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6.選ばれたようではないか
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「多くを持つ者は、多くを背負わなければならない。背負うことを放棄した人間は独裁者にしかならねーからな。過去に腐るほどの例がある」
そう、吉良は言った。
「暁には、過去独裁者などおりません」
俺は、事実を告げた。
「なぜだと思う?」
「…」
答えない俺に吉良は口端を持ち上げ、僅かばかり、呆れた口調で「優しいからだ」と一人言のようにこぼした。
「人の嘘も運命もエゴも献身も、全て虚構だと知っていて、それでも人を捨てることが出来ない。だから自らの命を削る」
「そのために剱がおります」
「わかってんならもっと支えてやれ。アルファじゃなく剱として」
剱と、して。
俺は吉良の言葉に愕然とした。
大事をとって無理矢理早退させたせいで理央の機嫌を損ね、お陰で治りかけた口端がまた切れた。
それでも、あのまま学校においておく気にも、校医に預ける気にもなれなかった。
寝室に篭ってしまった理央に不興の許しを乞おうと寝室のドアをノックしたが反応は無い。
もう一度ノックして名を呼ぶ。
「…理央」
しばらくの後、「入れ」と返事があってカードキーでロックを解除した。
怠そうにシャツだけ羽織ってベッドに横になっている理央の傍らへ立ち、返事はわかりきっている声をかけた。
「お加減はいかがですか」
「怠いし、熱っぽい。…頭がぼんやりする」
「…夕食はこちらに運びましょう」
ベッドに乗り上げ、理央の前髪を払う。
首筋に触れて体温を確かめた。
チョーカーの上からでもわかる。
…熱い。
理央の吐息が膚にかかり、一瞬呼吸を忘れた。
のびてきた理央の手が俺の頬に触れて我に返る。
「…悪い。お前に当たってんのはわかってる」
「かまいません。理央の気が済むならそれでいい」
俺の傷口には触れず、苦しそうに俺の頬を指先で撫でる理央の手を取り、細い指に口付けた。
「…剱、」
「俺は、あなたのものです。どうか好きに使ってください。それが俺の幸福でもあるのですから」
暁に必要とされないなら、剱の存在に意味はない。
今の俺は、理央の為だけに存在している。
眉を寄せ、目を逸らした理央の横顔にみとれた。
微かに薫る甘い匂いに、意識が奪われる。
番の強要を防ぐ為のチョーカーが、首輪に見えて息を飲んだ。
「…俺が好きか、剱」
「好きです」
はだけたシャツから覗く白い膚が目に焼き付く。
理央の人差し指のリングを、無意識に指の腹で撫でていた。
「好きです、理央」
もう一度繰り返したとき、理央の手が俺の頬に触れ、眼帯の紐を指に絡め取った。
「…綺麗な蒼だ」
「理央、」
「…」
ふぅ、と小さく息を吐いて、理央は目を閉じた。
そう、吉良は言った。
「暁には、過去独裁者などおりません」
俺は、事実を告げた。
「なぜだと思う?」
「…」
答えない俺に吉良は口端を持ち上げ、僅かばかり、呆れた口調で「優しいからだ」と一人言のようにこぼした。
「人の嘘も運命もエゴも献身も、全て虚構だと知っていて、それでも人を捨てることが出来ない。だから自らの命を削る」
「そのために剱がおります」
「わかってんならもっと支えてやれ。アルファじゃなく剱として」
剱と、して。
俺は吉良の言葉に愕然とした。
大事をとって無理矢理早退させたせいで理央の機嫌を損ね、お陰で治りかけた口端がまた切れた。
それでも、あのまま学校においておく気にも、校医に預ける気にもなれなかった。
寝室に篭ってしまった理央に不興の許しを乞おうと寝室のドアをノックしたが反応は無い。
もう一度ノックして名を呼ぶ。
「…理央」
しばらくの後、「入れ」と返事があってカードキーでロックを解除した。
怠そうにシャツだけ羽織ってベッドに横になっている理央の傍らへ立ち、返事はわかりきっている声をかけた。
「お加減はいかがですか」
「怠いし、熱っぽい。…頭がぼんやりする」
「…夕食はこちらに運びましょう」
ベッドに乗り上げ、理央の前髪を払う。
首筋に触れて体温を確かめた。
チョーカーの上からでもわかる。
…熱い。
理央の吐息が膚にかかり、一瞬呼吸を忘れた。
のびてきた理央の手が俺の頬に触れて我に返る。
「…悪い。お前に当たってんのはわかってる」
「かまいません。理央の気が済むならそれでいい」
俺の傷口には触れず、苦しそうに俺の頬を指先で撫でる理央の手を取り、細い指に口付けた。
「…剱、」
「俺は、あなたのものです。どうか好きに使ってください。それが俺の幸福でもあるのですから」
暁に必要とされないなら、剱の存在に意味はない。
今の俺は、理央の為だけに存在している。
眉を寄せ、目を逸らした理央の横顔にみとれた。
微かに薫る甘い匂いに、意識が奪われる。
番の強要を防ぐ為のチョーカーが、首輪に見えて息を飲んだ。
「…俺が好きか、剱」
「好きです」
はだけたシャツから覗く白い膚が目に焼き付く。
理央の人差し指のリングを、無意識に指の腹で撫でていた。
「好きです、理央」
もう一度繰り返したとき、理央の手が俺の頬に触れ、眼帯の紐を指に絡め取った。
「…綺麗な蒼だ」
「理央、」
「…」
ふぅ、と小さく息を吐いて、理央は目を閉じた。
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