もいるし、君も初任務なのだろう。ただでさえ魔物に襲われたんだ。いったん休息とったほうがいい」
金級部隊はアンナと先輩を連れて【ムーンエレック】本部に帰還した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アンナはの本部につくと、すぐに幹部のいる指令室のほうに案内された。そこには、【ムーンエレック】各所の本部長や、最高責任者たちが集結している。
「まずは、初任務お疲れ様。銀級部隊アンナ君。僕は部隊育成担当責任者のグリスだ。よろしくね」
グリスはアンナに手を差し伸べ握手を求める。アンナは戸惑ったが、グリスが笑みを見せると安心してアンナは握り返した。
「さて、色々ということがあるがまずが君を危険にさらしてしまったことを謝罪させてほしい」
グリスはアンナに対して頭を下げた。
「グリスさん!!1部隊員にあなたが頭を下げるはやめてください。部隊の威信に響いてきますよ」
【ムーンエレック】公安担当責任者のルトーがグリスに駆け寄りグリスの頭を上げさせようとする。一介の部隊員に代表が頭を下げたことが他に知られれば、評価に大きく影響を及ぼしかねない。
「ルトーさんのお気持ちもわかります。しかし、彼女たちを危険に晒したことは部隊を管理している僕に全責任がある。もし命を落としていたらこれだけでは済まなかったんです。だから頭を下げるのは当然の対応です」
ルトーは【ムーンエレック】の評判の危機を恐れていた。だが、グリスはそれでも責任は自分にあると考えている。
「頭を上げてください。結果として私は助かっていますし先輩も無事に帰還できましたから」
「そう言ってくれると僕もありがたい」
アンナは慌てた感じでグリスにそう言うと、グリスは真剣な表情から笑顔になる。一番奥に座っている男性が口を開く。
「さて、次の議題に進めてもらえるかな」
【ムーンエレック】の最高責任者である、ギルフォーがかなり低いトーンでそういう。ギルフォーは、爽やかな印象を与えるグリスとは真逆で、冷酷な目をしている。
「はい。次に話すことが君が報告していた少年、アルスについてだ」
「彼を知っているんですか?」
アンナは、報告でアルスの存在や倒した魔物、そして魔法などに関して覚えている限りすべてを伝えていた。
「彼は少し特殊でね。僕の教え子であるんだ」
「ええ!?」
アルスは、グリスと師弟関係にあるそうでグリスの下で魔法やそのほかの技術などを学んだ。しかし、それは秘密裏に行われていたことである。
「知られたからと言って、何かするわけではないができるだけ口外してほしくないんだ。いずれ公にそういった情報を出す可能性もあるが、現状はまだその辺に関しては秘密にしてもらいたい」
「はい、わかりました」
「うん、それでもう1つ君にお願いしたいことがあるんだが」
そう言うと、後ろから1人の少年が現れた。件の少年であるアルスだ。
「うちのアルとチームを組んではくれないか?」
「「えええ!!??」」
グリスの依頼に、アンナはもちろんだがアルスも同じように驚いた。
「アルスというやつが魔物3体を討伐したと」
「はい、確かにそう名乗っていました。引き留めようとしましたが、すぐにこの場を去ってしまい」
アンナと先輩を結果的に助ける形となったアルス、しかし名前を名乗っただけで何も語らず去ってしまったため何もわからずじまいだった。
「すぐにやられてしまってすまなかった。新人のお前を守る立場だった。不甲斐ない先輩ですまない」
「いえ、ここに魔物が出現すること自体が異例の事態でしたから」
アンナはそこまで重傷を負うことはなかったが、先輩は気を失うほどのダメージを受けてしまった。今は応急措置で骨折した左腕を固定している。一命は取り留めているものの、アルスがいなければ命を落としていた。
こういった事態になったのも、最初の出現ポイントから大きく離れていたためアンナたちが配置された地域は手薄になっていたためである。
「すまない、駆け付けるのが遅くなった。魔物が現れたと報告を聞いたが無事だったか」
応援部隊が駆け付けたようで、数人の討伐部隊の金級部隊がアンナたちの前に現れた。
「ああ、2名負傷しているが死者はゼロだ」
「魔物はどうやって倒したんだ?痕跡も全くないが」
「それに関しては、彼女から説明してもらう」
アンナは一部始終を金級部隊に話す。魔物の出現やアルスのことなどを説明した。
「その少年が魔物を倒したと。しかも一瞬で魔法で倒したと」
「報告ありがとう。ひとまずここを離れよう。負傷者もいるし、君も初任務なのだろう。ただでさえ魔物に襲われたんだ。いったん休息とったほうがいい」
金級部隊はアンナと先輩を連れて【ムーンエレック】本部に帰還した。
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アンナはの本部につくと、すぐに幹部のいる指令室のほうに案内された。そこには、【ムーンエレック】各所の本部長や、最高責任者たちが集結している。
「まずは、初任務お疲れ様。銀級部隊アンナ君。僕は部隊育成担当責任者のグリスだ。よろしくね」
グリスはアンナに手を差し伸べ握手を求める。アンナは戸惑ったが、グリスが笑みを見せると安心してアンナは握り返した。
「さて、色々ということがあるがまずが君を危険にさらしてしまったことを謝罪させてほしい」
グリスはアンナに対して頭を下げた。
「グリスさん!!1部隊員にあなたが頭を下げるはやめてください。部隊の威信に響いてきますよ」
【ムーンエレック】公安担当責任者のルトーがグリスに駆け寄りグリスの頭を上げさせようとする。一介の部隊員に代表が頭を下げたことが他に知られれば、評価に大きく影響を及ぼしかねない。
「ルトーさんのお気持ちもわかります。しかし、彼女たちを危険に晒したことは部隊を管理している僕に全責任がある。もし命を落としていたらこれだけでは済まなかったんです。だから頭を下げるのは当然の対応です」
ルトーは【ムーンエレック】の評判の危機を恐れていた。だが、グリスはそれでも責任は自分にあると考えている。
「頭を上げてください。結果として私は助かっていますし先輩も無事に帰還できましたから」
「そう言ってくれると僕もありがたい」
アンナは慌てた感じでグリスにそう言うと、グリスは真剣な表情から笑顔になる。一番奥に座っている男性が口を開く。
「さて、次の議題に進めてもらえるかな」
【ムーンエレック】の最高責任者である、ギルフォーがかなり低いトーンでそういう。ギルフォーは、爽やかな印象を与えるグリスとは真逆で、冷酷な目をしている。
「はい。次に話すことが君が報告していた少年、アルスについてだ」
「彼を知っているんですか?」
アンナは、報告でアルスの存在や倒した魔物、そして魔法などに関して覚えている限りすべてを伝えていた。
「彼は少し特殊でね。僕の教え子であるんだ」
「ええ!?」
アルスは、グリスと師弟関係にあるそうでグリスの下で魔法やそのほかの技術などを学んだ。しかし、それは秘密裏に行われていたことである。
「知られたからと言って、何かするわけではないができるだけ口外してほしくないんだ。いずれ公にそういった情報を出す可能性もあるが、現状はまだその辺に関しては秘密にしてもらいたい」
「はい、わかりました」
「うん、それでもう1つ君にお願いしたいことがあるんだが」
そう言うと、後ろから1人の少年が現れた。件の少年であるアルスだ。
「うちのアルとチームを組んではくれないか?」
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